総合大手5社/すべてで最高を更新/賃貸回復、分譲なども好調
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2025.05.26
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主要不動産会社の25年3月期決算が出そろった。世界的な景気低迷、円安による物価高や金融政策の転換、さらに用地高や建築費高騰などの事業環境の変化を受けながらも、不動産各社の決算は全体的に増収増益基調を維持した。幅広い事業を展開する総合不動産大手など、最高決算を更新する企業が相次いだ。価格上昇が続く分譲マンションでは実需減退分をカバーするように富裕層・投資家層向けが順調だったほか、仲介業も好調を持続。コロナ禍で減速したオフィス市況も回復を強めた。また訪日外国人客の増加で盛り上がるインバウンド需要でホテル・商業施設も急回復した。とりわけ再開発事業が進む東京など大都市を主力に展開する企業の業績の伸びが目立った。次期業績予想も増収増益の拡大基調が続く見通しだ。
不動産決算、増収増益続く
三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングスの総合大手5社は各社とも売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の各指標で過去最高を記録した。
三井不動産は売上高2兆6253億円、営業利益3727億円を計上。部門別の売上高と事業利益は、賃貸が8723億円で利益1764億円、分譲が7580億円で同1670億円、マネジメントが4862億円で同716億円、施設営業が2240億円で同386億円、その他が2846億円で同386億円。いずれも増収増益だった。
その要因として、賃貸は「国内外オフィスの賃貸収益や国内商業施設の売り上げ伸長など」、分譲は「国内住宅分譲の順調な引き渡し、固定資産・販売用不動産の投資家等への売却進ちょくなど」、マネジメントは「リハウス(個人向け仲介)の取引単価向上、AUM(運用資産残高)の拡大など」、施設営業は「ホテル・リゾートの収益・利益の大幅な伸長、東京ドームの稼働日数・来場者数の増加など」を挙げている。
三菱地所は売上高1兆5798億円、営業利益3092億円を計上した。部門別の売り上げと営業利益はコマーシャル不動産事業が5388億円で利益1246億円、丸の内事業が3945億円で同961億円、住宅事業が4219億円で同480億円、海外事業が1601億円で同458億円、投資マネジメント事業が409億円で同119億円、設計監理・不動産サービス事業が821億円で同107億円だった。丸の内事業と海外事業を除き、増収増益となった。
コマーシャル不動産事業は「オフィス・商業施設・ホテルを中心としたインカムゲインの増加とキャピタルゲインの増加で増益」、丸の内事業は「再開発に伴う閉館による減収の一方、既存ビル賃貸は好調に推移し、横ばい」、住宅事業は「分譲マンション事業の好調、賃貸住宅などの物件売却の増加で増益」、海外事業は「一部物件売却を翌期以降に変更したことによる物件売却益の減少で減益」、投資マネジメント事業は「前年度のインセンティブフィー調整の反動で増益」、設計監理・不動産サービス事業は「フィー収入拡大で増益」とした。
住友不動産は売上高1兆142億円、営業利益2715億円とした。部門別の売り上げと営業利益は不動産賃貸が4725億円で利益1912億円、不動産販売が2464億円で同603億円、完成工事が2158億円で同227億円、不動産流通が731億円で同195億円。不動産賃貸は既存ビルの稼働率改善と値上げの浸透で最高益を更新し、不動産販売、完成工事もそれぞれ最高益を更新。不動産流通も取扱単価の上昇で増収増益となった。
東急不動産ホールディングスは売上高1兆1503億円、営業利益1407億円を計上した。部門別の売上高と営業利益は、都市開発が3488億円で利益705億円、戦略投資が1108億円で同52億円、管理運営が3658億円で同250億円、不動産流通が3454億円で同508億円だった。北米の費用増加で減益となった戦略投資を除き増益だった。
野村不動産ホールディングスは売上高7576億円、営業利益1189億円とした。部門別の売り上げと事業利益は、住宅が3684億円で利益487億円、都市開発が2133億円で同416億円、海外が94億円で同66億円、資産運用が155億円で同98億円、仲介・CREが571億円で同165億円、管理運営が1138億円で同119億円。減収減益となった都市開発以外は増収増益だった。
分譲戸建て回復基調に
マンションを主力とする企業では、MIRARTHホールディングスが増収減益。コスモスイニシアはレジデンシャル事業と宿泊事業が好調で増収増益とした。ゴールドクレスト、フージャースホールディングス、エスリード、FJネクストホールディングスも増収増益とした。
分譲戸建ての飯田グループホールディングスは売上高1兆4596億円、営業利益804億円を計上し、増収増益軌道に戻した。同社では「着工戸数の減少で市中在庫量も緩やかに減少し、需給バランスは引き続き改善傾向」とする一方、「建築コスト高騰による販売価格の高止まりや住宅ローン金利の上昇は、住宅取得マインドを低下させる懸念がある」と見ている。
関西で展開するフジ住宅、関東のケイアイスター不動産、グランディハウス、アグレ都市デザインも増収増益に戻したが、中京圏のAMGホールディングスは増収減益となった。地方都市を中心に築古住宅にリフォームを施したうえで中低所得者に販売する買取再販を展開するカチタスは増収増益に戻した。
事務所・商業ビルなどの不動産再生・サービス事業を主力とするサンフロンティア不動産は売上高を初めて1000億円の大台に乗せるとともに、各利益も過去最高を更新した。
建設主力企業も好調持続
