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不動産DX・新技術特集/建築意匠の「決定プロセス」3Dと描く実務の未来/服を試着するように建築素材を〝試着〟/スタッコとSAMURAI ARCHITECTS

不動産DX・新技術特集/建築意匠の「決定プロセス」3Dと描く実務の未来/服を試着するように建築素材を〝試着〟/スタッコとSAMURAI ARCHITECTS

  • 2026.02.16
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「FIND」/AIが類似素材を解析

MATERIAL CLUBの一部機能を体験できるデモサイト「PLAY MATERIALS」のイメージ図

 建築・リフォームの商談で、常に障壁となってきたのは「完成イメージの共有」という、極めて主観的で曖昧なプロセスだ。図面や小さなカットサンプルから、実際の広い壁面に施工された際の光の反射や質感を想像するのは、プロでも至難の業である。
 イタリア伝統の左官材や特殊塗装の輸入・施工で実績を持つスタッコ(京都市)が開発した「Stucco
3D Simulator」と、同社が建築AI開発を手掛けるSAMURAI ARCHITECTS(東京都港区)と共同開発した「MATERIAL CLUB(マテリアルクラブ)」を紹介する。「Stucco 3D Simulator」は、AIと3D技術を活用し、建築素材をデジタル空間でリアルに再現・シミュレーションすることで、服を試着するように建築素材を〝試着〟できる新システム。
 一方「MATERIAL CLUB」では、シミュレーターを活用した新しいデザイン手法の研究、伝統技術とデジタルテクノロジーを掛け合わせた創造的な発表を行っていくという。

■「物理的な正確性」への執着が限界を突破
 昨今の生成AI技術、特に画像生成AIの進歩は目覚ましい。同システム(「Stucco 3D Simulator」)の特徴は、徹底した「物理的な正確性」にある。AIと物理ベースの3Dレンダリング技術を駆使し、「100回レンダリングすれば、100回とも正確に物理特性を再現する」実務精度を追求した。空間全体を3Dとして再構築し、写真内の照明条件を自動解析して仮想ライトを配置することで、スマホやPC画面上で、まるで服を試着するように建築素材を〝試着〟することができる。

■実務を貫く3つのアプローチ「MAKE」「TRY」「FIND」
 両社が発足させたプラットフォーム「MATERIAL CLUB」は、デザインから施工、流通までを横断する3つのアプローチによって、新しい建築体験の提供を目指している。
 まず「MAKE(つくる)」は、AIが実在の素材画像から高精度な3Dテクスチャ(PBRマップ)を自動生成することで、建材メーカーは膨大なコストをかけずにカタログのデジタル化やBIMデータの構築が可能になる。次に「TRY(ためす)」では、ユーザーがアップロードした室内写真に対し、AIが素材を自動マッピングする。照明や距離感を自動補正し、設計者、施主、職人が「全く同じ質感のイメージ」を共有できる環境を構築。3つめは「FIND(さがす)」。
 AIが空間写真を解析し、各メーカーの建材データベースから、見た目だけでなく価格や性能、在庫情報に基づいた最適な素材を提案する。

■「空間デザインの民主化」が不動産価値を再定義
 同システムの導入は、不動産仲介やリフォーム提案の現場を変える可能性もあるという。例えば中古住宅の売買で、内覧時にその場で「この壁をイタリア漆喰に変えたらどうなるか」を正確に提示できれば、「物件紹介」から顧客のライフスタイルそのものを提案する「コンサルティング」へと進化する。
 特に、スタッコが扱うようなラグジュアリーな左官材は、その価値が「質感」に集約されているため、デジタルでの正確な再現は成約率に直結する。ウェブ画面上で自由に色味を変更し、そのまま実際のサンプル作成依頼まで完結できる導線は、検討時間を大幅に短縮し、顧客の満足度向上につながっていく。
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