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地方移住で叶えるセカンドライフのリアル ①/兵庫新温泉町で資源活用なるか

地方移住で叶えるセカンドライフのリアル ①/兵庫新温泉町で資源活用なるか

  • 2025.05.26
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新温泉町奥八田地区の棚田の様子

 この春まで、住宅メーカーの広報として第一線で活躍していた古矢直美氏は、兵庫県へ移住し、まちの活性化へ向けて本格的に取り組んでいくという。電機メーカーでの商品宣伝・企画担当を経て、グループの住宅会社に出向し15年間、国内外の広報を担当。趣味は愛犬との自然散策やビールを飲みながらのサッカー観戦と話す。本紙では、毎月1回古矢氏の田舎暮らしを通じた活動を掲載していく。

 私は某電機メーカーで35年勤務後、今春、55歳以上の定年扱いで退職し、パートナーと地方移住をしたバツイチの元広報パーソン。横浜の団地で生まれ育ち、東京、大阪など三大都市圏で勤務していた者が兵庫県北部の日本海に面した新温泉町という人口約1万2000人の地方都市へ移住した経緯と、そこで日々感じたことや、地方で起きている高齢化・過疎化による影響、空き家問題などについて伝えていきたい。
 2019年のコロナ禍以降、世間ではリモートワークが導入されるなど働き方が変わり、休日は密を避け、自然の中で家族や1人でキャンプを楽しむ人も増えた。こうした流れの中で、田園回帰と言われる都市部から過疎地域への移住・定住の動きが活性化し、自分のような中高年世代だけでなく、若い世代にも同様の傾向がみられるようになった。
 私の場合も田園回帰と言えるが、移住を決めたきっかけは、新温泉町が22年に募集した地域課題解決の提案プロジェクトに参加したことだった。同町とは過去より縁があり、初めて訪問したのは数十年前に遡る。同町出身のママ友の帰省に合わせて子連れで海水浴をしに幾度も訪れていた。
 その当時は、観光客も多く、駐車場も満車状態だったものだが、3年前に再訪した時は明らかに様子が異なっていた。観光客はまばらであり、街を歩く住民は高齢者ばかりが目に留まる。開いている店も少なく、閑散としている。
 同町職員から示された地域課題は、「湯村温泉など良質な温泉が複数あり、松葉ガニやほたるいか、などの水揚げ量は日本トップクラスと恵まれた資源があるものの、現役世代が条件の良い職場を求めて他県へ流出してしまうこと。そのため、人口減少・高齢化が進み、経済活動の維持が難しい状況。特に町内でも最も高齢化の進む奥八田地域を活性化させて欲しい」というものだった。
 約3カ月の活動期間で得た情報をもとに、仲間達と提案したプランは、廃校を活用したキャンプ場の開設だった。若者やファミリー層をターゲットとしたキャンプ場への来訪を促し、最終的には移住へつなげるという案だったが、不採用に終わった。今、思えば大変稚拙であり、当然の結果だった。しかし、現地調査に協力してくださった地域の人へ役に立ちたいという思いが残り、同町への本格的な関わりが始まった。
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