CBRE「データセンター建設費指数」/25年世界収益は5275億ドル/東京エリアが連続1位
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2025.12.15
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シービーアールイー(CBRE、東京都千代田区)とその子会社であるターナー&タウンゼント(東京都港区)はこのほど、「2025~26データセンター建設費指数」レポートを公開した。地域別の建設費動向に加え、業界の課題や将来展望をまとめ、AI投資の加速、進化するデリバリーモデル、電力供給を高める新ソリューションなど急速な成長をけん引する要因を検証。25年の世界のデータセンター市場収益は5275億ドルに達するとの予測になった。
「AI型」で上昇明らか
AI分野への注目度の世界的高まりと新たなデータセンター開発に対する需要急増は、チャンスであるとともに新たな課題もある。データセンター市場は「不況に強い」と見られる半面、施工計画、施設の提供や運用に対する課題の深刻化は顕著で、成長ペースに制限が生じる可能性もある。
レポートでは急速に変化する業界環境を踏まえ、商業的要因や需要動向の把握、サプライチェーン強化に向けた最適な方法の見極めを助け、電力供給の確保や冷却ソリューションから、複雑化するプロジェクト向けの代替供給モデルに至るまで現在の最重要課題を検証した。
まずデータセンター建設費動向としては、26年まで緩やかに上昇する見通しとなったが、2つの主要データセンタータイプ間で格差が拡大し、従来型クラウドベースのものでは建設費が概ね安定している一方、AIワークロードに対応するデータセンターではコスト影響要因が多岐にわたり、包括的グローバルベンチマークデータが整備できず不透明となっている。
従来型クラウドベースの空冷式データセンター建設では1ワット当たりのコストが5・5%増加した。24年報告書の23年比9・0%増から大幅に低下した。背景には建設市場全体のコスト上昇が緩和されていることがあり、同社の「25年グローバル建設市場動向レポート」では、世界の建設業界全体の平均インフレ率は4・2%だった。
特にデータセンター市場は特定地域で業界やサプライチェーンの多くがまだ発展途上段階にあるため、現地のサプライチェーンが確立されるにつれ、コスト圧力が緩和される傾向にあるという。システムの高コストは、とくに電力密度に関し、ニーズによって緩和される場合があるという。
「クラウド型データセンター」ではダウンタイムのリスク管理のため冗長性確保が必要で、それがコスト増を招いている。
「AIデータセンター」では企業ごとの信頼性要件に応じこの冗長性水準を調整可能となるため、コストを抑制できる可能性がある。設計もより柔軟に行えるため、その面での費用削減も可能だ。電力密度の向上は同等あるいは、それ以上のIT負荷展開のために必要な建物設備面積を削減できる要因にもなる。
将来的にはこうしたコスト抑制も見込まれるが、現時点ではAIデータセンターの建設コスト上昇はやはり明らかで、過去1年間で入札価格が6~15%上昇したという回答者は47%、15%超上昇したという回答者は21%だった。
データセンター建設費の指数調査では、24年と同様、東京、シンガポール、チューリッヒが上位3市場となった。東京は前年に続き52の市場中1位を維持、建設コストは1ワット当たり15・2ドルとなった。
土地供給状況や限られた施工業者数、労働市場動向などが影響している。大阪が4位にランクインし、東京に次ぐ国内第2のデータセンター市場として急速に存在感を高め、西日本や中部地域の広範囲をカバーできる地理的優位性を持つ理想拠点と見られている。
東アジア主要都市に次ぐのは米国や欧州で、北欧の複数都市も世界トップ15に名を連ねている。これら市場では需要が供給を上回る状態が続く。全体的な特徴としては、業界のグローバルな成熟が進むにつれ標準化が加速し、地域間格差が徐々に縮小し始めていることが指摘された。
これまでランキング下位だった欧州主要都市が米国主要都市と同等水準にまで上昇している。米ドル安もEU圏の相対的順位を押し上げる要因となった。また、サプライチェーンの成熟化によって、新興市場での建設コストは安定化してきている。
例えば、ナイジェリアのラゴスは24年に7位となったが、新規サプライチェーン構築と専門知識確保にきわめて高いコストがかかっていたことが要因で、今年はそれらが安定し1ワット当たり10・5ドルで27位に落ち着いた。他の新規参入市場でも同様の初期コスト急騰後、正常化が進むと予測されている。
電力供給の制約 課題に
業界課題では、調査回答者の48%が接続までのリードタイムが長いことによる電力供給の制約を挙げた。多くの地域では地域に根ざした再生可能エネルギー導入が進み、電力網への統合が進む。