住宅建設と不動産事業併営の大東建託は最高決算を更新中。部門別の売上高と営業利益は建設事業が5409億円で利益471億円、不動産賃貸事業が1兆1646億円で同803億円など。入居者あっせん件数は34万4855件(前期比2・1%増)、25年3月時点の入居率は居住用が97・8%、事業用が99・4%だった。
マンション建設の長谷工コーポレーションは売上高1兆1773億円で営業利益847億円を計上した。部門別の売り上げと営業利益は建設関連事業が7967億円で利益535億円、サービス関連事業が2764億円で同181億円の増収減益となったが、不動産関連事業は1747億円で同240億円と増収増益だった。
不動産決算、増収増益続く
三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングスの総合大手5社は各社とも売上高、営業利益、経常利益、当期純利益の各指標で過去最高を記録した。
三井不動産は売上高2兆6253億円、営業利益3727億円を計上。部門別の売上高と事業利益は、賃貸が8723億円で利益1764億円、分譲が7580億円で同1670億円、マネジメントが4862億円で同716億円、施設営業が2240億円で同386億円、その他が2846億円で同386億円。いずれも増収増益だった。
その要因として、賃貸は「国内外オフィスの賃貸収益や国内商業施設の売り上げ伸長など」、分譲は「国内住宅分譲の順調な引き渡し、固定資産・販売用不動産の投資家等への売却進ちょくなど」、マネジメントは「リハウス(個人向け仲介)の取引単価向上、AUM(運用資産残高)の拡大など」、施設営業は「ホテル・リゾートの収益・利益の大幅な伸長、東京ドームの稼働日数・来場者数の増加など」を挙げている。
三菱地所は売上高1兆5798億円、営業利益3092億円を計上した。部門別の売り上げと営業利益はコマーシャル不動産事業が5388億円で利益1246億円、丸の内事業が3945億円で同961億円、住宅事業が4219億円で同480億円、海外事業が1601億円で同458億円、投資マネジメント事業が409億円で同119億円、設計監理・不動産サービス事業が821億円で同107億円だった。丸の内事業と海外事業を除き、増収増益となった。
コマーシャル不動産事業は「オフィス・商業施設・ホテルを中心としたインカムゲインの増加とキャピタルゲインの増加で増益」、丸の内事業は「再開発に伴う閉館による減収の一方、既存ビル賃貸は好調に推移し、横ばい」、住宅事業は「分譲マンション事業の好調、賃貸住宅などの物件売却の増加で増益」、海外事業は「一部物件売却を翌期以降に変更したことによる物件売却益の減少で減益」、投資マネジメント事業は「前年度のインセンティブフィー調整の反動で増益」、設計監理・不動産サービス事業は「フィー収入拡大で増益」とした。
住友不動産は売上高1兆142億円、営業利益2715億円とした。部門別の売り上げと営業利益は不動産賃貸が4725億円で利益1912億円、不動産販売が2464億円で同603億円、完成工事が2158億円で同227億円、不動産流通が731億円で同195億円。不動産賃貸は既存ビルの稼働率改善と値上げの浸透で最高益を更新し、不動産販売、完成工事もそれぞれ最高益を更新。不動産流通も取扱単価の上昇で増収増益となった。
東急不動産ホールディングスは売上高1兆1503億円、営業利益1407億円を計上した。部門別の売上高と営業利益は、都市開発が3488億円で利益705億円、戦略投資が1108億円で同52億円、管理運営が3658億円で同250億円、不動産流通が3454億円で同508億円だった。北米の費用増加で減益となった戦略投資を除き増益だった。
野村不動産ホールディングスは売上高7576億円、営業利益1189億円とした。部門別の売り上げと事業利益は、住宅が3684億円で利益487億円、都市開発が2133億円で同416億円、海外が94億円で同66億円、資産運用が155億円で同98億円、仲介・CREが571億円で同165億円、管理運営が1138億円で同119億円。減収減益となった都市開発以外は増収増益だった。
分譲戸建て回復基調に
マンションを主力とする企業では、MIRARTHホールディングスが増収減益。コスモスイニシアはレジデンシャル事業と宿泊事業が好調で増収増益とした。ゴールドクレスト、フージャースホールディングス、エスリード、FJネクストホールディングスも増収増益とした。
分譲戸建ての飯田グループホールディングスは売上高1兆4596億円、営業利益804億円を計上し、増収増益軌道に戻した。同社では「着工戸数の減少で市中在庫量も緩やかに減少し、需給バランスは引き続き改善傾向」とする一方、「建築コスト高騰による販売価格の高止まりや住宅ローン金利の上昇は、住宅取得マインドを低下させる懸念がある」と見ている。
関西で展開するフジ住宅、関東のケイアイスター不動産、グランディハウス、アグレ都市デザインも増収増益に戻したが、中京圏のAMGホールディングスは増収減益となった。地方都市を中心に築古住宅にリフォームを施したうえで中低所得者に販売する買取再販を展開するカチタスは増収増益に戻した。
事務所・商業ビルなどの不動産再生・サービス事業を主力とするサンフロンティア不動産は売上高を初めて1000億円の大台に乗せるとともに、各利益も過去最高を更新した。
建設主力企業も好調持続
住宅建設と不動産事業併営の大東建託は最高決算を更新中。部門別の売上高と営業利益は建設事業が5409億円で利益471億円、不動産賃貸事業が1兆1646億円で同803億円など。入居者あっせん件数は34万4855件(前期比2・1%増)、25年3月時点の入居率は居住用が97・8%、事業用が99・4%だった。
マンション建設の長谷工コーポレーションは売上高1兆1773億円で営業利益847億円を計上した。部門別の売り上げと営業利益は建設関連事業が7967億円で利益535億円、サービス関連事業が2764億円で同181億円の増収減益となったが、不動産関連事業は1747億円で同240億円と増収増益だった。