住生活月間 特集 4/9

郊外の分譲マンション、都心、駅前・再開発以外は苦戦?

商品力で人気物件も

[寄稿住宅ジャーナリスト櫻井幸雄]

 

首都圏では、都心立地と郊外駅近立地の新築分譲マンションの人気が上がって、価格も上昇。一向に下がる気配がない。一方で、郊外で駅から離れた場所のマンションでは、苦戦するケースが目立つ。もちろん、郊外でも駅に近い再開発エリアのマンション、それも久々に販売される物件であれば、注目度が高く、売れ行きは好調。「ブランズ蓮田」や栃木県内で短期間に完売した「プレミスト小山駅前ステーションコート」は、その分かりやすい例だろう。しかし、郊外で、駅から離れたマンションとなると、苦戦しがちなのだが、例外もある。昨年から取材してきた物件のなかから、その好例となるものをまとめてみたい。

 

 

駅徒歩10分以上でも大人気/共用施設や管理に工夫

 

 

「リビオシティ・ルネ葛西」「TOKYOキラリスナPROJECT」、「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」……

いずれも、昨年から今年にかけて人気マンションとなった例だ。

 

 

それらの共通点は、「駅から離れている」こと、そして総戸数200戸以上の大規模であることだ。

 

 そのスケールメリットで、魅力的な共用施設をつくっている。「幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンス」では、敷地内に設置される認可保育園に対し、居住者優先的に利用できる。認可保育園で居住者優先が正式に打ち出されたのは、首都圏で初めて。分譲マンションを購入する子育て共働き世帯にとって大きな魅力となっている。

 

 神奈川県大和市つきみ野の「グランアリーナレジデンス」では、敷地内に全戸分の駐車スペースを確保する。その駐車スペースはすべて平置きと自走式で、機械式駐車場はない。維持費用が少なくて済むため、月々の駐車場使用料は500円から6000円の予定だ。

 

 

 さらに、マンション居住者専用のシャトルバスも用意される。シャトルバスはマンションの管理費で運行され、乗車時に運賃を支払う必要はない。家族全員で通勤や通学に使えば、お得感が大きい。さらに、企業によっては管理費のうちシャトルバス分を通勤定期代として計上できるケースもある。そうなると、さらにお得感が高まるだろう。

 

 

 シャトルバスはないが、路線バスの使い勝手のよさで人気を高めているのが、「プラウドシティ吉祥寺」だ。

 

 「吉祥寺駅までバス約10分」なのだが、その使い勝手がよい。まず、吉祥寺駅周辺は道路が混雑しやすいのだが、バス専用レーンが設けられているので、路線バスはほぼオンタイムで運行される。

 

 そして、マンションの敷地内に新設のバス停が設置されるので、バス停までは徒歩0分。そのバス停から、朝の時間帯はほぼ2分間隔で吉祥寺駅行きもしくは三鷹駅行きが出る。これなら「駅から徒歩10分」に住むのと所要時間は変わらない。雨の日や暑い日は、むしろ楽だろう。

 

 バス便立地なのだが、そんなに不便ではない。一方で、分譲価格は抑えられ、5000万円台で購入できる3LDKが多い。

 

 住戸は、パイプスペース(竪管)を一つにまとめた「ミライフル」の採用で、無駄のない間取りを実現。システムキッチンを中央に配置(アイランド型)し、回遊動線で家事をこなしやすいプランも提案されている。ディスポーザー、食器洗い乾燥機を標準設置。トイレは手洗いカウンター付きなど、設備仕様のレベルも高い。

 

 

 販売が始まったばかりの「ルネ稲毛海岸グランマークス」もプランニングの質は高い。

 

 平均専有面積が71・7平方メートルと広く。「UGOCLO」をはじめとした収納スペースが充実する。「UGOCLO」はグッドデザイン受賞の間仕切り可動システムだ。このほか、収納スペースのドア裏にフックが付いていたり、布団クローゼットにパイプが設置されているなど、細やかな工夫も多い。

 

 住戸内設備では、キッチンにディスポーザーと食器洗い乾燥機を標準設置。バルコニーの奥行は2メートルあり、ゆとりを感じさせる。特に角住戸タイプのゆとりは大きい。

 

 

圧縮プランに不満たまる/ゆとりの広さ、充実の設備

 

 

ここ数年、都心立地や駅近立地のマンションが人気を高めた背景には、資産価値重視の風潮がある。「将来、高く売れること」「高く貸せること」を重視する人が増えた結果だろう。

 

 人気が高まった結果、都心部と駅近立地の新築マンションは分譲価格が大きく上がった。さらに、専有面積も狭くなった。昭和時代は75平方メートル程度あった3LDKが70平方メートルになり、65平方メートルに。さらには60平方メートル程度の3LDKも生まれるようになった。

 

 

 昭和時代と比べて、現在のマンション住戸は四隅の柱形を極力住戸外に出すようになっているし、室内廊下も短くなっている。室内の有効面積が広がっているので、現在の70平方メートルは昭和時代の73平方メートルか75平方メートル程度の広さがあり、単純に「今の3LDKは狭い」とは言い切れない。が、さすが、60平方メートルクラスの3LDKは狭い。

 

 

設備関連も省かれて、いわゆる“圧縮プラン”が増加してきた。広さも設備も省かれる“圧縮”が行われると、マンション購入検討者の間にも、ストレスというか不満がたまってくるのではないか。

 

 

 言葉に出して「物足りない」とは言わないが、潜在的な「物足りなさ」がたまってくる。こういう状態のときに、「ゆったりした広さ」で「充実設備」のマンション住戸をみせると、急に目の前が開ける思いがするものだ。

 

検討者の目が輝く

 

 不動産の世界では、このような「反動」を無視することができない。高くなりすぎると、値下がりが始まる。値下がりが続くと、反転する。都心が加熱すると、その周辺エリアに注目が移る、といった具合だ。

 マンションの販売センターを見て回っていると、そのような現象が起きているように思えてならない。「晴海フラッグ」では、広く、設備充実のモデルルームを見た人の多くが目を輝かせる。それも、同じ流れといえるだろう。


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