自然エネ財団/太陽光設置義務化5自治体調査/効果にバラツキも 補助金利用市民光熱費削減で満足
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2026.02.09
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自然エネルギー財団が1月26日に発表した「太陽光発電の設置義務化の効果」に関する報告書によると、東京都、神奈川県川崎市、京都府、京都市、群馬県の各自治体が推進する太陽光発電設置義務化の効果と課題をまとめるとともに、事業者の推進策や自治体からの支援策も内容に盛り込んでいる。東京都と川崎市では、2025年4月に太陽光発電の設置義務化を開始した。主な対象は新築住宅など中小規模建物を手がけるハウスメーカーなどの事業者だ。川崎市では市の補助金を用いて、24年度に新築住宅で太陽光発電を導入した市民を対象に、25年3月から4月にアンケート調査を実施した。
約200人の回答者のうち87%が太陽光発電に満足していた。その理由としては、光熱費の削減が64%で最も多く、次いで停電時の備えの15%、温室効果ガスの排出量削減の11%となった。ただ調査に回答した市民の約3割は初期費用に不安を抱えている事を背景に、川崎市では導入障壁を下げるため補助金を拠出している。市民はこの補助金で、初期費用の2割超を賄えている。調査回答者の73%は補助金が設置を決める後押しになったと回答。
設置義務化の対象となる住宅は注文戸建て、分譲戸建て、集合住宅に大別できるが、義務化ではとくに分譲戸建てで設置が進むと見込んでいる。全国の新築による太陽光発電設置率は、最新統計の23年度時点で分譲戸建てが12・7%に対し、注文戸建てが63・9%と大きく上回り、その差が顕著となっていた。これは事業者における価格競争の問題が背景にあり、建築コストの抑制効果がシステム設置による住宅価格上昇で薄れ、競合に比べた価格優位性が揺らぐ懸念があった。
一方、設置義務化の開始で状況は一変。対象事業者の多くが分譲戸建てを手がけていて、東京都と川崎市の2自治体とも新築の5割程度が義務化の対象になる見込みとなる。東京都と川崎市では、対象となる全事業者とヒアリングを重ね、課題を整理して効果的な支援策を用意することで懸念解消につなげた。
補助金活用や発電事業者が初期費用負担を行うゼロ円モデルなどで費用増を抑えている。期待効果は大きく、東京都は35年度までにCO2排出量を60%削減、川崎市は30年度までに50%削減する目標を掲げる。ただし目標達成には東京都が23年度時点の導入量の3倍超、川崎市で同1・5倍規模まで拡大する必要がある。
東京都では、家庭による太陽光発電導入促進事業、災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業(予算額702億円)で補助金制度を開始し、新築住宅の太陽光発電搭載時に1キロワットあたり10万円を助成する。川崎市では、市の認定事業者が施行・設置することなどを要件に、太陽光発電設備等設置費補助金でFIT(固定価格買取制度)での売電の場合に住宅1件あたり4万円、FIT以外での売電か全量自家消費の場合に1キロワットあたり7万円を助成する。
東京都は太陽光発電の共同購入事業も促進している。この事業で導入コストは市場価格から20%程度低減できた。義務化推進にあたり広報活動も欠かせないため、SNSなどによる制度周知も進めている。
その結果、25年1月の調査では、3年以内に新築戸建て購入を検討する市民の約9割が制度を認知していた。京都府と京都市は12年度から、群馬県は23年度から、大規模建物による太陽光発電の設置義務化を進めてきた。京都府、京都市は延べ床面積300m2、群馬県は2000m2を超える建物の建築主が対象だ。
また京都府、京都市は22年4月に制度を改正し、延べ床面積が2000m2以上の建物の設置義務量を5~38キロワットに引き上げた。量は延べ床面積に応じて決まる方式で、この引き上げで1棟あたりの設置容量は大幅に拡大した。
京都府地球温暖化対策推進計画では、太陽光発電導入量を30年度までに47メガワット増やす目標を掲げている。25年度に京都府が実施しているものでは、建築主による太陽光発電の設置費用に対し、1キロワットあたり5万円の助成があり、京都市も同様に助成していく。この補助金で、設置費用の2割がカバーされる計算。
京都府では25年9月末時点で8890万円(予算額8950万円)の申請があり、補助金交付率は100%に近づいているという。群馬県でも23年度と24年度の支援事業で、京都府、京都市と同じく1キロワットあたり5万円を助成した。2年間の事業で合計21メガワットの導入量増加につながった。
各自治体で効果が出始めている半面、集合住宅での太陽光発電導入が進んでいない。ZEH-Mの規定上、5階以下にのみ太陽光発電の設置が課されているため、ZEH-Mオリエンテッドに相当する6階以上の高層マンションは設置を免除されているため進んでいないのが現状だ。
そのほか、宮城県仙台市は太陽光発電の設置義務化を27年度から開始予定としている。義務化対象は延べ床面積2000m2未満の住宅などと、2000m2以上の大規模建物だ。仙台市内の建物のほとんどは中小規模で、9割以上を住宅が占めるため、新築住宅の6割で太陽光発電の搭載が進むと見込んでいる。
目標達成のため、太陽光発電の66メガワット増が必要だが、設置義務化で30年度までに34メガワットの増加を想定しているため、必要導入量の5割超が満たされることを想定している。長野県も太陽光発電の設置義務化を28年度から開始を予定する。
