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東急リバブル新社長 小林俊一氏に聞く/「追いつき追い越せ」の原動力は/「人材育成」と「働きがい」起点に

東急リバブル新社長 小林俊一氏に聞く/「追いつき追い越せ」の原動力は/「人材育成」と「働きがい」起点に

  • 2025.05.09
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 4月1日付で東急リバブルの社長に就任した小林俊一氏は4月22日、不動産流通専門紙の合同取材に応じた。売買仲介実績では長らく、三井不動産リアルティ、住友不動産販売に続く3番手だったが、数年前からその差を詰め、追いつき追い越せの段階に入った。同社初の“プロパー社長”にその躍進の原動力は何だったのか、そして新たな事業戦略、目指す企業像などを聞いた。 (柄澤 浩)

目標とする経営者
 身近なところで先輩社長の中島美博氏。私が経営企画部長の時(2012年頃)、当社は流通業界第3位で、実績はトップ企業の半分だった。中島社長は「1番になろうよ」と、ナンバーワン戦略を打ち出した。誰もが半信半疑だったが、ここ5年ぐらいは「行けるのでは」といムードになり、10年余りで「そうなりつつある」。社員のベクトル合わせというか、ビジョンメイクが巧みで、大いに勉強になった。

目指す会社像
 私が入社した当時、社員は1000人くらいだったが、今は4000人を超える規模、家族を入れると1万人。そのプレッシャーを受けながら、「何より人がすべての会社」だから、社員の働きがいを上げていくように努めたい。同業他社と比べると、当社は資金的にも柔軟性がある。人材投資をして人を育て、エンゲージメントも上がるようにしたい。そして「働いていてよかった」とか「皆に誇れる」と言われるような会社を目指したい。

強みと弱み
 当社の強みの第一は人材。7、8年前から営業のトップクラスの人に管理職の練習をしてもらいながら、店舗をマネジメントできる管理職に登用する仕組みとした。そこは他社より恵まれている。新卒の育成でも、以前のプログラムは一人前になるまで3年だったが、今は2年くらいでなれる育成スピードとした。そのため、人材を受け入れやすい体制となった。
 次はリテール、ホールの流通部門に、受託販売、開発、投資部門など事業領域が広いこと。各部門で得た“川上情報”を流動化して、顧客にとって何がいいのか皆で考えて、最適解を出していけるような体制となっている。そしてDXでは、主に効率化の分野で他社ではできていないことが少しずつできていること。
 弱みはまず、リテール以外の専門人材が十分でないこと。例えば、開発、AM、M&A、海外などの人材は育てるのに時間がかかり、キャリア採用でも競合してなかなか取れない。2つ目はDXでも、AIはまだ生かし切れていない。3つ目は女性活躍。これは相当意識的に取り組まないと難しい。新卒採用時の女性比率は3割くらいだが、結婚・出産のライフイベント後の女性の生かし方が十分でない。復帰後も営業で頑張ってもらえる仕組みを、今のうちに手を打ちたい。

今後の成長戦略
 不動産業界は景気の波を受けやすい。価格や為替変動などのリスクを考えながらの展開となりそうだ。リテール部門の店舗戦略では首都圏、中部圏でまだ出店余地がある。向こう3年間は年間4、5店舗くらい出したい。リテールでは「顧客満足から顧客感動へ」を合い言葉に、顧客目線の営業を進化させることで顧客紹介や再契約につなげていきたい。
 景気に左右されない事業として富裕層向けがあるが、他者と比べるとまだ弱い。そこを伸ばすため、リテールで開発した富裕層を中長期的にフォローしていく体制も整えた。受託営業を行う新築販売部隊も顧客に富裕層が多いので、その取り組みを開始する。
 また、投資マーケットはまだ伸びしろがある。小口化商品、オーナーチェンジのマンション買い取り再販、一棟収益物件などを取り扱っているが、そこを更に強化したい。投資領域に拡大余地を残しながら、経営計画の拡大エンジンとしていきたい。

 こばやし・しゅんいち=「学生時代、毎日目に入っていた『東急の仲介 青い空』の看板と、高い給料につられて」1988年4月新卒入社。初任地は「町田」で売買仲介を4年間。その後スタッフ部門と流通部門を交互に異動して2015年執行役員。取締役常務執行役員流通事業本部長、経営管理本部長、取締役専務執行役員を経て4月から代表取締役社長、社長執行役員。青山学院大卒。休日は「買い物か旅行でのんびりと」過ごす。長野市出身、60歳。
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