待たれる「空飛ぶクルマ」/国交省と経産省、合同「官民協議会」開く/社会実装へロードマップ/まず二地点間運航など
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2025.09.08
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国土交通省と経済産業省は8月28日、合同で官民関係者による「空の移動革命に向けた官民協議会」の第11回会合を開催した。大阪・関西万博後の「空飛ぶクルマ」の社会実装を見据えたもので、各ワーキンググループでの検討状況報告のほか、将来の社会実装にかかる実現イメージのとりまとめが行われた。「空飛ぶクルマ」は、都市や地方が直面している移動関連の課題解決や、新たな人の流れを生み出す付加価値の高いサービスの実現、安心・安全な社会の実現が期待され、空を用いた革新的移動手段として注目される。
「空飛ぶクルマ」は、大都市圏では渋滞に影響されない快適な交通サービスとして、また地方部では離島や山間部の新たな日々の足、迅速な救命救急搬送、物資輸送手段としての活用が期待されている。
これに産業としての期待も加わる。2050年の世界市場として184兆円規模が見込まれる新興市場でもあり、国としても多くの事業者や投資を呼び込む環境整備を進めていくとしている。
検討は各方面で進んでいるため、具体的運航ネットワークの形成などに向け関係者と連携し、広域で検討を深めていく。「空の移動革命に向けた官民協議会」自体は、18年に設置されて以降、活動が継続されている。
社会実装に向けては、22年3月に同協議会のユースケース検討会がとりまとめた「目指すべき絵図と中長期的な実装の流れ」を踏まえ、今後のロードマップが示され、官民一体での検討が進められてきた。今回は機体開発動向なども考慮しつつ、より具体的に社会実装の実現イメージ案を提示した。
この案ではフェーズを「導入初期」「成長期」「成熟期」「完成期」の4段階に分け、必要な対応などをまとめている。
「導入初期」は20年代後半、27年または28年からの開始を想定、大都市圏で主要エリアを結ぶ二地点間運航や、ベイエリアなどでの遊覧飛行など非日常体験としての商用運航を先行的に始める。
また空港アクセスとしての運航開始に向け、段階的に実証を重ねて既存機との運航調整といったノウハウを官民双方で蓄積するとした。また地方部では一部景勝地などを空から一望する商用運航や、拠点間での貨物輸送実証を開始する。
これらに対応するため、事業者らによる運航計画策定やバーティポート(VP)などの整備が将来を見据えて連携し戦略的に進められることが重要という。空飛ぶクルマの将来性を示すことで投資判断を後押しし、早期の運航開始とインフラ整備着手、事業拡大につなげるべきともした。
まず、着実に実績を重ねていく「成長期」は30年代前半を想定。運航頻度が高まり、導入地域も徐々に拡大するイメージとしている。大都市圏では都市間運航が拡大し、広域運航ネットワークの原型を形成、商業施設やホテルなどを結ぶ空港アクセスサービスの一部開始なども想定した。
地方部では遊覧飛行の拡大のほか、アクセス困難地域での観光客送迎、物流拠点へのVP整備を進める。公的にはドクターヘリの補完として、救急医療現場でも活用する。これらのため、導入地域による社会受容性を拡大させ、ハブとなる拠点VPなどの整備と適切な運用体制を構築する必要を対応として挙げた。空飛ぶクルマ市場に一層の投資を呼び込み、経済性を向上させる重要性も指摘している。
続く「成熟期」は30年代後半で、大都市圏では主要都市間の自由な往来を広く可能にする。地方部では全国各地での観光利用を定着させ、また日常の移動手段としての運航もスタートさせる。必要な対応としては、多くの機体が高頻度で運航するかたちが見込まれるため、技術開発や交通管理システムのアップデートが必要になることなどを挙げた。
完成期、40年代以降を想定
完成期は40年代以降を想定、日常生活での自由な空の移動が当たり前の社会を実現させることを見込む。その実現のため、広域的な大都市圏ネットワークをつなぐ、全国規模でのネットワーク形成のさらなる促進に向けた方策検討や、自動・自律運航の技術開発および社会実装を行っていくことなどを対応として必要なものとした。
