2019年暑中特集 11/14

市場の展望と課題 【不動産流通】

当面続く価格高騰主要都市は需要底堅く」

 

大阪中心に西日本に出店余地

 

 不動産流通市場は好調だ。中古マンションの成約件数を見ると、2018年度も新築分譲マンションの発売数を超えており、3年連続で新築を上回る成約数となっている。前年度の実績でも仲介大手は、取扱高・取扱件数・手数料収入を増やした。新築供給が少ない中で引き続き中古売買マーケットは底堅い取引が期待できそうだ。

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、中古マンションの6月の成約件数が機構発足以来の過去最高の件数となり、4~6月期を見ても第1四半期で機構発足以降の過去最高を記録した。流通最大手の三井不動産リアルティは、「足もとの市況感としては、前年に続いて今年度も底堅く推移している」と見ている。

 

 このほか「マンションと土地は前期並みに推移し、戸建てが減った」との声や、「都心部のマンション価格が上昇し過ぎて成約までに時間がかかるようになった」「高級物件が集中する麻布・赤坂・青山の3A地区では富裕層向けの中古マンションの買い手も依然として存在している」などさまざま反応がある中で、流通大手は「中古住宅は今年もニーズは底堅く推移し、東京五輪後に減退するとも見ていない」との見方が多い。

 

 こうした状況を受けて、住友不動産販売では、6~7月にかけて富裕層に照準を当てた店舗展開として専門仲介店を麻布、日本橋、新宿、品川、渋谷の計5カ所に一斉に出展するなど高級物件の売買取引を今後の収益増強につなげる戦略を鮮明にした。

 

 首都圏にとどまらず大阪や広島、福岡といった地方都市での取引も好調だ。福屋ホールディングスでは、「大阪市内や京都市の中心で高額物件の取引が多い。奈良は昨年の取引で件数・収入ともに若干前年の実績を下回ったが中心地以外でも物件単価が上昇しているほか、東京と福岡で取扱高が鈍化しているが、大阪市と京都市の取扱高が伸びている」として19年も順調な滑り出しだとする。2020年東京オリンピック・パラリンピックを控えてピークアウトを指摘する声もあって近畿圏に注目が集まる。

 

 飽和状態に近い東京よりも近畿圏のほうに出店余地があると西に拠点を増やす動きも顕著。実際の取引にどの程度プラスに働くかは見通せないが25年大阪・関西万博の開催決定はマインド的にプラスに作用するとの見方もある。福岡市内は、国家戦略特区エリアや九州大学跡地開発などを受けて投資マネーが潤沢に流れ込んで不動産取引も活況が続きそうだ。

新築時よりも値上がり/好立地中古の引き合い強く

 

 東京カンテイの調査では、東京都区部の中古マンション価格は平均5500万円台で推移し、都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)では年明けから再び強含んで7000万円台後半におよぶ。同社では築10年の中古マンションのリセールバリューを駅ごとに毎年調べている。

 

 今年7月に発表された調査で首都圏を見ると、東京都心部やその周辺エリア、横浜・川崎エリアを中心に新築マンション価格はミニバブル期のピークを大きく超えていることに伴い、中古マンション価格も連れ高の様相を呈して高水準に達する。販売価格の止まりを受けて歩留まりが鈍っているとの声もある。

 

 調査対象630駅のうち最もリセールバリューが高かったのは「原宿」で173・4%だった。新築分譲時に比べ7割以上値上がりした計算。JR山手線の南側は富裕層から高い人気を集める高級住宅地により資産価値が一段と高まりやすい。

 

 2位は、横浜高速鉄道みなとみらい線のみなとみらい駅(155・2%)、3位に東京メトロ南北線の溜池山王駅(142・7%)などとなっている。 近畿圏も283駅の中て大阪駅が173・7%で新築時から7割超も値上がりし最もリセールバリューが高かった。住宅地として高い人気の阪神エリアの駅は資産価値の大きな目減りは見られなかった。総体的に新築で見いだしづらくなった駅に近い好立地の引き合いが強いことに加え、消費者も新築か中古といった単純な選択肢ではなく、自分のライフスタイルにあった住まいを選別する中で中古を求める消費者が増えてもいる。

 不動産流通経営協会の「シニアの住宅に関する実態調査」では、加齢が進むとともに手元にお金が残せることや、コンパクトサイズの住まい、生活の利便性の高さを重視し、4人に1人が住まいのダウンサイジング意向を持っていることがわかった。ローン減税の対象面積を引き下げるなど社会構造変化の対応が欠かせない。引き下げが実現すると、対象物件の価格が上昇しそうだ。


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