お電話でもお問い合わせを受け付けています 受付時間 平日 10:00~17:30

TEL03-6721-1338

新年特集事業環境、新たな領域に/価格高騰対策が始動/金融政策、高コスト圧力など

新年特集事業環境、新たな領域に/価格高騰対策が始動/金融政策、高コスト圧力など

  • 2026.01.05
  • お気に入り

日本橋三越前

 数年来、最大の政治課題は物価高対策である。果たして実現できるのか。日銀が政策金利を0・5%程度から0・75%程度に引き上げる一方で、高市早苗内閣が進める積極財政に対して、市場は円安と債券価格の下落(長期金利の上昇)を招く反応を示すなど不透明感が漂う。住宅・不動産市場では建築費と地価が住宅価格を押し上げ続け、東京23区の新築マンションは1億円台半ばまで上昇。勤労者世帯には手が届かない水準になるとともに、賃貸物件の家賃上昇も続く。これまでは高所得層・富裕層や投資家の需要が活発で市況の好調さを維持してきたが、昨年後半には短期転売規制など新たな動きも加わった。未知の高価格化が進む中で、業界の新年の取り組みが改めて注目されることになりそうだ。

短期転売規制どう影響
 本紙が25年業界重大ニュースでトップに置いたのは「マンション販売で短期転売規制~価格高騰対策で投機的取引抑制へ」。新たな動きとして、今後の市況への影響が避けられないためだ。これが1つの転機になるとの見方もある。
 昨年まで、東京都心部周辺の新築マンションは価格高騰でもよく売れた。その中には投機的な動きが含まれるため、「本当に買いたい人が買えない」「物件価格の高騰で家賃が上がる」などの弊害が指摘されていた。千代田区が7月、不動産協会に「マンション取引等に関する要請」を提出したのがきっかけだった。
 国内外の投資家が転売で利ザヤを稼ぐ動きが表面化したのは数年前にさかのぼる。東京五輪・パラリンピックの選手村として活用された後、仕上げ工事に入った「晴海フラッグ」(東京都中央区、分譲4145戸・賃貸1487戸)の販売時。周辺物件と比べ割安と見られたこともあって、国内外の投資家が数多く登録・購入し、引き渡し前に流通市場で売りに出されるケースが続出した。これは極端に目立ったケースだが、国内の不動産業者や中国を含めたアジア系の富裕層が香港、シンガポール、台北などと比べ、割安な東京のマンションを買い進めているとの指摘もあった。
 大手デベロッパーによると、外国人買いは目立って多いわけではなさそうだが、物件によっては国内外の法人名義の購入が一定数(1~2割程度)あるのも事実。その実態をつかむのはなかなか難しいが、国土交通省が実態調査を実施するなど、ようやく価格高騰対策が本格化してきた。

オフィス市況、投資は堅調か
 オフィスなどの賃貸不動産・投資市場の動向はどうか。昨年は全国的にオフィス市況は堅調に推移し、ビル事業者の収益は大きく改善した。
 日本不動産研究所の吉野薫・シニア不動産エコノミストは12月の定例講演会JREIウェビナーで、「26年の不動産市場」を展望した。
 まず「25年を通じて金利水準が切り上がったものの、地価の上昇は全国的に継続し、不動産投資市場の期待利回りは低位に抑制された」と分析。(1)不動産市場に流入する資金が潤沢で不動産の流動性が保たれたこと、(2)賃料上昇の実現が不動産投資市場に安心感を与えたこと、を挙げた。
 その上で「実体経済は一定の堅調さを見せており、26年にかけても不動産の実需を巡るマクロ経済環境を不安視すべき状況にはない」「建築費の高騰や法改正などを契機に、住宅・非住宅とも着工は低水準に陥っているが、これは先々の賃貸市場を下支えする要因ともなる」「デッド・エクイティともに国内不動産市場を巡る資金は潤沢」とし、26年も引き続き「金融政策の正常化プロセスと不動産市況の堅調さが共存する状態が継続する可能性が高い」と予測した。
 リスク要因として意識されるのは「拡張的財政政策によって引き起こされる一層の物価上昇・供給制約が企業マインドに悪影響を与える可能性や、財政の持続可能性に対する市場の懸念が金融の安定性を損なう可能性など」を挙げている。

建築費下がる要因ない
 三菱地所レジデンスの宮島正治社長は12月、新築マンション価格高騰の要因として「建築コストの上昇」「土地価格の上昇」「需要の集中と供給不足」「金融政策・低金利の影響」「株価の上昇」「一部の目玉物件で短期転売による影響」の6つを挙げた。建築コストは「2年前から上昇し始め、25年に入って急上昇。ファミリー系物件は従前の1・3~1・4倍に、高額系は1・6~1・8倍となった。資材高騰だけでなく、建設会社の技能技術者不足が深刻で、当面下がる要因は見当たらない」と説明した。
 価格高騰はどこまで続くのか、またそれに対応できる商品開発はできるのか。新年のマンション市場は高価格化の進展とともに、新たな未知の領域に突入するようでもある。

融資限度額引き上げ
 そんな中、価格高騰対策として住宅金融支援機構は4月から、全期間固定型の住宅ローン「フラット35」の融資限度額を現行の「8000万円以下」から「1億2000万円以下」に引き上げると発表した。「『強い経済』を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える」(25年11月21日閣議決定)での、足元の物価高等への対応の一環として実施する。対象となる一戸建て住宅の床面積も現行の「70m2以上」から「50m2以上」に見直す。
 併せて3月から、借り換え融資で制度拡充(金利引き下げ制度の創設、借入期間の基準を延長)と、特定残価設定ローン保険の創設も実施するとした。
TOP