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冷凍食品、流通マージン確保に難/拠点再配置など課題/三菱UFJ信託調べ

冷凍食品、流通マージン確保に難/拠点再配置など課題/三菱UFJ信託調べ

  • 2025.07.14
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冷凍食品の物価推移

 三菱UFJ信託銀行の「不動産マーケットリサーチレポート」(7月3日発行)によると、製造地と消費地間の長距離輸送を背景に、冷凍食品の在庫集約拠点の設置が総輸送距離削減に効果を発揮する。特に群馬県や香川県などの製造地では、域内消費を大きく上回る製造規模の再配置が今後さらに重要としている。
 冷凍食品の市場を見てみる。冷凍食品の流通構造を金額ベースで分析すると冷凍食品メーカーからの出荷額3147億円に対し、消費者の購入額は6141億円。出荷額を100とした場合、加工品の流通マージンは販売価格の内49%を占め、他の加工食品よりも高水準となっていた。小売段階でのマージンは74ポイントと最も大きいが、原材料や流通コストの上昇によって、マージン確保が難しくなってきている。2022年以降、エネルギー価格の高騰などで冷凍食品の小売物価と企業物価が共に上昇。足元では企業物価の上昇が小売物価を上回り、コスト上昇分を販売価格に十分転嫁できていない状況が続いている。
 冷凍食品の流通コストが高い理由として、まず原材料の野菜の流通過程にかかるコストが挙げられる。複数次の卸や長距離輸送が常態化しているうえ、パレット化されていない品目が多く、流通マージン率は37%と高い。原材料として使用される食肉・水産品の割合が高いことも影響している。原料は輸入品が多く、港湾での輸入手続きや、湾岸周辺での一気通貫の調達・製造がコスト抑制に重要な役割を果たしている。製造後、小売・卸の物流センターまでの納品物流は長距離になる傾向がある。
 また、冷凍食品は最終消費以外の中間投入割合が高く、製品の約半数が外食産業や宅配、医療・福祉サービスなどで使用されている。冷凍食品物流の今後については、外食配送ネットワークの強化、小売業による拠点間輸送の共同化、川上での拠点集約や再配置が予見される。
 外食配送では、大都市の商業エリアで配送拠点の共同利用が進む見通し。小売業界では既存拠点を活用し、異なる事業者間での輸送ルートの共同化がまず進むと考えられる。
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