2019年暑中特集 3/14

住宅・不動産業の未来 【開発事業】

人口減少社会で活路模索

 

 不動産開発業の歴史は、戦後の高度経済成長と大都市への人口集中によって形づくられてきた。住宅不足を解消するため、都市近郊での宅地造成に始まり、大規模ニュータウン開発による建売住宅や分譲マンション、さらにオフィスビルなどの供給を経て、今日の都市を形づくってきた。最近では既存市街地での複合再開発事業や建て替え事業、土地利用転換による住宅供給事業などリデベロップメントに軸が移りつつある。

 

 わが国が人口減少社会に突入し、開発業の全体規模が今後、縮小に向かうことは避けられない。しかし将来に向けて必要とされる良質な住宅や産業基盤などの社会資本を積み重ねていく事業は、開発業に課せられた重要な役割だ。開発と再開発による都市インフラの整備、そして新たな成長の道を求めて、にわかに本格化してきた海外事業。10年後には大きく変容を遂げた不動産開発業の姿が見られるかもしれない。

マンション事業形態は変わるのか/再開発、建て替え軸に

 

 不動産開発事業の柱はこれまで住宅供給だった。都市への人口集中に伴い、不足する住宅を勤労者世帯などに供給するためだったが、その住宅ストックが世帯数を上回ってから久しい。

  だが、より良質な住宅をより便利なところに、手頃な価格でマイホームを求める住宅需要は根強い。これまで全国の都市部を中心に分譲マンションや建売住宅の形で多くの新規住宅が供給され続け、需要に応えてきた。

 その数は減少傾向をたどっているが、今なお一定水準を保ち、大手の寡占化が進んでいるとはいえ、数多くの事業者が開発事業を展開している。

 

 不動産経済研究所の調べによると、首都圏と近畿圏の新築マンション供給戸数は、首都圏が年間3万5000戸前後、近畿圏が2万戸前後で推移している。

 バブル経済崩壊で落ち込んだ供給戸数は1994年から2006年にかけて、首都圏では年間8万戸前後の大量供給時代を迎え、リーマンショックなどの激変期を経て安定期に移り、今日に至った。供給量は、1970年代から80年代の高度経済成長期はざっと「首都圏5万戸、近畿圏2万5000戸」といわれていたが、それと比べても減少幅に大きな遜色はないように映る。

 

 当時の郊外化への流れとは逆に、都市近郊部での再開発型が主力となっていることを考えると、数字に表面上の変化はなくとも、供給される住宅の中身、質的変化は明白だ。郊外に新天地を求めた時代は終わり、都市部の既存市街地内、郊外・地方都市でも本格化してきた駅前再開発など、地域を活性化させるためのプロジェクトが主力となりつつある。

 権利調整に時間がかかり、都市基盤整備も併行して進める、地元の期待のかかる複合機能である。こうした事業に、開発事業者の側がどこまで対応できるのか。

 また、ここ10年来、マンション用地の大きな供給源となっているのが企業移転などに伴う工場・倉庫などの跡地利用だ。産業再編や立地見直しは今後も続くと見られるが、そこで発生する用地をどう活用できるか。

 さらに2018年末現在、約654・7万戸に拡大した分譲マンションストックのうち、旧耐震基準のストックが約104万戸あるという現実(国土交通省データ)。入居者と建物の「2つの老い」で管理組合運営が難しくなっているマンションも多く、現在社会問題化しつつある。

 こうした問題を解決するため、建て替え問題に開発事業者がどう関与できるのか。それぞれの物件が持つ余裕容積率などによって事業化の可能性は異なるが、新たな道を切り開くのも開発事業者の役割となるだろう。

「オールドニュータウン」の活性化/高齢化、空き家対策など

 

 分譲マンションと比べると、建て替えや大規模リフォーム工事や売買などの取引が行いやすいのが戸建て住宅。だが、街全体としてみると、入居者の高齢化が進み、社会人となってその住宅地を出ていった子どもたちが戻ってくるあてもない。空き家が目立ちはじめ、スーパーが撤退したり、商店街が寂れてしまった、かつての郊外ニュータウン。1970年代から80年代にかけて活発に供給された郊外住宅地をどう活性化させるか。

 

 この「オールドニュータウン」問題は、そこに住む住民、自治体、そして供給した開発業者にとっても急浮上してきた新たな問題だ。

 基盤整備されたかつてのニュータウンも放置するとどういう事態になるか。深刻化する前に何とか手を打つ必要があるし、地元の意識も高まってきている。

 個人財産の問題でもあるため、その対応は地元自治体などによってスタンスに温度差があるが、特にミニ開発による狭小住宅が多いエリアでは空き家の増加に危機感を強めている。首都圏のある自治体では、2軒ある住宅を取り壊して1軒の住宅を建てることや、1軒を取り壊して庭として、もう1軒をリノベーションして住んでもらう「2戸1住宅」を推奨。売買や賃貸で新しい住み手を呼び込む作戦だ。

 こうした住宅地全体の活性化、リノベーションに開発事業者がどう関わっていくことができるか。既存住宅街の活性化とともに、高度成長期に郊外に誕生したニュータウンは全国各地にある。すっかり落ち着いた佇まいの「オールドニュータウン」は、高齢化の進展と買い物難民化、交通利便性の確保などさまざまな問題を抱えているが、こうした団地の再生、リデベロップメントも新しい事業領域である。


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