
全宅連、米国NARと情報交換/対面交流を再開
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2025.07.08
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米国最大の不動産業界団体、全米リアルター協会(NAR)会長のケビン・シアーズ氏=写真(左)=らが6月25日、全国宅地建物取引業協会連合会の坂本久会長=写真(右)=を表敬訪問し、情報交換を行った。
坂本会長は40年以上にわたるNARとの交流に感謝を表明し、コロナ禍で中断していた対面での交流再開を喜んだ。
シアーズ会長はまず米国市場の現状について、従来は取引件数が550万件あったが、直近では在庫不足で400万件に減少していると説明した。次いで「消費者の買い求めやすさ」について、価格は20年第1四半期と比較して25年第1四半期では、高い州では70%台、低い州でも30%台から40%台の上昇があり、金利はコロナ禍の21年は約2・3%だったのに対し、現在は過去25年間で最高の約6・5%で推移し、消費者の住宅取得が困難になっていると説明した。
両団体のロビー活動に関する意見交換も行われた。全宅連は会員数10万2000社、NARは個人の資格保有者150万人から構成される巨大な業界団体だ。両団体とも政府に対して税制改正を含む政策提言を行っている。
シアーズ会長はNARの重要な活動の一つがロビー活動だと説明した。NARの職員約300人のうち約100人はロビー活動を専門に行う部署に属している。この専門部署はNARの本拠地があるシカゴではなく、ワシントンに置かれ、政治家たちと長期的な友好関係の構築に努めていると説明した。
銀行の不動産事業参入については米国でも20年ほど前に議論があり、その時に参入を阻止できた。しかし、証券取引を扱う銀行が不動産会社を買収する可能性はあるため、NARでは監視を続けていると述べた。
仲介業務の形態は、米国では取引全体の9割が「片手」取引だ。「両手」取引は禁止されてはいないが、利益相反に注意し、消費者に立場を明確に示すことが厳しく求められている。日本で問題視されている「物件情報の抱え込み」は、米国でも一部の企業が同様の試みをしているが、NARは「誰でもオープンにアクセスできる市場を作らないといけない」という立場で、抱え込みは消費者の機会損失につながると述べた。
仲介手数料は米国では日本のような法律での定めがなく、交渉で決定される。平均的には、以前は両手で6%程度だったが、現在は価格上昇に伴い両手で5%(片手で2・5%)が一般的。新たな手数料体系も登場し、定額制やサービスの内容に応じた手数料体系など、さまざまな提案が登場している。
「住宅取得困難」で議論/共通の課題は価格上昇/日米協力機構カンファレンス
日米不動産協力機構(JARECO)は6月26日、東京都千代田区の日本大学経済学部でカンファレンスを開いた。
カンファレンスにはNARのシアーズ会長、同会日本・モンゴル大使の西川ノーマン裕子氏、JARECOの中川雅之理事長らが出席。中川理事長は冒頭、「日米の不動産市場は状況や制度が異なるが、不動産価格の上昇という共通の課題がある」と述べた。
続いてシアーズ会長が講演を行い、価格高騰や高金利で消費者の住宅取得が困難な米国市況の現状を説明し、一方で、「みんなが住宅を持てるというアメリカンドリームの実現に向けて、税控除などが含まれた法案が通過する見込みだ」と説明した。
坂本会長は40年以上にわたるNARとの交流に感謝を表明し、コロナ禍で中断していた対面での交流再開を喜んだ。
シアーズ会長はまず米国市場の現状について、従来は取引件数が550万件あったが、直近では在庫不足で400万件に減少していると説明した。次いで「消費者の買い求めやすさ」について、価格は20年第1四半期と比較して25年第1四半期では、高い州では70%台、低い州でも30%台から40%台の上昇があり、金利はコロナ禍の21年は約2・3%だったのに対し、現在は過去25年間で最高の約6・5%で推移し、消費者の住宅取得が困難になっていると説明した。
両団体のロビー活動に関する意見交換も行われた。全宅連は会員数10万2000社、NARは個人の資格保有者150万人から構成される巨大な業界団体だ。両団体とも政府に対して税制改正を含む政策提言を行っている。
シアーズ会長はNARの重要な活動の一つがロビー活動だと説明した。NARの職員約300人のうち約100人はロビー活動を専門に行う部署に属している。この専門部署はNARの本拠地があるシカゴではなく、ワシントンに置かれ、政治家たちと長期的な友好関係の構築に努めていると説明した。
銀行の不動産事業参入については米国でも20年ほど前に議論があり、その時に参入を阻止できた。しかし、証券取引を扱う銀行が不動産会社を買収する可能性はあるため、NARでは監視を続けていると述べた。
仲介業務の形態は、米国では取引全体の9割が「片手」取引だ。「両手」取引は禁止されてはいないが、利益相反に注意し、消費者に立場を明確に示すことが厳しく求められている。日本で問題視されている「物件情報の抱え込み」は、米国でも一部の企業が同様の試みをしているが、NARは「誰でもオープンにアクセスできる市場を作らないといけない」という立場で、抱え込みは消費者の機会損失につながると述べた。
仲介手数料は米国では日本のような法律での定めがなく、交渉で決定される。平均的には、以前は両手で6%程度だったが、現在は価格上昇に伴い両手で5%(片手で2・5%)が一般的。新たな手数料体系も登場し、定額制やサービスの内容に応じた手数料体系など、さまざまな提案が登場している。
「住宅取得困難」で議論/共通の課題は価格上昇/日米協力機構カンファレンス
日米不動産協力機構(JARECO)は6月26日、東京都千代田区の日本大学経済学部でカンファレンスを開いた。
カンファレンスにはNARのシアーズ会長、同会日本・モンゴル大使の西川ノーマン裕子氏、JARECOの中川雅之理事長らが出席。中川理事長は冒頭、「日米の不動産市場は状況や制度が異なるが、不動産価格の上昇という共通の課題がある」と述べた。
続いてシアーズ会長が講演を行い、価格高騰や高金利で消費者の住宅取得が困難な米国市況の現状を説明し、一方で、「みんなが住宅を持てるというアメリカンドリームの実現に向けて、税控除などが含まれた法案が通過する見込みだ」と説明した。