シニアの住まい特集 2/3

介護でも、さまざまな特色がある。

 

 長谷工グループは、センチュリーライフ、生活科学運営を通じて有料老人ホームや高齢者住宅を運営するほか、ふるさとによる認知症デイサービスなどさまざまな在宅サービスも提供する。有料老人ホームや高齢者住宅は、介護タイプ、自立タイプと幅広く展開する。

 

 介護面では、持ち上げたり抱えない介護「ノーリフティングポリシー」を導入する。専門の器具などを使いながらケアを受ける側の力を引き出し自立をサポートするとともに、スタッフの腰痛などを予防。寝かせきりや床ずれも防ぎ介護の質を高める取り組みだ。

 

 分譲マンションとの複合開発にも取り組み、大きな敷地を有効に活用するとともに、事業主であるデベロッパーには多世代が交流できさまざまな機能を持つ複合開発のメリットを提供する。

 

 野村不動産による自立型のシニアレジデンス「OUKAS」は、カラダとココロの健康重視する。日々の運動や活動、栄養バランスのとれた食事、質の高い睡眠で生活リズムを整え、家族や仲間と過ごす充実した時間を過ごす充実した共用空間とコミュニティ活動などが特徴だ。

 

 サンケイビルグループによる介護付有料老人ホーム「ウェルケアガーデン」シリーズは、水分の摂取、食事、適度な運動、自然な排泄によって日常生活を取り戻す自立支援介護が特徴。日常の生活動作を身体に思い出してもらうパワーリハビリ器機も導入する。

 

 食事にもこだわり、飲食店舗運営のサンケイ会館やホテル運営などのノウハウを投入する。今年6月にオープンした同社初の住宅型有料老人ホーム「ウェルケアヒルズ馬事公苑」では、朝は和食と洋食、夜は複数のメニューから選択できるシステムを導入。誕生日や記念日、家族が来る日などは要望によってスペシャルメニューも提供する。

 

 

 

人手不足が大きな課題に、働きやすい職場づくり

 

 高齢者の増加とともに、新規開業も活発になっている介護業界では人材確保が大きな課題になっている。人手不足のために業務がハードになりがちなことに加えて、老人ホームでは夜間は少人数勤務となり相談できるベテランがいないといった状況になりがち。他の業界に比べると離職率が高くなる傾向にある。

 

 厚生労働省の調べでは、法人・事業所の理念や運営のあり方に不満、職場の人間関係、収入、心身の不調、労働時間・休日・勤務体制、・結婚・出産・育児などが介護福祉士の退職理由だという。

 

 離職を防ぎスタッフが定着すると、勤務時間や休日確保なども計画的になり、働きやすい環境ができる好循環が生まれ、サービスの質向上も期待できる。

 

 長谷工グループが導入した「ノーリフティングポリシー」は、専門の器具などを使いケアを受ける側の力を引き出し自立をサポート。スタッフの疲れを軽減し腰痛などを予防する。

 

 プリセプター制度なども導入して、働きやすい職場環境づくりに努めている。

 

 現場発の取り組み。スタッフと入居者がつくったオリジナルの介護予防体操「ゆうゆう体操」も好評だ。

 

 入居者のプラス面(できることや生活歴)に目を向け、にやりとしたり、ほっとしたりしたことを記録してスタッフが共有する“にやりほっと”は、、出来ることを増やしケアプランに取り入れることで生活面・身体面ともにプラスの効果があり、スタッフの“やりがい”にもつながっている。事故や災害にはならなくても、ヒヤリとしたりハッとした事例を収集・分析し未然予防するヒヤリ・ハットは、建築現場などで用いられており、長谷工グループらしい取り組みの一つだ。

 

 サンケイビルグループの有料老人ホームでは、「自立支援介護」の実践によって寝たきりだったが車いす、そして歩けるようになったり、寝たきりで鼻から栄養補給をしていた重度介護者が口から食べ物を摂取できるように回復することが少なくない。こうしたスタッフの仕事に対する意欲につながっている。

