改正マンション関係法に関心、国交省・法務省説明会に熱気、区分所有者から自治体まで
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2025.07.14
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国土交通省と法務省は7月8日、改正マンション関係法(建物の区分所有等に関する法律、マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンションの建替え等の円滑化に関する法律等)について、改正の背景や概要を周知するための説明会を都内で開いた。同説明会は、マンション区分所有者、管理士、管理業者、デベロッパー、自治体職員などを対象に行った。
現在、築40年以上経過したマンションは全体の約2割、約137万戸となり、今後10年で約2倍、20年で約3・45倍に増加する見込み。新築から再生までのライフサイクル全体を見通した仕組みを整備し、適正な管理と再生の円滑化が求められている。
こうした中、改正マンション関係法を一括して改正するための「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」が5月23日に成立し、同月30日に公布された。
改正内容の主なポイントは3つ。「管理の円滑化」の面では、分譲事業者が新築時に管理計画を作成し、管理組合に引き継ぐ仕組みを導入するほか、管理業者が工事発注者を兼ねる場合の利益相反対策として、区分所有者への事前説明を義務付ける。集会決議で修繕など区分所有権の処分を伴わない事項は、出席者の多数決で決議できるように変更する。
「再生の円滑化」の面では、一棟リノベーションや敷地一括売却、建物取り壊しなどについて、建て替えと同様に5分の4の決議で実施できるようにする。耐震性不足の場合は4分の3、災害被災の場合は3分の2の決議で実施可能とする。隣接地や底地の所有権を取り込み、建て替え後のマンションに区分所有権として変換することが可能となる。
地方公共団体の取り組み強化として、外壁剥落などの危険なマンションに対して報告徴収や助言指導・勧告、あっせんを行う権限を新設するとともに、民間団体による区分所有者の合意形成支援活動を促進するため、登録制度も整備する。
改正法施行後の目標値(KPI)として、管理計画認定の取得割合を約3%(24年度実績)から20%、マンションの再生件数を472件から1000件へと引き上げ、10年後には外壁剥落などの危険な状態にあるマンションを概ね解消できる水準を目指す。
同説明会は秋以降に全国47都道府県でも順次開催する予定で、詳細は別途発表される。
国交省/「マンション標準管理規約」改正へ/第1回検討会開く
国土交通省は、マンション管理に関する新たな法改正や社会情勢の変化を踏まえ、「マンション標準管理規約」を見直すため第1回検討会を開いた。5月に成立・公布されたマンション関係法(区分所有法、マンション管理法、マンション再生法など)の内容を反映し、9月末の改正・公表を目指す。改正にあたっては、同省が6月に設置した検討会での議論を基に進める。今回の主な見直し項目には、多数決要件の緩和、国内管理人制度や所在不明所有者への対応、喫煙ルールの整備、防災関係業務の強化などが含まれている。
具体的には、総会決議による「特別決議」について、現行の4分の3以上の賛成から3分の2に緩和することを検討。バリアフリー化に関連する共用部分の変更も同様の緩和対象。マンション再生に関する決議も、5分の4から4分の3に要件を緩和する方向だ。
所在不明の区分所有者を総会決議から除外する手続きも新設。管理不全となっている専有部分に対し、管理組合が財産管理制度を活用するための規定も盛り込む。専有部分の補修工事に対応する「保存行為」も規定に加える見込み。
修繕積立金の使途範囲も明確化される。更新・除却といった再生手法の調査・設計段階で積立金を充当できるよう規定を整備し、費用の管理・運用に関する実務上の混乱解消を図る。
社会的背景を受けた見直しも進める。管理組合の役員について、家族・親族の就任を可能とする方向で検討を進め、本人確認に関するコメントも追記する。管理組合が取り組むべき防災関係業務や、マンション内での喫煙に関するルール整備も新たに加える予定だ。受動喫煙対策として、健康増進法に基づいた政府方針への対応も盛り込まれる。
