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放射性廃棄物処分施設向け高水密コンクリート技術/ひび割れを自己充填/安藤ハザマ、積水化学工業らと共同開発

放射性廃棄物処分施設向け高水密コンクリート技術/ひび割れを自己充填/安藤ハザマ、積水化学工業らと共同開発

  • 2025.09.15
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コンクリーションのメカニズム(ツノガイの例)

ローマのパンテオン

 安藤ハザマ(東京都港区、国谷一彦社長)は、名古屋大学博物館館長・大学院環境学研究科吉田英一教授と積水化学工業(東京都港区、加藤敬太社長)と共同で、コンクリートの水密性を高める技術を開発した。
 自然界に見られる「コンクリーション」の原理を応用し、ひび割れを自己充填して透水性を低下させる仕組みを取り入れた。放射性廃棄物の地下処分による安全性確保に貢献するとしている。
 処分施設ではセメント系材料の使用が不可欠であり、低レベル施設ではフライアッシュや高炉スラグを混合した材料を使った研究や、制御鉄筋に、よる幅や本数の管理を行ってきた。高レベル施設では、強度と耐久性を持つ材料を使い、ひび割れ抑制を求められている。研究グループは天然のコンクリーションに着目し、人工的に炭酸カルシウムを生成させるコンクリーション化剤(CONSEED)を開発。この粒状剤を施工時にコンクリートへ混合することで、内部に炭酸カルシウムを形成し、ひび割れを充填して水密性を高める技術を確立した。
 実証試験では、微細なひび割れを入れた供試体に同剤を混ぜて1カ月水中養生したところ、炭酸カルシウムが充填され、圧縮強度は当初の1・5倍以上となった。多孔質供試体の上面に液体状の同剤を塗布し3カ月養生した試験では、透水性が大幅に改善されることも確認された。
 この成果は、ローマのパンテオンが2000年を経ても健全な状態を保つ事例や、数百万年前の地層から発見される天然コンクリーションの耐久性と同様の効果を示している。同社は今後、地下処分坑道周辺の岩盤を緻密化する技術を低コストで適用する方針で、原子力分野に加えて、インフラ老朽化対策への応用も進めていく。
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