マンション賃料上振れも/不動産投資環境の変化が背景/三菱UFJ信託
-
2025.12.08
- ツイート
三菱UFJ信託銀行は、11月発行の不動産マーケットリサーチレポートで、不動産投資市場とマンション賃料の関係を分析・公表した。賃貸マンション投資の人気が高いが賃料の上昇は限定的で、キャップレート低下が主要因の一つとなっているという。今後は賃料が従来の経済変数から推定した水準を上回る可能性があると指摘する。
同社の私募ファンド調査では、投資対象としたいアセットタイプとして賃貸マンションが一貫して最上位層に位置する。
東京23区では、過去15年間の賃料上昇率がプラス28%にとどまる一方、新築分譲マンション価格はプラス114%、中古分譲マンション価格はプラス112%まで伸び、賃料との乖離が鮮明だ。東京23区の一般的な賃貸マンションを想定した価格変動の内訳を分解すると、過去15年の価格上昇率プラス116%のうち約6割をキャップレート効果が占め、工事原価や住宅地地価、建築費の上昇を投資家が低利回り受容を通じて吸収してきた結果、居住者には割安な賃料水準が維持されたと説明する。足元のキャップレートは横ばいに転じている。
7月時点の私募ファンド調査では、東京・城南エリアの賃貸マンションキャップレートについて、回答者の69・2%が今後1年間は横ばい推移と回答している。キャップレートから追加的な価格押し上げ効果が生じない局面では、投資家が賃料引き上げを求めやすい構造になりつつある可能性があるとみる。
将来のマンション賃料については、雇用環境と供給コストを説明変数とする計量モデルで東京23区の賃料上昇率を予測した。マクロ経済前提の下で、25年から29年までの5年間に賃料はプラス13%程度上昇すると試算するが、これまでコスト上昇を相殺してきたキャップレート低下が止まりつつあることを踏まえると、実際の賃料は上振れする余地があると指摘する。原価構成を用地取得費2に対し建築費1と仮定し、25年から29年までの建築費と住宅地地価の上昇が賃料に直接反映すると単純計算した場合、賃料は約2割上昇する可能性があるとした。レポートは、不動産投資市場とマンション賃料の関係がマクロ経済や投資環境の変化を踏まえた重要な論点になりつつあるとし、賃料水準への影響を見極める必要がある。
同社の私募ファンド調査では、投資対象としたいアセットタイプとして賃貸マンションが一貫して最上位層に位置する。
東京23区では、過去15年間の賃料上昇率がプラス28%にとどまる一方、新築分譲マンション価格はプラス114%、中古分譲マンション価格はプラス112%まで伸び、賃料との乖離が鮮明だ。東京23区の一般的な賃貸マンションを想定した価格変動の内訳を分解すると、過去15年の価格上昇率プラス116%のうち約6割をキャップレート効果が占め、工事原価や住宅地地価、建築費の上昇を投資家が低利回り受容を通じて吸収してきた結果、居住者には割安な賃料水準が維持されたと説明する。足元のキャップレートは横ばいに転じている。
7月時点の私募ファンド調査では、東京・城南エリアの賃貸マンションキャップレートについて、回答者の69・2%が今後1年間は横ばい推移と回答している。キャップレートから追加的な価格押し上げ効果が生じない局面では、投資家が賃料引き上げを求めやすい構造になりつつある可能性があるとみる。
将来のマンション賃料については、雇用環境と供給コストを説明変数とする計量モデルで東京23区の賃料上昇率を予測した。マクロ経済前提の下で、25年から29年までの5年間に賃料はプラス13%程度上昇すると試算するが、これまでコスト上昇を相殺してきたキャップレート低下が止まりつつあることを踏まえると、実際の賃料は上振れする余地があると指摘する。原価構成を用地取得費2に対し建築費1と仮定し、25年から29年までの建築費と住宅地地価の上昇が賃料に直接反映すると単純計算した場合、賃料は約2割上昇する可能性があるとした。レポートは、不動産投資市場とマンション賃料の関係がマクロ経済や投資環境の変化を踏まえた重要な論点になりつつあるとし、賃料水準への影響を見極める必要がある。