管理業者が管理者を兼ねる「管理業者管理者方式」を採用した場合の取り扱いについても、標準管理規約の書き換え表や新たな契約書類の整備を進める。高齢化による役員の担い手不足に対応する一手として、全国のマンション管理の実情に即した制度設計を進めていく方針。
改正規約は9月下旬に公表予定で、関連する標準契約書も11月に公表される見通し。今後、制度の実効性や現場の実務負担なども含めた議論が継続される。
現在、築40年以上経過したマンションは全体の約2割、約137万戸となり、今後10年で約2倍、20年で約3・45倍に増加する見込み。新築から再生までのライフサイクル全体を見通した仕組みを整備し、適正な管理と再生の円滑化が求められている。
こうした中、改正マンション関係法を一括して改正するための「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」が5月23日に成立し、同月30日に公布された。
改正内容の主なポイントは3つ。「管理の円滑化」の面では、分譲事業者が新築時に管理計画を作成し、管理組合に引き継ぐ仕組みを導入するほか、管理業者が工事発注者を兼ねる場合の利益相反対策として、区分所有者への事前説明を義務付ける。集会決議で修繕など区分所有権の処分を伴わない事項は、出席者の多数決で決議できるように変更する。
「再生の円滑化」の面では、一棟リノベーションや敷地一括売却、建物取り壊しなどについて、建て替えと同様に5分の4の決議で実施できるようにする。耐震性不足の場合は4分の3、災害被災の場合は3分の2の決議で実施可能とする。隣接地や底地の所有権を取り込み、建て替え後のマンションに区分所有権として変換することが可能となる。
地方公共団体の取り組み強化として、外壁剥落などの危険なマンションに対して報告徴収や助言指導・勧告、あっせんを行う権限を新設するとともに、民間団体による区分所有者の合意形成支援活動を促進するため、登録制度も整備する。
改正法施行後の目標値(KPI)として、管理計画認定の取得割合を約3%(24年度実績)から20%、マンションの再生件数を472件から1000件へと引き上げ、10年後には外壁剥落などの危険な状態にあるマンションを概ね解消できる水準を目指す。
同説明会は秋以降に全国47都道府県でも順次開催する予定で、詳細は別途発表される。
国交省/「マンション標準管理規約」改正へ/第1回検討会開く
国土交通省は、マンション管理に関する新たな法改正や社会情勢の変化を踏まえ、「マンション標準管理規約」を見直すため第1回検討会を開いた。5月に成立・公布されたマンション関係法(区分所有法、マンション管理法、マンション再生法など)の内容を反映し、9月末の改正・公表を目指す。改正にあたっては、同省が6月に設置した検討会での議論を基に進める。今回の主な見直し項目には、多数決要件の緩和、国内管理人制度や所在不明所有者への対応、喫煙ルールの整備、防災関係業務の強化などが含まれている。
具体的には、総会決議による「特別決議」について、現行の4分の3以上の賛成から3分の2に緩和することを検討。バリアフリー化に関連する共用部分の変更も同様の緩和対象。マンション再生に関する決議も、5分の4から4分の3に要件を緩和する方向だ。
所在不明の区分所有者を総会決議から除外する手続きも新設。管理不全となっている専有部分に対し、管理組合が財産管理制度を活用するための規定も盛り込む。専有部分の補修工事に対応する「保存行為」も規定に加える見込み。
修繕積立金の使途範囲も明確化される。更新・除却といった再生手法の調査・設計段階で積立金を充当できるよう規定を整備し、費用の管理・運用に関する実務上の混乱解消を図る。
社会的背景を受けた見直しも進める。管理組合の役員について、家族・親族の就任を可能とする方向で検討を進め、本人確認に関するコメントも追記する。管理組合が取り組むべき防災関係業務や、マンション内での喫煙に関するルール整備も新たに加える予定だ。受動喫煙対策として、健康増進法に基づいた政府方針への対応も盛り込まれる。
管理業者が管理者を兼ねる「管理業者管理者方式」を採用した場合の取り扱いについても、標準管理規約の書き換え表や新たな契約書類の整備を進める。高齢化による役員の担い手不足に対応する一手として、全国のマンション管理の実情に即した制度設計を進めていく方針。
改正規約は9月下旬に公表予定で、関連する標準契約書も11月に公表される見通し。今後、制度の実効性や現場の実務負担なども含めた議論が継続される。