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リーマンショックから4年…、会社再生徐々に進む、自社分譲本格再開も相次ぐ

  • 2012.06.05
 2008年9月のリーマン・ショックは、“ファンドバブル”を背景に過去最高業績を更新し続けていた住宅・不動産各社に大きな打撃を与えた。とくに自己資本に対する借り入れの割合が高いマンション各社は業績が急落、09年には倒産した上場企業33社のうち10社がマンション分譲を手がける企業だった。倒産企業以外でも、多くの企業が苦況に追い込まれた。社会全体の景気低迷は続き業績低迷にあえぐ企業が多い中、いくつかの企業は経営戦略を大幅に見直し鮮やかな業績回復を果たした。さらには倒産した企業の中にも再生し、業績を拡大する例が見られ始めている。



■フージャース3年で売上8割減、得意分野再構築でV字回復



 マンション分譲のフージャースコーポレーションは業績が落ち込んだ期間を販売代理で乗り切り、分譲を再開しV字回復を果たした。

 同社は08年3月期に売上高512億8600万円(前期比36.3%増)、営業利益61億7000万円(同9.9%増)、経常利益55億4300万円(同2.6%増)、最終利益32億200万円(同0.7%増)と売上高、営業利益、経常利益が過去最高となったが、次期以降はリーマン・ショックの影響で業績は下降線をたどった。

 09年3月期は営業損失102億2300万円、最終損失138億6100万円を計上した。ここから分譲マンションの新規供給を抑制し他社開発案件の販売代理などでしのいだ。さまざまな案件があったが、元来の販売力でいずれも短期で売り切り、次の仕事を呼び込んだ。11年3月期は売上高86億5100万円(同73.6%減)と3年前の8割減と大幅減収になったものの、営業利益23億2600万円(同64.9%増)、最終利益26億2800万円(同111.9%増)と2期連続で増益となった。

 その期間にファミリーマンション分譲に比べて投下資金が少なく投資回収期間の短いコンパクトマンションや戸建分譲、中古マンションといった分野にも進出し、事業ポートフォリオを拡大。危機前に取得した不採算用地の売却を進めるとともに、継続保有用地も利益が見込める水準までの減損を進めるといった過去の処理を進め、得意分野であるマンションの自社分譲を本格的に再開した。12年3月期は売上高210億4500万円(同143.3%増)、営業利益51億8300万円(同122.8%増)、最終利益53億6200万円(同104.0%増)と売上高、利益ともに2倍超の伸びとなった。

 主力の分譲マンションは、埼玉や千葉の郊外中心だった事業エリアは都下や神奈川まで拡大。タネをまいてきたコンパクトマンションや戸建分譲も売上計上が本格化した。

 今期は売上高310億円(同47.3%増)、営業利益60億円(同15.8%増)、最終利益33億円(同38.5%減)を計画する。コアビジネスである首都圏の一次取得者向けのファミリーマンション分譲を主体としながらも、戸建分譲の強化や、コンパクトマンションによって事業リスクを分散。東北や関西圏でもマンション分譲を模索。中古マンションの再生販売といった新しい事業領域や、販売代理、AM・PMといったフィービジネスも強化し、景気変動に強い企業体質の構築を目指す。



■レオパレスローン厳格化で受注激減、賃貸事業強化で黒字転換



 レオパレス21は前期(12年3月期)の連結決算で、3期ぶりに黒字転換を果たした。同社は09年3月期には売上高7332億3500万円(前期比9.0%増)、営業利益501億5600万円(同29.8%減)と売上高が過去最高になったが、期中に発生したリーマン・ショックが同社の事業に大きな影響を与えた。

 銀行がアパートローンの審査を厳格化、場合によっては契約済みのローンを解約するケースも相次ぎアパート受注が不振に。受注高が4割近く減少するなど、次期以降に不安要素が残った。サブリース中心の賃貸事業では企業業績の悪化から法人契約解約が相次ぎ、入居率が下落し業績悪化につながった。

 翌10年3月期には売上高6203億7600万円(同15.4%減)、営業損失297億2700万円、最終損失790億7500万円(前期は99億5100万円の利益)と創業以来初の赤字計上。11年3月期も売上高4843億9000万円(前期比21.9%減)、営業損失236億700万円、最終損失408億8900万円と2年連続で赤字を計上した。