国は住宅トップランナー制度と省エネ法の改正で、屋根置き太陽光発電の普及を後押ししていく。まず施策の1つとして、住宅トップランナー制度では設置目標の引き上げを掲げている。30年度までに新築戸建て住宅の6割に太陽光発電を設置する目標に対し、新築戸建て住宅の太陽光発電搭載率(23年度の時点)は36・5%。30年度の目標達成には約1・6倍に引き上げる必要がある。
もう1つは「定期報告書」の義務化。省エネ法改正に伴い、建築主に太陽光発電の設置状況にかかる報告義務を課すとしている。先行する自治体の実績から設置義務化の効果は明らかで、具体的には光熱費削減や災害時のレジリエンス向上などにつながっている。
約200人の回答者のうち87%が太陽光発電に満足していた。その理由としては、光熱費の削減が64%で最も多く、次いで停電時の備えの15%、温室効果ガスの排出量削減の11%となった。ただ調査に回答した市民の約3割は初期費用に不安を抱えている事を背景に、川崎市では導入障壁を下げるため補助金を拠出している。市民はこの補助金で、初期費用の2割超を賄えている。調査回答者の73%は補助金が設置を決める後押しになったと回答。
設置義務化の対象となる住宅は注文戸建て、分譲戸建て、集合住宅に大別できるが、義務化ではとくに分譲戸建てで設置が進むと見込んでいる。全国の新築による太陽光発電設置率は、最新統計の23年度時点で分譲戸建てが12・7%に対し、注文戸建てが63・9%と大きく上回り、その差が顕著となっていた。これは事業者における価格競争の問題が背景にあり、建築コストの抑制効果がシステム設置による住宅価格上昇で薄れ、競合に比べた価格優位性が揺らぐ懸念があった。
一方、設置義務化の開始で状況は一変。対象事業者の多くが分譲戸建てを手がけていて、東京都と川崎市の2自治体とも新築の5割程度が義務化の対象になる見込みとなる。東京都と川崎市では、対象となる全事業者とヒアリングを重ね、課題を整理して効果的な支援策を用意することで懸念解消につなげた。
補助金活用や発電事業者が初期費用負担を行うゼロ円モデルなどで費用増を抑えている。期待効果は大きく、東京都は35年度までにCO2排出量を60%削減、川崎市は30年度までに50%削減する目標を掲げる。ただし目標達成には東京都が23年度時点の導入量の3倍超、川崎市で同1・5倍規模まで拡大する必要がある。
東京都では、家庭による太陽光発電導入促進事業、災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業(予算額702億円)で補助金制度を開始し、新築住宅の太陽光発電搭載時に1キロワットあたり10万円を助成する。川崎市では、市の認定事業者が施行・設置することなどを要件に、太陽光発電設備等設置費補助金でFIT(固定価格買取制度)での売電の場合に住宅1件あたり4万円、FIT以外での売電か全量自家消費の場合に1キロワットあたり7万円を助成する。
東京都は太陽光発電の共同購入事業も促進している。この事業で導入コストは市場価格から20%程度低減できた。義務化推進にあたり広報活動も欠かせないため、SNSなどによる制度周知も進めている。
その結果、25年1月の調査では、3年以内に新築戸建て購入を検討する市民の約9割が制度を認知していた。京都府と京都市は12年度から、群馬県は23年度から、大規模建物による太陽光発電の設置義務化を進めてきた。京都府、京都市は延べ床面積300m2、群馬県は2000m2を超える建物の建築主が対象だ。
また京都府、京都市は22年4月に制度を改正し、延べ床面積が2000m2以上の建物の設置義務量を5~38キロワットに引き上げた。量は延べ床面積に応じて決まる方式で、この引き上げで1棟あたりの設置容量は大幅に拡大した。
京都府地球温暖化対策推進計画では、太陽光発電導入量を30年度までに47メガワット増やす目標を掲げている。25年度に京都府が実施しているものでは、建築主による太陽光発電の設置費用に対し、1キロワットあたり5万円の助成があり、京都市も同様に助成していく。この補助金で、設置費用の2割がカバーされる計算。
京都府では25年9月末時点で8890万円(予算額8950万円)の申請があり、補助金交付率は100%に近づいているという。群馬県でも23年度と24年度の支援事業で、京都府、京都市と同じく1キロワットあたり5万円を助成した。2年間の事業で合計21メガワットの導入量増加につながった。
各自治体で効果が出始めている半面、集合住宅での太陽光発電導入が進んでいない。ZEH-Mの規定上、5階以下にのみ太陽光発電の設置が課されているため、ZEH-Mオリエンテッドに相当する6階以上の高層マンションは設置を免除されているため進んでいないのが現状だ。
そのほか、宮城県仙台市は太陽光発電の設置義務化を27年度から開始予定としている。義務化対象は延べ床面積2000m2未満の住宅などと、2000m2以上の大規模建物だ。仙台市内の建物のほとんどは中小規模で、9割以上を住宅が占めるため、新築住宅の6割で太陽光発電の搭載が進むと見込んでいる。
目標達成のため、太陽光発電の66メガワット増が必要だが、設置義務化で30年度までに34メガワットの増加を想定しているため、必要導入量の5割超が満たされることを想定している。長野県も太陽光発電の設置義務化を28年度から開始を予定する。
国は住宅トップランナー制度と省エネ法の改正で、屋根置き太陽光発電の普及を後押ししていく。まず施策の1つとして、住宅トップランナー制度では設置目標の引き上げを掲げている。30年度までに新築戸建て住宅の6割に太陽光発電を設置する目標に対し、新築戸建て住宅の太陽光発電搭載率(23年度の時点)は36・5%。30年度の目標達成には約1・6倍に引き上げる必要がある。
もう1つは「定期報告書」の義務化。省エネ法改正に伴い、建築主に太陽光発電の設置状況にかかる報告義務を課すとしている。先行する自治体の実績から設置義務化の効果は明らかで、具体的には光熱費削減や災害時のレジリエンス向上などにつながっている。

