2019年6月24日号 ツーバイフォー住宅の日2×4特集


 

環境の時代のニーズに応える、コスト減後押しNLTも

部材の値上がりや人材不足が進むなか、施行間近の改正建築基準法に伴い、耐火規制を受ける大型建築でも「現し」が可能になるなど、木造建築には、いわば“追い風”が吹いている。一般流通材を使用した施設系建築も散見するなか、日本ツーバイフォー建築協会は、昨年度から本格的な研究・開発への取り組みを開始した新たな構造材「NLT」の実用化を進める。NLTは、ツーバイフォー工法用の構造用製材を隙間なく並べ、釘でつなぎ合わせ、ずらしながら積層することで床材や屋根版などに利用する構造材で、今年度中に床・屋根での認定取得を目指す。木造による中大規模建築の普及を後押しする方針だ。

 

 

ZEHで“外観・環境・安心”を強化

 

 

積水化学工業住宅カンパニー/独自の2×6工法「W5工法」

 

 積水化学工業住宅カンパニーの木質系ユニット住宅は、強度と施工精度をより進化させた独自の2×6工法「W5工法」を採用した「グランツーユーV」シリーズに一本化、進化を続けている。

 

 2017年に発売した「グランツーユーV」は、これまで建築現場で行っていた天井パネルの設置工事や、一部の内外装工事・設備工事を工場内の一部に取り込むことで、省力化・効率化を推進しており、将来、少子高齢化の進行に伴い、より深刻化すると考えられている大工・職人不足、人件費アップなどの影響に備えている。

 

 さらに、今年1月には子育て世代向けの「グランツーユーV」シリーズにおいてZEH対応を標準化した「グランツーユーV―ZEHモデル」を全国で発売した。

 

 同モデルでは、PV搭載屋根のバリエーションを拡充することで、大容量PVの搭載を可能とし、小規模住宅や積雪地でのZEH対応を実現した。また、新たな外装メニュー「ラウンド型ポーチ」をはじめ、多彩な外装と組み合わせることで、外観・プランの対応力を向上している。

 

 また、蓄電池のラインナップに価格と容量のバランスに優れた8キロワット時の蓄電池を加えることで、幅広いニーズへの対応が可能となった。夜の停電時でも照明・冷蔵庫・TV・携帯電話の充電などの電力を確保しつつ、昼の太陽光発電からの充電によって、大規模停電にも備えられるなど、自然災害への備えを強化した。

2×4住宅/持家着工戸数はプラス転/シェア最高更新の11.4%に

 

 昨年度は、トヨタホームが自社の木質住宅事業に参入、ツーバイフォー工法による分譲戸建住宅のブランド「MOKUA(モクア)」を立ち上げるなど、普及価格帯の戸建てで木造住宅の商品開発が活発化した。

 

 日本ツーバイフォー建築協会によると、2018年度のツーバイフォー住宅の着工戸数は、貸家が前年度比6・8%減となったことが影響し、11万6690戸で前年度比2・5%減だった。全住宅におけるシェアは12・2%にとどまった。

 

 ただし、持ち家の着工戸数では、約3万3000戸で前年度比3・2%増とプラスに転じた。また、持ち家着工数全体でのツーバイフォー住宅のシェアは11・4%とこれまでで最高となった。

 

中高層・大規模の対応に/実験棟で遮音性を検証

 

 

 非住宅分野では、特に福祉施設の木造・木質化が進んでいる。

 

 現在、国内最大のツーバイフォー建築は、2016年5月に竣工した東京都足立区の特別養護老人ホーム「花畑あすか園」(160床)だ。

 

 延べ9773平方メートルで、1階部分が鉄筋コンクリート造のハイブリッドの5階建て、カナダで開発された高強度体力壁「ミッドプライウォールシステム」を採用している。

 

 中高層・大規模建築の技術開発のための施工・性能検証などによって、設計対応の幅を拡げるため、日本ツーバイフォー協会は16年、茨城県つくば市の建築研究所内に国内初の木造6階建てとなるツーバイフォーの実大実験棟を建設した=写真。同年9月には、ツーバイフォー工法による外壁の2時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得、5~14階建ての建築物を実現するための床・外壁・間仕切壁の主要構造部における2時間耐火構造の仕様が出揃った。

 

 6階建て実大実験棟では今年3月、国土交通省国土技術政策総合研究所と建築研究所の共同研究のもと、床衝撃音遮断性能の測定を実施、2階から6階の床にタイヤ、ゴムボール、タッピングマシンによる衝撃を加え、直下室で衝撃音を測定したほか、サウンドレベルメーターなどを用いて、残響時間も測定した。今年度は、数種類の床遮音仕様による実験を予定している。