住生活月間 特集 8/9

新分野開拓で生き残り  住宅大手需要創造、社会課題を解決

 

新築住宅のマーケットは今後、人口減少などを背景に縮小していく。住宅メーカーが販売戸数を維持するにはシェアアップ戦略ということになるが、各社が同じようにシェアアップは難しい。新たな視点での事業構築に向けての取り組みが活発化している。キーワードは新たな発想での需要創造と困りごと解決視点での新たなビジネスの構築である。

 

(ハウジングライター・藤原利彦)

 

 

ストック活用事業団地再生・空き家管理へ

 

 

 大和ハウス工業の新たな取り組みはリブネス事業。いわゆる住宅ストック活用ビジネスである。昨年1月にリブネスブランドを立ち上げて本格的に取り組んでいる。

 

 リブネスブランドを立ち上げたのは、グループで住宅ストック事業を展開している大和ハウス工業、日本住宅流通、大和ハウスリフォームなど8社で、独自に展開していた住宅ストック事業に横串を入れる必要があると考え、統一ブランド「リブネス」を立ち上げた。

 

 リブネス事業は、これまで不動産仲介、戸建住宅やマンションの買い取り、リフォームを中心に展開してきたが、新たな取り組みは団地再生事業。兵庫県三木市の「緑ヶ丘ネオポリス」、神奈川県横浜市の「上郷ネオポリス」でトライしている。かつて活況を呈したニュータウンも40年、50年の時を刻むと町の高齢化、空き家の増加などの問題を抱えるところが出ている。公共団体と一緒に解決へ知恵を絞る。

 

 もう一つ、社会問題化してきているのが空き家問題。空き家管理サービスにも進出する。

 

 長期出張や海外赴任者の留守宅を管理する会社はあったが、空き家の管理は初めて。全国に1000万戸超の空き家があることに注目、同社がネットワークしている不動産会社を核にアウトソーシングで展開する方針。

 住宅ストックビジネスは19年3月期の売上高1317億円から、3年後に21・4%増の1600億円を計画している。

 

 

今、非住宅の木造化・木質化にフォローの風が吹いている。2010年に施行された公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を契機に、木材活用が活発化、幼稚園、老人ホーム、学校など中規模建物にも採用されるようになった。さらにホテル、事務所など大規模建物への活用が期待されている。木質系の住宅メーカーの住友林業、三井ホーム、ポラスグループなどは中大規模木造建築分野の開拓に注力する。

 

 公共建築物に木材利用を促進する法律が施行されて10年近くになるが、建築着工統計上では、非住宅物件のうち木造で建てられているのはまだまだ少ない。国の後押しがあるので、今後さらに拡大が期待されている。

 

 大きな夢を掲げて推進するのは住友林業。昨年2月、研究・技術開発の中長期ビジョン「木造超高層建築の開発構想W350計画」を発表した。この計画は同社創業350年の2041年に高さ350メートルの木造超高層建築物の実現を目指している=完成イメージ(上)。

 

 目標達成のためのロードマップも作成している。建築地は東京都千代田区丸の内。敷地面積6500平方メートルに地上70階建て(350メートル)延べ床面積45万5000平方メートルの木造超高層建物を建築する。店舗、オフィス、ホテル、住宅が集積する環境木化都市で、構造は木鋼ハイブリッド構造(内部は純木造)とする。 現在の木化建築は、2時間耐火、中層の6階建てまで。まずは「W70計画」で3時間耐火部材を開発し、14階建てを建築する技術を2020年前半で確立、「W200計画」でオリジナル防火・延焼防止システム、高強度構造用木材の開発、雷対応を2030年までに確立する。そして2041年までに環境・健康に良い木質インフラ、植物由来新素材の開発などを進めていく。

 街を森に変える環境木化都市構想は林業再生による地方活性化と森林の健全化につながる。夢は広がっている。

 

 

宿泊ニーズを創出/観光資源をネットワーク化

 

 

 

積水ハウスが新規事業として取り組んでいるのが「Trip Base道の駅プロジェクト」。地方自治体と連携し、「道の駅」をハブにしたホテルの建設だ=完成イメージ(右)。家余りの時代を迎えて今後、戸建住宅・賃貸住宅だけでは厳しくなることから次の成長戦略として、非住宅建築のマーケットを拡大する。

 

 外国人来日客の増大からホテルの新築、改装が活発化しているが、道の駅プロジェクトは、新しい旅のスタイルの提案×地方創生・地方活性化を旗印にしている。これまで休憩・通過点でしかなかった道の駅をハブとして、分散している観光資源をネットワーク化、地域活性化につなげる。新発想のホテル建築事業といえる。インバウンド市場は急速な成長を遂げており、来日外国人は、2020年には年4000万人を超すといわれている。

 

 インバウンド需要目当てのホテルは、東京、大阪などの大都市、しかも中高層ホテルであるが、同社が推進しようとしているのは住宅メーカーとして築いてきた技術で、3~5階建ての低層ホテル。第1弾は2020年秋にオープンする。栃木県(宇都宮市、茂木町、日光市)、岐阜県(美濃市、郡上市、美濃加茂市、高山市)、三重県(御浜町、大台町)、京都府(宮津市、京丹波町、南山城村)、和歌山県(すさみ町、串本町、田辺市)の15プロジェクト1000室を計画している。第2弾、第3弾を含めると3000室になる。

 同社は、マリオット・インターナショナルをパートナーにホテル事業展開しているが、今回の道の駅プロジェクトも、マリオットグループのフェアフィールド・バイ・マリオットとタッグを組んで展開する。ホテル運営はフェアフィールド・バイ・マリオットに委託することにしている。


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