 

 一方で、居室内はセンサーによって、転倒したなどの異常をいち早く見つけ、画像で確認できるシステムを導入。コールに追われる状況を排して、スタッフが働きやすい環境を整えている。

 

 

 

 

 

 

 

各社のシニア住宅事業、健康寿命延伸で多彩な供給、アクティブシニアに照準、大手の新規参入も相次ぐ

 

 高齢者の住まいが多様化している。健康寿命の延伸を背景に、自立した生活が可能なシニアを主な入居対象にした住宅や施設などの供給がじわり広がっている。住宅型有料老人ホームや自立シニアにシフトしたサ高住、シニアに対応した施設やサービスを提供する分譲マンションや賃貸マンションなどだ。

 

 三井不動産レジデンシャルは今年6月、「アクティブシニア」を対象にしたシニアレジデンス事業の第1弾「パークウェルステイト浜田山」(東京都杉並区高井戸東4丁目一般住戸62戸、介護用住戸8戸)を開設した。

 

 京王井の頭線浜田山駅から徒歩9分の住宅街の一角。建物デザインは「市中の山居」をコンセプトとし、都会の喧噪を忘れさせる上品な邸宅風。約1100本の樹木を植栽した中庭・プライベートガーデンを配置し、居住空間は都心型高級マンションの趣と機能に加え、車椅子の回転スペースの確保や、生活リズムセンサーやカードキーの導入による見守り機能などを装備した。

 

 家族や来訪者を迎えたり、居住者がコミュニティを育むための2つのラウンジ空間、予約不要のダイニング、檜風呂と石風呂の大浴場、アクティブシニアをサポートするフィットネスルームやシアタールームなど共用施設を用意した。帝国ホテル出身の総支配人と2人の支配人に加え、各種専門コンシェルジェと連携することで健康相談から家族での食事会や旅行の手配などまでホスピタリティに富んだサービス提供する。

 

 一般住戸の間取りはワンルームから2LDKまで。契約形態は終身建物賃貸借契約で、約59平方メートルの1LDK・1人入居で75歳の場合、賃料は前払い方式で約1億7000万円、月払い方式(年齢によらず)だと約94万円。月額利用料(共益費と基本サービス料)は約26万円程度という設定。

 

 今後、郊外大規模・リゾート型施設として「鴨川」(千葉県鴨川市、473室)を21年11月に開業予定であるほか、都心大規模・ラグジュアリー型として「西麻布」(東京都港区、約300戸)を計画中。将来的には首都圏と近畿圏で年間1、2物件、300から400戸程度コンスタントに供給していきたいという。

 

 三菱地所レジデンスはヘルスケアアセット開発の第1号物件として介護付き有料老人ホーム「チャームプレミア永福」(東京都杉並区永福、定員82人・48室)を今年3月に開業した。開発・保有して、運営会社のチャーム・ケア・コーポレーションに賃借するスキーム。チャーム・ケアにとっては富裕層向け「プレミア」シリーズの首都圏5番目の施設だ。

 

 京王井の頭線西永福駅から徒歩9分の大宮八幡宮など緑の多い住宅街で、2軒の個人住宅を取得して、周囲の街並みにマッチしたデザインを採用して開発した。居室は19~40平方メートル。食堂兼機能訓練室、カフェコーナー、多目的室、一般入浴室、ライブラリーコーナーなどを備えた。

 

 同社は、港区、品川区(2カ所)、板橋区、練馬区の5カ所で老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅を開発中。超高齢化など社会課題の解決につながる資産回転型のオペレーショナルアセットとして、ヘルスケア施設の開発と学生向けレジデンスなどの収益不動産の開発を強化しており、用地取得から企画・開発を行って一定期間、保有した後、リートやファンドに売却するスキームだ。

 

 東京建物グループによる「グレイプスウィズ四谷」は介護付き有料老人ホームでは珍しい都心型。バーカウンターを用意したり、外出支援など生活サポートによって自分らしい暮らしを実現する。