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「木質空間の利点」経済効果も/住宅広報連絡会セミナーで東大・恒次教授が講演

「木質空間の利点」経済効果も/住宅広報連絡会セミナーで東大・恒次教授が講演

  • 2025.07.23
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 住宅広報連絡会は7月度サマーセミナーを箱根湯本富士屋ホテル(神奈川県)で開いた。東京大大学院農学生命科学研究科の恒次祐子教授(=写真=)が講師を務め「住宅及び非住宅における木質空間のメリット」をテーマに講演した。
 恒次教授は木造住宅の炭素貯蔵性能について説明。木造住宅の炭素貯蓄量6㌧、排出量5・1㌧に対し、鉄筋コンクリート造では貯蓄量1・6㌧、排出量21・8㌧で、木造住宅の環境負荷が低いという。
 講演では、木材の視覚・聴覚・触覚・嗅覚といった五感への影響も取り上げた。木目や香り、音の吸収性、手触りなどが空間の快適性に寄与する可能性がある。また、木質内装が睡眠に与える影響について、社会人671人を対象に行われた疫学調査の結果を紹介。寝室に木材を多く使用している人ほど不眠症の疑いが少ない傾向が見られ、木質空間が睡眠の質向上に寄与する可能性が示された。
 飲食店での木質化事例では、浅草のホテル内カフェが木質化後、来客数や売り上げが増加。売り上げは6万3030円で非木質席と比較して3倍以上、客単価は875円と、非木質席と比べて約1・5倍となったという。
 木質空間の導入に対する行政支援も紹介。港区と協定を結んでいる自治体から産出された木材を店舗の内外装や家具などに使用した場合、助成金が最大で250万円支給される。木材使用量が一定以上であることが条件で、視認できる場所への使用が対象となる。
 「都市の木造化」による環境共生の必要性と、科学的な情報に基づいた木材利用が重要とした。
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