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底堅いハイグレード需要/27年以降の年平均供給量は10万坪へ/三幸エステート取締役社長の福島正二郎氏に話を聞いた

底堅いハイグレード需要/27年以降の年平均供給量は10万坪へ/三幸エステート取締役社長の福島正二郎氏に話を聞いた

  • 2025.09.15
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 三幸エステート(東京都中央区)は7月5日付けで、福島正二郎氏が取締役社長に就任した。同社は、その社名のとおり「テナント企業、ビルオーナー、三幸エステート」の三者がより良く連携することで皆がともに幸せになれるという経営理念のもと、「誠心誠意・相互信頼・共存共栄」を社是として掲げている。「オフィス市場の変化に応じた総合的なサポートを進めていく」と、抱負を語る三幸エステート取締役社長の福島正二郎氏にオフィス市場の展望について話を聞いた。

 オフィスビルの仲介事業を柱として培ってきた48年間の経験を生かしつつ、売買仲介やアセットマネジメント、プロパティマネジメントなど関連分野にも柔軟に取り組んでいく。現在のオフィス市場は、業種や規模を問わず需要は活発で空室率は低下傾向にある。特に新築や築浅のハイグレードオフィスへの関心が強まっている。背景には採用活動での競争力の確保や社員の出社意欲を高めることを目的に、拠点づくりを重視する企業が増えていることが挙げられる。
 コロナ禍以降、企業がオフィスを単なるコストではなく、投資と位置付ける動きが広がり、オフィス内に社員の交流を促すラウンジやコラボスペース、オンライン会議ブースが設置されている。ビル側も共用部に貸会議室や託児所、フィットネスを備えるなどアメニティを充実させる傾向が強まっている。
 東京や大阪のオフィスビルを中心に付帯する設備として、打ち合わせスペースやカフェなどのアメニティを充実させているビルはテナント誘致が順調に進みやすい。築古ビルでは建て替えの需要もある半面、建築費の高騰のほか、法規制などの制約もあり、事業採算性が取れないケースが少なくない。
 バブル期の90年代は「個人オーナーが1階で本業を営み、2階以上を賃貸して最上階に住居する」というケースが多かったが、前述の背景から個人オーナーが自ら保有する物件は減少傾向にあり、今後は売却が進むと見込んでいる。
 東京23区では過去25年(2000~2024年)の年間平均供給量は20万坪程だった。25・26年は20万坪前後と過去平均と同程度の見込みだが、27・28年は各年10万坪程に止まる。29年は供給が増えるものの、近年は全国的に建築期間が延びる傾向にあることから、竣工時期が後ろ倒しになる可能性がある。足元の空室率は既に低水準となり、今後の変動は緩やかとみられる。
 募集賃料の水準は、新築ビルでは19年を上回り、既存ビルでも新規募集賃料は19年の水準に迫りつつある。
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