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国交省・基準地価/コロナ影響で全用途平均3年ぶり、商業地5年ぶり下落

  • 2020.09.29
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国土交通省が29日に発表した今年7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)は、全国全用途の平均が3年ぶりに下落に転じた。地価上昇基調を続けていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、全用途平均が0.6%のマイナスと下落に転じた。住宅地は下落幅が拡大し、商業地も5年ぶりに下落に転じた。

三大都市圏を見ると、東京圏と大阪圏の住宅地が2015年以来7年ぶりに下落となり、名古屋圏では8年ぶりのマイナスとなった。商業地では、東京圏と大阪圏が上昇を維持したものの、その上昇幅が縮小し、名古屋圏では8年ぶりに下落となった。

地方圏でも全用途平均・住宅地の下落幅が拡大し、商業地が昨年の上昇から2年ぶりに下げた。全用途平均・住宅地・商業地のいずれも、地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)を除くその他の地域で下落幅が拡大。地方4市は地価上昇継続も上昇幅が縮小した。

全国の最高地価は今年も東京・銀座の「明治屋銀座ビル」で1平方㍍当たり4100万円だったが5.1%下落した。大阪圏の最高地価は「グランフロント大阪」の2360万円(8.8%上昇)だった。名古屋圏の最高地価は、「大名古屋ビルヂング」で横ばい1750万円となった。

昨年7月1日から1年間の調査。今年1月1日までの前半戦は、交通利便性や住環境の優れた住宅地や商業地、インバウンド需要を背景にホテル進出が見込まれる地域を中心に地価の回復傾向が続いていたが、新型コロナウイルス感染のパンデミックによる社会経済活動の停滞で先行きの不透明感から地価は総じて一転下げ基調に突入した。

明治屋銀座ビルを見ると、前半0.2%の上昇だったが、後半戦に5.3%下落しており、グランフロント大阪も前半に15.2%と大幅に上げていたが、後半に5.6%下落となった。大阪圏で商業地価2位の「住友商事心斎橋ビル」(2330万円=4.5%下落)では、前半17.6%上昇も後半戦に18.8%と大幅に下げて失速した。とりわけ訪日客需要がけん引してきた心斎橋・なんば地区だけに訪日客の蒸発で昨年の大阪圏最高価格からの陥落につながった。

商業地の全国上昇率トップ10は、沖縄が7地点で最も多く北海道、長野県、福岡県が1地点ずつランクインした。昨年は、訪日客需要を背景にトップ10に大阪、京都、東京で合わせて5地点を占めていたが、今年は姿を消した。

住宅地の全国上昇率トップ10も沖縄県が8地点を占めたほか、北海道と大分県が1地点ずつ。倶知安町字樺山は、昨年の上昇率が66.7%で1位だったが、今年は3位(29.2%上昇)となり、コロナで訪日客がいなくなった影響を窺わせている。

ただ、国交省では、地価動向の変化の程度はさまざまだとする。コロナが地価に与える影響は、土地需要の特性や地域の経済構造などが異なることや、再開発事業など中長期的な要因で差が出ているためだ。
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