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「金利のある世界」で不動産投資の選択/Jリートデータで分析/みずほ信託

「金利のある世界」で不動産投資の選択/Jリートデータで分析/みずほ信託

  • 2025.09.08
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政令指定都市物件と東京都心5区の比較

 みずほ信託銀行が8月の不動産トピックスを発表。不動産投資による金利上昇局面での動向をまとめた。
 Jリート物件の運用データを基に利回りの異なる物件間で収益性や価格の推移を比較し、投資エリアや物件の選択眼が安定的な運用に重要であると指摘している。
 金利が上昇する局面では、投資家の要求利回りが押し上げられる。都心の築浅物件は利回りが低く、より高い利回りを確保するためには郊外や地方物件、築古物件が選択肢となる。ただし賃貸市場規模の小ささや築年数による競争力低下で収益変動リスクが高いとされる。分析は2008年上期から24年下期までの期間で、政令指定都市物件と東京都心5区物件や築古と築浅の比較を行った。
 政令指定都市物件は東京都心5区に比べ利回りが0・8~1・1ポイント高いにもかかわらず、純収益(NOI)は安定して推移し、価格も劣後していない。08年下期の世界金融危機後に拡大した利回り差は13年頃から縮小に転じ、コロナ後はさらに縮小傾向が強まった。テレワークによる需要減退が都心ほど大きくなかったことが背景にある。
 一方、東京都心5区の築古と築浅の比較では利回り差は0・1~0・2ポイントと小さいが、築古物件のNOIや価格はやや劣後した。金融危機後に築古物件のNOIは大きく落ち込み、直近では大口解約の影響もあり悪化した。ただし2物件を除けば底打ちし回復傾向にある。築古物件は修繕費に含まれない資本的支出が増える点にも留意が必要だ。
 バリューアップ事例として、中央区の築42年物件は23年下期に3フロア使用していた銀行が退去。稼働率が60%台に低下したものの、物販区画に用途転換を行った結果、満室となり24年度上期に価格が36%上昇した。そのほか港区の築36年物件では、24年上期に5フロアの解約によって稼働率は30%台に低下。その後の大規模改修によって、今年前半での満室稼働を見込んでいる。適切な施策によって築古でも収益改善が可能なことを裏付けている。
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