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不動産DX・新技術特集/「顧客満足」を自動化テックで/査定・探索・演出・再生/「AI共生」の新フェーズへ

不動産DX・新技術特集/「顧客満足」を自動化テックで/査定・探索・演出・再生/「AI共生」の新フェーズへ

  • 2026.02.16
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三菱地所ハウスネット「MirCA」イメージ図

全宅連 主な事業内容

 不動産業界のデジタル化が単なる「効率化」から「提案品質の高度化」へと進化している。全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が実施した、「第40回不動産市況DI調査」(不動産価格と不動産取引に関する調査報告書)によると、北海道の同モニターは「AIとの協業によって事務能力が約2倍向上した」「リモートワークの実装で3~5年後にはオフィス需要が激減する」とコメント。各都道府県の住宅市場の現状とともに、生成AIや独自アルゴリズムに対する実務への取り組みが進む今、何が起きているのか。各社の最新事例から不動産テックの現在を紹介する。

■三菱地所ハウスネット/接客を可視化する「MirCA」
 三菱地所ハウスネット(東京都新宿区)は、フラー(新潟市)、ミールソリューションズ(東京都中央区)と共同で営業支援ツール「MirCA(ミルカ)」を開発した。注目される機能は「対面接客の質」をデジタルで補完する点にある。
 現地確認に基づき、タブレット上で評点や補正値を即座に精査・再計算する「査定価格補正機能」を搭載。商談の場で顧客のニーズに応じた販売戦略を柔軟に提示できる「販売プラン提案作成」によって、根拠のある価格提示と納得感のある合意形成を可能にした。
 今後、査定結果を顧客マイページへ反映させるオンライン連携も視野に入れ、情報の透明性を高めていく。

■LIFULL/24時間自走する「AIエージェント」
 LIFULLは、独自AI基盤「LIFULL AI」を始動。第1弾として対話型探索アシスタント「AIホームズくん」を実装した。ChatGPTの技術をベースに、従来のキーワード検索では拾いきれなかった「感覚的なリクエスト」を文脈から解釈し、最適な物件を提案する。
 そのほか、ユーザーのライフスタイルを学習したAIが市場を24時間監視し、条件に合う新着物件を能動的に通知する「自走型(Push)機能」を備えるなど、ユーザーの「探索」そのものを代替する。

■アットホーム/AI生成と「人の目」を融合
 アットホームは、みずほ不動産販売に「AIホームステージング」の提供を開始した。生成AIで家具などを配置し生活イメージを可視化する一方、AIによるホームステージング画像生成の過程で、元の物件の形状や設備の一部が改変されてしまうことがあり、不動産の表示に関する公正競争規約に抵触するリスクを背景に、画像の利活用が進まない課題もあったが、専門チームによる「人力チェック」で解決した。
 給湯器リモコンの消失や蛇口形状の変化を人の目で確認し、最短翌営業日に納品する。AIのスピード感に「不動産表示の適正性」という信頼を担保した、実務的なソリューションといえる。

■ジェクトワン/空き家流通「コタエ」
 空き家事業のジェクトワンは、プラットフォーム「空き家のコタエ」を始動。独自アルゴリズムと大規模言語モデル(LLM)を掛け合わせた「自動査定サービス」を開始した。
 空き家特有の「改修コスト」や「流通性」をAIが専門的に理解し、売却・賃貸・リノベーション・解体といった複数の選択肢を収益シミュレーションと共に提示する。即時に無料で算出する納得感の高いデータが、所有者の重い腰を上げさせ、放置空き家の流動化を促す強力なトリガーとなる。

全宅連アンケートに見る「市場の歪み」/建設費高騰 実需の限界点
 全宅連の同調査によると、各都府県のモニターコメントでは、新築着工が鈍化する一方で、中古買取再販業者の参入が激化した。出口(売却)の見えない空中を飛んでいる流通在庫の増加を懸念する声も上がった。
 具体的には、福岡県で建築資材と土地価格の高騰が「購買層の支払い能力の限界を超えた」という。そのほか「都市部と地方の格差も増している」「都心では、金利上昇懸念から高級物件の動きが鈍り始めている」「地方は、解体費が土地代に迫り取引が成立しない『負動産』化が加速」などのコメントがあった。
 モニターの主な業務内容は、売買仲介業務が82・1%、賃貸仲介業務60・0%、賃貸管理業務57・4%、売買業務55・4%と続き、その他では、賃貸管理業、不動産小口化証券事業、損保代理店、リフォームリノベーション、オーナー業、設計事務所など。
 同調査によると、土地取引件数は「横ばい」が58・1%と最も多く、「やや減少」は27・4%だった。北海道・東北・甲信越では「やや減少」が60・9%で最多回答となっている。
 3カ月後の見通しでは、全国で「横ばい」が60・9%で最多、「やや減少」は25・0%だった。
 新築戸建住宅の取引価格動向は、全国で「やや上昇」が41・0%で最多になった。次いで「横ばい」が39・2%、「やや下落」が16・3%と続く。地域別でも「やや上昇」となった割合が高く、九州・沖縄で52・0%。3カ月後の見通しでは、全国で「横ばい」が47・0%と最も多く、「やや上昇」は30・1%。地域別では九州・沖縄で「やや上昇」が48・0%と高く、北海道・東北・甲信越は「やや下落」が26・3%で「やや上昇」の15・8%を大幅に上回った。
 中古戸建住宅取引価格では、全国が「大きく上昇」1・7%、「やや上昇」は22・9%となり、「横ばい」は64・2%だった。関東や近畿で「やや上昇」が30%前後と高い水準にあり、これらが全体傾向をけん引している。3カ月後の見通しでは、「横ばい」が最多の65・0%、次いで「やや上昇」の18・6%だった。
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