2019年暑中特集 4/14

業務系開発、リート受け皿に/物流施設からシニア住宅まで

 

 最近10年間で、不動産開発業の新しい事業領域となったのが物流施設開発事業。そしてホテル開発事業も訪日外国人観光客の増加とともに加速。従来からの開発から運営管理まで手がけるスタイルもあれば、開発事業を中心に運営はオペレーション会社と組んで展開する企業もあるが、ホテル開発は各社が手がける開発事業メニューの1つとなった。業務系開発の主力であるオフィスビル、商業施設、さらに賃貸住宅などとともに、いずれも投資運用商品としてリート(不動産投資信託)が購入の受け皿になっているケースが多い。

 

 住宅系開発ではこれまで企業間で取り組み姿勢が異なっていた、シニア住宅開発もにわかに活発化した。今後、団塊世代を中心に急速に進む高齢化の受け皿づくりで、これまで慎重だった企業も積極策に転換。富裕層向けを中心に、不動産開発事業者によるシニア住宅事業がこれから本格化する。ヘルスケアリートなどの動きがどう展開するかにもよるが、開発に伴うリスク要因は徐々に軽減されつつある。だが、今後10年先を見越すと、シニア住宅は成熟期から縮小期に差し掛かることも指摘される。各社がどう判断するかだ。

成長に不可欠、本格化する海外事業/アジア中心に進出相次ぐ

 

 国内事業で市場のパイが縮小傾向をたどるとしたら、企業が成長するには海外に活路を見出すしかない。国内市場でのシェアアップは当然のこととしても、海外事業は将来を見通した成長戦略の柱の1つになるはずだ。

 例えば、三井不動産は「ビジョン2025」で「国内事業競争力の一層の強化/海外事業の飛躍的な成長」を掲げて事業を推進。この中で2025年前後に連結営業利益3500億円程度を目指し、その30%程度を海外事業利益と想定する。

 現在、三井不動産、三菱地所、東急不動産、野村不動産、東京建物など大手不動産各社は米国、欧州、中国のほか、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどのアセアン諸国で住宅開発からオフィス・商業系開発に取り組んでいる。現地の大手デベロッパーと組んで共同開発する形が中心だが、インドネシア進出40年以上の東急不動産は現地法人が独自開発として分譲マンションやオフィス開発を展開中だ。

 経済成長が続くアジアには日本の高度成長期のような勢いがある。住友不動産は7月、インドの経済都市・ムンバイに進出すると発表した。ムンバイ新都心のオフィスビル開発用地を地元開発庁から取得。東京でのオフィス開発事業と同じような事業展開を目指す。同社では「東京に次ぐ事業地を探すべく、世界各都市を数年かけて調査。成長期待が高い親日国の、経済規模が大きい商都・ムンバイを候補地に選定」したという。

 かつて大手不動産の海外事業といえば、景気変動の波にもまれ、進出と撤収を繰り返してきた苦い歴史がある。今回の海外進出は将来につなげる、成長するための事業展開である。内容は開発・分譲型もあれば、開発・保有運営型もあるが、現地で根付き、貢献する、真のグローバル企業に脱皮していくことが求められるだろう。


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