 この期から事業構造の抜本的な見直しに踏み切り、主力のアパート建築請負から賃貸事業に舵を切った。法人営業の強化や外国人留学生などの囲い込みを強化するとともに、各種入居特典キャンペーン、仲介フランチャイズ事業の導入や都市部への積極的な直営店の出店などにより客付け強化に努めた。

 そのほかでも既存物件のオーナーに太陽光発電システム設置を勧めるなどストック事業に経営資源を集約し、強化を図った。

 それが実を結び12年3月期は売上高4594億3600万円(前期比5.2%減)、営業利益45億8500万円(前期は236億700万円の損失)、経常利益23億4900万円(同318億800万円の損失)、最終利益15億8800万円(同408億8900万円の損失)と3期ぶりに黒字に転換。賃貸事業の営業利益が、前期の300億円の損失から、52億円の利益に転換した。

 このほど、13年3月期を初年度とする新中期経営計画を策定。賃貸事業では店舗網の拡大と法人営業の強化を打ち出したことが業績好転につながった。

 店舗については今期、直営店を13店、FC店を30店増やす計画。海外8店舗を加えて早急に400店舗体制を構築する。特に首都圏をはじめとした三大都市圏での直営出店を加速して入居窓口の拡大を図る。

 請負事業は中期計画の3年間で緩やかな拡大を見込む。都市部の築浅物件は高稼働率となっていることから、高い入居率が今後も見込める都市部にターゲットを絞る。



■モリモト、倒産から再生、引渡対応が評価受け信頼得る



 モリモトは民事再生に追い込まれながらも、見事によみがえった。

 同社は08年11月に1615億円の負債を抱え民事再生の適用を申請。11年3月には、09年6月に再生計画認可の決定を受けてから1年9カ月で再生計画に沿った債務弁済をすべて終えた。

 民事再生申請直後の09年年明けから、3月末に引き渡しが迫っていたマンション4棟・518戸の万全の顧客対応が再生に向けた第一歩となった。

 週末を中心に計11回にわたる契約者説明会を開催。民事再生に至った経緯の説明をはじめ、引き渡し後のアフターサービスを懸念するすべての顧客の不安解消に全社挙げて取り組んだ。

 顧客にとって大きな不安要因となる瑕疵担保責任については、制度施行前だった瑕疵担保保険に任意で加入することで対応した。以前から同社が性能表示取得を標準化していたために竣工を目前に控えた段階での保険加入が可能だったという。

 事実上の倒産企業からの引き渡しという状況にもかかわらず、キャンセルはごく一部にとどまった。キャンセル住戸も、短期間に販売を終えた。

 無事引き渡しを終えたことが債権者やスポンサー候補にとっての信頼感につながった。4月にはスポンサー企業が決まり、6月に再生計画の認可を得た。仕込み済みだった一部の用地を売却する一方で、マンション分譲を再開。再生中の企業による分譲であるにもかかわらず、いずれも2週から最長でも20週程度で早期に完売。08年から再生期間中を含めてマンションの完成在庫ゼロを続けている。

 翌10年には仕入れも再開。再生中の企業にとっては投資が大きくなる規模の案件では、大手デベロッパーとの共同事業が実現した。

 城南、城西、川崎、横浜といった確実に需要が見込めるエリアのなかでも立地を厳選した仕入れと、物件ごとに作り込むデザインが評価されるなど、一度破たんしてもなお毀損することのなかった『モリモト』のブランド力が再生の力となった。

 直近の売上高は250億円規模。一時はビルや商業施設開発も手掛け800億円規模の売り上げがあったものの、当面は分譲マンションを中心に年500戸程度の供給を継続する。



●新日本建物、4期ぶり黒字転換

 10年11月から事業再生ADRに取り組んできた新日本建物は4期ぶりに黒字転換。長期滞留在庫の外部売却によってバランスシートの圧縮が進み、繰越欠損金の解消も果たした。

 買取再販事業や、地域ゼネコンなどをパートナーにし建物完成後に買い取り販売する少資金型の事業を積み重ねた。資金回転の速い戸建事業も再び強化した。

 新規仕入れも再開し前期は都内、多摩地区、神奈川とマンション4件、戸建用地12件80区画など計23件の仕入れを実施。在庫も入れ替わり利益の出る体質が整いつつある。

 マンション、戸建ともに販売は好調で、各プロジェクトの利益率も上向いてきた。今後も自社開発を徐々に再開するとともに、戸建分譲や少資金型のマンション分譲、専有卸しを含む投資用1棟マンションなどを進める考え。
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