防災特集 4/5

ハード、ソフト両面とも進化、分譲マンションの防災対策

 

マンションの防災対策が年々進化している。免震工法や制振工法を採用する大型タワーマンションだけでない。施工段階で基準を上回る回数の検査を実施したり、第3者である専門家がチェックする「建設住宅性能評価」を取得することも一般化し、「震度6~7程度の地震を受けても倒壊、あるいは崩壊しない」ことが定められている現行の耐震基準への適合をより確実なものにする。構造面に加えて、防災倉庫や避難訓練などハード、ソフトの両面で、被災後を含む安全・安心を提供する。

 

 

 

自助力・共助力を高める

 

 大規模災害時には、一度に多数の被災者が発生するため、限られた人数の消防や警察、行政ではたとえフル回転できてもできることに限界がある。大規模災害では、近県や遠方からの応援部隊が派遣されることがあるが、到着までに時間がかかるのは避けられない。

 

 そのため、自分自身や家族の命と財産を守る備え=自助、近隣での助け合い=共助が必要だとされる。

 

 自宅の耐震性を高めたり、家具などの転倒・移動防止といった対策に加えて、食料や飲料水の備蓄、災害用簡易トイレの備蓄、安否確認の伝達手段の確保、避難経路の確認などだ。

 

 食料や水は避難所に行けば手に入ると思っても、避難所運営が立ち上がるまでは時間を要する。特に大都市では、被災人数が多いことに加えて行政職員の他地域に居住することがあるため、さらに時間がかかる可能性がある。

 

 

“楽しめる防災訓練”も

 

 マンション側での備えも進む。例えば防災倉庫。今では一定規模以上のマンションには新築時に整備することが一般的と言えるまで普及した。高層マンションでは数階おきに分散したり、各階に設置ケースも見られる。各住戸ごとに防災用備蓄倉庫を備えたマンションもすでに登場している。

 

 敷地内に防災用の井戸を設けたり、マンホールトイレ、かまどベンチを用意するといった対応は、すでに普及している。

 

 マンホールトイレは、マンション施工最大手の長谷工コーポレーションが2003年から事業主にマンホールトイレと非常用飲料水生成システム、かまどスツールの3点セット導入提案を始め、今では防災用井戸を含めて一定規模以上のマンションでは標準化。小規模マンションを除くと一般的に見られる防災アイテムとなった。戸建て分譲地でも、防災用井戸、かまどベンチなどを備えるケースも見られる。ただ、こうした備えは、使えなければ効果を発揮できない。

 

 

アウトドア体験

 

 管理組合の要請に応えて、マンション管理各社もさまざまなプログラムを用意する。

 

 ガスが使えなくなったと想定した炊き出しを、アウトドア感覚で体験するといったイベント型訓練もある。

 

 アウトドア用品を共用備品として用意するとともに、アウトドアテーマにしたイベントを企画して、炊き出しの訓練と、災害時に必要とされる共助のベースとなるコミュニティを育む企画を導入したマンションも複数誕生している。防災食をそのまま食べるだけでなく、楽しみながらアレンジしたり、防災器具などを活用して家庭にある食材を調理する体験型訓練によって、自助力・共助力を高める。

 

 建物に損傷がなくても、停電時によってポンプが停止して水が使えなくなることも考えられる。こうした場合でも、水道の供給は続いていれば使える共用部の直結水栓を使った防災訓練などもめずらしくない。


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