国土交通省と経済産業省では、こうした取り組みを民間事業者や地方自治体などとも連携しながら進め、空飛ぶクルマの実用化を加速させる姿勢を示している。協議会ではこのほか、25年度の検討事項として、無操縦者航空機に関する検討や、ロードマップの改訂を行うことなどを確認した。
さらに構成員として、新たに6社を加え、各社からのプレゼンテーションも行われている。具体的には、Archer Aviation(米カリフォルニア)、Soracle、日建設計、レイメイ、三井不動産、三菱電機。
「空飛ぶクルマ」は、大都市圏では渋滞に影響されない快適な交通サービスとして、また地方部では離島や山間部の新たな日々の足、迅速な救命救急搬送、物資輸送手段としての活用が期待されている。
これに産業としての期待も加わる。2050年の世界市場として184兆円規模が見込まれる新興市場でもあり、国としても多くの事業者や投資を呼び込む環境整備を進めていくとしている。
検討は各方面で進んでいるため、具体的運航ネットワークの形成などに向け関係者と連携し、広域で検討を深めていく。「空の移動革命に向けた官民協議会」自体は、18年に設置されて以降、活動が継続されている。
社会実装に向けては、22年3月に同協議会のユースケース検討会がとりまとめた「目指すべき絵図と中長期的な実装の流れ」を踏まえ、今後のロードマップが示され、官民一体での検討が進められてきた。今回は機体開発動向なども考慮しつつ、より具体的に社会実装の実現イメージ案を提示した。
この案ではフェーズを「導入初期」「成長期」「成熟期」「完成期」の4段階に分け、必要な対応などをまとめている。
「導入初期」は20年代後半、27年または28年からの開始を想定、大都市圏で主要エリアを結ぶ二地点間運航や、ベイエリアなどでの遊覧飛行など非日常体験としての商用運航を先行的に始める。
また空港アクセスとしての運航開始に向け、段階的に実証を重ねて既存機との運航調整といったノウハウを官民双方で蓄積するとした。また地方部では一部景勝地などを空から一望する商用運航や、拠点間での貨物輸送実証を開始する。
これらに対応するため、事業者らによる運航計画策定やバーティポート(VP)などの整備が将来を見据えて連携し戦略的に進められることが重要という。空飛ぶクルマの将来性を示すことで投資判断を後押しし、早期の運航開始とインフラ整備着手、事業拡大につなげるべきともした。
まず、着実に実績を重ねていく「成長期」は30年代前半を想定。運航頻度が高まり、導入地域も徐々に拡大するイメージとしている。大都市圏では都市間運航が拡大し、広域運航ネットワークの原型を形成、商業施設やホテルなどを結ぶ空港アクセスサービスの一部開始なども想定した。
地方部では遊覧飛行の拡大のほか、アクセス困難地域での観光客送迎、物流拠点へのVP整備を進める。公的にはドクターヘリの補完として、救急医療現場でも活用する。これらのため、導入地域による社会受容性を拡大させ、ハブとなる拠点VPなどの整備と適切な運用体制を構築する必要を対応として挙げた。空飛ぶクルマ市場に一層の投資を呼び込み、経済性を向上させる重要性も指摘している。
続く「成熟期」は30年代後半で、大都市圏では主要都市間の自由な往来を広く可能にする。地方部では全国各地での観光利用を定着させ、また日常の移動手段としての運航もスタートさせる。必要な対応としては、多くの機体が高頻度で運航するかたちが見込まれるため、技術開発や交通管理システムのアップデートが必要になることなどを挙げた。
完成期、40年代以降を想定
完成期は40年代以降を想定、日常生活での自由な空の移動が当たり前の社会を実現させることを見込む。その実現のため、広域的な大都市圏ネットワークをつなぐ、全国規模でのネットワーク形成のさらなる促進に向けた方策検討や、自動・自律運航の技術開発および社会実装を行っていくことなどを対応として必要なものとした。
国土交通省と経済産業省では、こうした取り組みを民間事業者や地方自治体などとも連携しながら進め、空飛ぶクルマの実用化を加速させる姿勢を示している。協議会ではこのほか、25年度の検討事項として、無操縦者航空機に関する検討や、ロードマップの改訂を行うことなどを確認した。
さらに構成員として、新たに6社を加え、各社からのプレゼンテーションも行われている。具体的には、Archer Aviation(米カリフォルニア)、Soracle、日建設計、レイメイ、三井不動産、三菱電機。