コスト圧力の高まりは強く、AI利用に直接起因し30年までに電力使用量は165%増加する予測となった。液体冷却による水コスト、建設費と土地取得コストの高騰が懸念されている。さらに高度コンピューティングのコスト増、規制や環境制約による持続可能な建設ソリューションのコスト増も見込まれた。同年までに電力需要は世界の電力消費全体の約21%を占める予想で、運用・保守面での課題も懸念される。
「AI型」で上昇明らか
AI分野への注目度の世界的高まりと新たなデータセンター開発に対する需要急増は、チャンスであるとともに新たな課題もある。データセンター市場は「不況に強い」と見られる半面、施工計画、施設の提供や運用に対する課題の深刻化は顕著で、成長ペースに制限が生じる可能性もある。
レポートでは急速に変化する業界環境を踏まえ、商業的要因や需要動向の把握、サプライチェーン強化に向けた最適な方法の見極めを助け、電力供給の確保や冷却ソリューションから、複雑化するプロジェクト向けの代替供給モデルに至るまで現在の最重要課題を検証した。
まずデータセンター建設費動向としては、26年まで緩やかに上昇する見通しとなったが、2つの主要データセンタータイプ間で格差が拡大し、従来型クラウドベースのものでは建設費が概ね安定している一方、AIワークロードに対応するデータセンターではコスト影響要因が多岐にわたり、包括的グローバルベンチマークデータが整備できず不透明となっている。
従来型クラウドベースの空冷式データセンター建設では1ワット当たりのコストが5・5%増加した。24年報告書の23年比9・0%増から大幅に低下した。背景には建設市場全体のコスト上昇が緩和されていることがあり、同社の「25年グローバル建設市場動向レポート」では、世界の建設業界全体の平均インフレ率は4・2%だった。
特にデータセンター市場は特定地域で業界やサプライチェーンの多くがまだ発展途上段階にあるため、現地のサプライチェーンが確立されるにつれ、コスト圧力が緩和される傾向にあるという。システムの高コストは、とくに電力密度に関し、ニーズによって緩和される場合があるという。
「クラウド型データセンター」ではダウンタイムのリスク管理のため冗長性確保が必要で、それがコスト増を招いている。
「AIデータセンター」では企業ごとの信頼性要件に応じこの冗長性水準を調整可能となるため、コストを抑制できる可能性がある。設計もより柔軟に行えるため、その面での費用削減も可能だ。電力密度の向上は同等あるいは、それ以上のIT負荷展開のために必要な建物設備面積を削減できる要因にもなる。
将来的にはこうしたコスト抑制も見込まれるが、現時点ではAIデータセンターの建設コスト上昇はやはり明らかで、過去1年間で入札価格が6~15%上昇したという回答者は47%、15%超上昇したという回答者は21%だった。
データセンター建設費の指数調査では、24年と同様、東京、シンガポール、チューリッヒが上位3市場となった。東京は前年に続き52の市場中1位を維持、建設コストは1ワット当たり15・2ドルとなった。
土地供給状況や限られた施工業者数、労働市場動向などが影響している。大阪が4位にランクインし、東京に次ぐ国内第2のデータセンター市場として急速に存在感を高め、西日本や中部地域の広範囲をカバーできる地理的優位性を持つ理想拠点と見られている。
東アジア主要都市に次ぐのは米国や欧州で、北欧の複数都市も世界トップ15に名を連ねている。これら市場では需要が供給を上回る状態が続く。全体的な特徴としては、業界のグローバルな成熟が進むにつれ標準化が加速し、地域間格差が徐々に縮小し始めていることが指摘された。
これまでランキング下位だった欧州主要都市が米国主要都市と同等水準にまで上昇している。米ドル安もEU圏の相対的順位を押し上げる要因となった。また、サプライチェーンの成熟化によって、新興市場での建設コストは安定化してきている。
例えば、ナイジェリアのラゴスは24年に7位となったが、新規サプライチェーン構築と専門知識確保にきわめて高いコストがかかっていたことが要因で、今年はそれらが安定し1ワット当たり10・5ドルで27位に落ち着いた。他の新規参入市場でも同様の初期コスト急騰後、正常化が進むと予測されている。
電力供給の制約 課題に
業界課題では、調査回答者の48%が接続までのリードタイムが長いことによる電力供給の制約を挙げた。多くの地域では地域に根ざした再生可能エネルギー導入が進み、電力網への統合が進む。
コスト圧力の高まりは強く、AI利用に直接起因し30年までに電力使用量は165%増加する予測となった。液体冷却による水コスト、建設費と土地取得コストの高騰が懸念されている。さらに高度コンピューティングのコスト増、規制や環境制約による持続可能な建設ソリューションのコスト増も見込まれた。同年までに電力需要は世界の電力消費全体の約21%を占める予想で、運用・保守面での課題も懸念される。

