住生活月間 特集 7/9

注文住宅「強み」生かし差別化商品

 

2018年から19年にかけての住宅メーカーの新商品のトレンドワードは、長寿化社会(人生100年時代の到来)、家族構成の変化、共働き世帯の増加、ミレニアル世代、IoT、地球温暖化、多発する自然災害(レジリエンス)、エネルギー自給自足など。住宅市場が縮小する中、住宅メーカーの商品開発も、横一線から各社の強みを生かす商品開発へと変わりつつある。

 

(ハウジングライター・藤原利彦)

 

 

器超え新たな価値を創出/“健康づくり”を訴求

 

 

 

 積水ハウスが、昨年9月に発表したコア事業(請負住宅)のビジョンは「わが家を世界一幸せな場所にする」。人生100年時代の幸せをアシストする住まいづくりを目指して、健康、家族とのつながり、私らしさ、生きがい、楽しさ、役立ちなどの幸福感の醸成を基軸に、家族やライフスタイルの変化に対応していく。そのために住宅という器から一歩踏み込んで展開する。

 第1弾は、来春発売予定の「健康をつくり出す家」。寝ているだけで健康になる、顔の表情や風呂に入ると健康がチェックできる家を目指す。IoTやAIを駆使して住まいの新たな価値を創出する。

 

 

100歳時代見据え/多世代居住を提案

 

 

住宅FC事業を展開するリクシル住宅研究所が昨年7月に発表した新たなコンセプトホームは「人生100歳時代の未来住宅~五世代」。人生100歳時代を見据え、五世代4世帯の家族が共に元気に暮らす住まいだ。

 

 「五世代」は、85歳(高齢者世代)、65歳(充実世代)、45歳(働き盛り世代)、25歳(子育て世代)とその子どもの4世帯五世代が同じ屋根の下に住む。4世帯がつながるよう家の中央にコネクティング・フロアを設け、それを取り囲むように4世帯の住ユニットを配置する。

 

 人生100歳時代の住宅は、あえて段差を設け「からだを鍛える家」を提案。高齢者の住ユニットはメゾネットにし、毎日階段を上り下りすることで足腰を鍛え、股関節の運動ができる手すりや、ぶら下がり運動ができる雲梯を階段下に設置するなどの仕掛けを施した。

 平屋人気子育て層へ/“内と外をつなぐ”商品も

 

 

 平屋の住宅も静かなブーム。かつて標準世帯といえば夫婦2人と子ども2人の4人家族だったが一人世帯や夫婦2人世帯が増加。家族構成が変化して平屋が人気。住友林業のデータでは18年度受注の28%が平屋。5年前の14%からポイントは倍増した。

 

 平屋人気はシルバー層だけでなく、子育て世帯も平屋希望が増えている。どこにいても家族の気配がわかる。庭など屋外の自然と近く、子どもの豊かな感性を育む。

 ユニークな商品は、「BESS」ブランドで住宅事業を展開するアールシーコアが4月に発売した「ワンダーデバイスギャング」。夫婦+子ども1人の生活を想定、延べ床面積はわずか64平方メートル。これにデッキ31・7平方メートルとログ小屋の9・9平方メートルをセットにして、外と内をつなぐ暮らしを実現する。アウトドアライフ志向の若年層がターゲットだ。

 

 

 

省エネが進化/自給自足を訴求/3機器の連携型も

 

 

大手住宅メーカーの新商品で息の長いテーマは省エネ。省エネ視点での住宅開発は年々進化している。

 

 積水化学工業は20年前から太陽光発電を標準搭載して、住宅の省エネに取り組んできた。

 

 第1ステージは光熱費ゼロを訴求、第2ステージではエネルギー収支ゼロ(ZEH)を推進、そして第3ステージの今は、エネルギー自給自足住宅を訴求する。今年発売した「スマートハイムTB」はEV時代を見据え、PVと蓄電池、EVを接続するV2Hスタンドの3つの機器を1つのシステムとして連携するトライブリッドを標準採用した。

 

 

飲料水の確保などZEHに防災機能

 

 

今年の新商品のトレンドはZEHレジリエンス。ZEH補助金制度にレジリエンス機能強化が新設されたのを受けて、防災レジリエンスをテーマにした新商品が相次いだ。

 

 トヨタホームが4月に発売した「災害にいちばん強い家を」は、V2Hシステムを導入、3電池に対応、飲料水を最大120リットル確保し、災害時も住み続けることができる。

 

 

雨水処理を強化、強風被害も想定

 

ミサワホームは、備える・守る・支える3つの視点から災害に強い家を提案。従来品に比べ、1・3倍の雨水処理能力がある「高排水設計のサイホン樋」、台風などの強風による被害を想定した「耐風仕様の屋根と軒樋」などを標準採用した。

 

 

共働き、部屋干しなど/ミレニアル世代に照準

 

 

共働き世帯が年々増加し、いまや1200万世帯を超えた。また、住宅需要の中心層の30代は、ミレニアル世代(1980年~1990年生まれ)。

 三井ホームが今年春に投入したスカイラナイのある家「ルーカス」は共働き世帯&ミレニアル世代がターゲット。ミレニアル世代は、モノよりコト(体験)、広告より口コミを信頼し、共感や評価を重視する。また、共働き世帯は「洗濯」に関する不満が多い。共働き(フルタイム)世帯ほど洗濯物を屋外に干さない。室内干しスペース、衣類乾燥機希望は50代に比べて約2倍。冷凍食品や作り置き料理を利用する傾向が強い、といった調査結果をもとに開発した。

 

 

住設IoT化で家事時間減らす

 

 

新商品ではないが、旭化成ホームズは8月に「共働き家族応援フェア」を開催した。今、働き方改革が言われる中、家事・育児の時間は減っていない。家事時間を減らす5つのアイテムを標準採用したキャンペーンだった。

 

 標準採用したアイテムは、(1)ユニットバスの床掃除が月一度、スイッチを入れるだけでOKの床ワイパー(2)子供を抱きながら開け閉めがスムーズにできるタッチキー&高機能インターホン(3)外出先からLINEでエアコン・給湯器連携、スマホからインターホン確認通話ができる「帰宅時快適プラン」(4)タッチレス水栓(5)調理時間&お手入れ時間を短縮する高機能ガスコンロの5つ。

 

 2020年に向けてどんなトレンドワードが出てくるのか注目される。


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