住生活月間 特集 9/9

地域の賑わいと交流を促進    役割増すエリアマネジメント

 

 

 少子高齢化・人口減少社会を迎え、地域コミュニティの形成や活性化が大きな課題となって久しい。今、元気な街・住宅地もそのままではいずれ活力を失うときが来るし、住民の高齢化が進み、賑わいをどう取り戻すかに頭を痛めている地域住民や行政関係者も多いことだろう。そうした地域の課題を解決していくための手法の一つが「エリアマネジメント」。10年あまり前から注目されてきた。既に商店街や団地などを中心に、全国各地で数多くのエリアマネジメント組織がさまざまな活動を展開している。最近では、大手不動産会社などが街づくりの推進や地域の持続的な賑わいを保つための手法として、積極的に導入し始めている。

 

 

 国土交通省の資料などによると、エリアマネジメントとは「住民、事業主、地権者などによる自主的な取り組み」のこと。例えば住宅地では「建築協定を活用した良好な街並み景観の形成・維持や、広場や集会所などを共有する人々による管理組合の組織と、管理行為を手がかりとした良好なコミュニティづくり」。業務・商業地では「市街地開発と連動した街並み景観の誘導、地域美化やイベントの開催・広報などの地域プロモーションの展開」--などがある。

 

 

 活動主体や参加者・連携者はさまざまだが、その活動目的は街「エリア」を活性化させ、より価値を高めていくための取り組み、と理解できる。昭和期に開発されたニュータウンや団地では、入居者の高齢化や建物の老朽化などで空き家が目立ち始め、「オールドニュータウン問題」や「都会の限界集落問題」とも呼ばれる状況にある。難しい問題だが、打開するために住民団体と地元行政、NPO法人、さらに地域で展開する住宅・不動産会社などが連携してエリアマネジメントを活用する方法も考えられるのではないか。

 

刻々と変化する街

 

 

 東急不動産と鹿島建設が共同推進する「(仮称)竹芝地区開発計画」(東京都港区海岸1丁目)。エリアマネジメントを活用した新しい街づくりが進められている。写真は今年8月21~23日に開かれた「第5回竹芝夏ふぇすシーサイドミュージック&ダイニング」の会場風景。両社が設立した事業会社と一般社団法人竹芝エリアマネジメントが主催した。

 

 都有地を活用する事業が正式に決まった5年前から「新たな賑わいの創出や地域コミュニティの形成」を目的に、企業や行政機関などと連携してエリアマネジメント活動を展開してきた。開発事業が竣工する前からエリアマネジメント活動を行うのは珍しい。それだけ公共性の高い事業であることと、事業者側の地域活性化への意気込みのほどが表れている。

 

 「竹芝開発計画」は東京都の「都市再生ステップアップ・プロジェクト」の一つ。国家戦略特別区域計画の特定事業の整備方針に基づいて、業務棟と住宅棟からなる延べ床面積約20万平方メートルの大型複合再開発である。開業予定は2020年夏。

 

 都有施設の東京都立産業貿易センターを一体整備して中小企業や次世代産業の支援を行うほか、現在、街を“分断”している首都高速道路を跨ぎ、JR浜松町駅とゆりかもめ竹芝駅・竹芝ふ頭を結ぶ全長約500メートルのバリアフリーデッキによる歩行者ネットワークも整備する。工事は着々と進み、街の姿は刻々と変化している。

 

 

 9月末、竹芝ふ頭を背に夏ふぇす会場だった客船ターミナル前広場を望むと、超高層・業務棟の外装工事は順調に進み、左手の賃貸住宅棟は高さを増した。右手、浜離宮側で工事が進むのがJR東日本の開発計画「ウォーターズ竹芝」。26階建てタワー棟と2つの劇団四季専用劇場が入る6階建てシアター棟が姿を現した。オフィス・商業施設は来春開業する。JR東日本は「夏ふぇす」を協賛した。東京都、港区、団体・企業などが後援者として名を連ねた。竹芝地区のエリアマネジメント活動は着実な広がりを見せている。

 

将来への地域資源

 

 

 こうした都心部周辺の複合再開発だけでなく、大型マンション開発などでも地域全体の活性化を図るため、エリアマネジメントを導入する開発事業者やプロジェクト事例が出始めている。マンション購入者・居住者には一定の負担が伴うが、地域全体のコミュニティやにぎわいを目的とする活動は将来に向けた地域資源でもある。新しい開発地や既存住宅地・商店街など、さまざまな地域で「エリアマネジメント」が改めて注目されるときが来たようだ。


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