高性能住宅で快適な暮らし／積水化学工業住宅カンパニー　吉田匡秀プレジデント

　－－未来の都市と住まいの展望
　近年、激甚化・頻発化する自然災害への対応として、レジリエンス性の高い都市、住まいが求められています。また２０５０年カーボンニュートラル社会の実現に向け、省エネ化、再エネ導入の推進は喫緊の課題となっており、省エネ基準への適合義務化やより高性能な水準への引き上げなど、制度面でも進展しつつあります。
　これらの社会課題への対応を住宅業界全体で推進・定着させるために、災害に強いインフラ技術や先進のＩｏＴ技術の活用したまちづくり、ＧＸ志向型住宅などの高性能な住まいを普及させることが重要です。快適な暮らしの実現と地球環境への貢献をより加速することで、サステナブルな社会の実現につながると考えます。

　－－ＡＩとデジタル技術がもたらす新たな可能性
　住まい選びにおいては、ライフスタイル、趣味嗜好、予算などのＡＩ分析により、最適な間取りや設備、デザインの提案が可能となり、お客様は自分らしい理想の暮らしを実現することが容易になると考えます。
　暮らしの中ではＩｏＴを活用したエネルギー管理システムがより進化すると思われます。当社でも、家庭内の電力の可視化とともに空調や給湯器、蓄電池などをＡＩで自動制御することで、快適でエネルギー負荷の少ない住環境の提供を目指しています。
　災害時においては、リアルタイムでの状況把握やＡＩを活用した災害予測により、適切な備えや早期の避難行動などが可能となり、被害の最小化や迅速な復旧に繋がることが期待されます。
　他方、職人不足や高齢化が進行しており、働き方改革や生産性向上に資するＤＸも加速していく必要があります。現在、デジタル技術を活用した設計の適正化や施工管理の効率化、工程の自動化が進みつつあります。当社においてもユニット工法・工場生産の技術を核とし、生産・施工において自動化やデジタル化の取り組みを進めています。今後、技術がさらに発展することで、担い手不足の解消、生産性向上のみならず、品質の均一化や環境負荷の低減が進むと見込まれます。
　
　－－メディアの存在意義と求めること
　住宅業界におけるメディアの役割は、信頼性のある情報の提供を通じて、業界の発展を支えていただけることにあると思います。特に、国の施策や業界が直面する社会課題、デジタル技術の最新動向と活用事例など、正確で分かりやすい情報の提供を期待しています。
　住宅産業、国・自治体、そして消費者が一体となって持続可能な社会を目指すために、貴紙におかれては、引き続き、住宅産業のオピニオンリーダーとしてご助力賜りますようお願い申し上げます。