2019年暑中特集 2/14

環境変化は事業機会

 

 今年5月に策定された「不動産業ビジョン2030」。「令和時代の『不動産最適活用』に向けて」をサブタイトルに、不動産業の持続的な発展に向けた官民共通の指針を示す。

 

 ビジョンは土地の資産性意識、テレワークなど企業ニーズ、持ち家志向、投資家ニーズなどが変化すると指摘する。

資産性意識は「土地神話の崩壊」というバブル崩壊後の意識変化だけではなく、「所有から利用へ」といった他の産業分野にも共通のシェアリングエコノミーといった考え方の変化も背景にある。すでに自動車などは、リース、レンタル、シェアと利用状況に応じてメニューがそろい、保有しなくても利用できる環境が整っている。

生活の基盤である住宅はどうだろうか。良質な賃貸住宅は、近年増え始めたとはいえその数は、まだまだ少ないのが現状ではないのか。特に、ファミリーを対象にした広さを持つものとなると、都心の高級物件など供給は一部に限られるのが現状である。

共働きが当たり前になり、かつての「住宅双六」でゴールとされた郊外の戸建ては、多くの人にとってはゴールとは言えない。

 ストック再生にも課題は山積する。徐々に制度改善は進むものの、マンション建て替えのハードルは高く、余剰容積はあっても場所によっては需要が低下している。

 

 需要が減少しているのであれば、新たな需要に対応する必要がある。コンバーションの足かせであった共同住宅と施設の容積除外ルールの統一など国も規制見直しを進めている。オフィスビルをホテルにしたり、賃貸マンションを宿泊施設にするなど、規模を問わず動き始めている住宅・不動産業者もじわり増加している。

 

 昨今、話題になった老後資金2000万円問題は、現金でためるよりも不動産を活用することのほうが現実的だという見方も多い。

 ビジョンは、不動産業を、豊かな住生活を支える基幹産業、我が国の持続的成長を支える産業、人々の交流の「場」を支える産業であるとしている。業界の役割は、ますます重要になる。


PR