自動運転でインフラ検討会、国交省、警察庁、総務省の3省庁連携で、社会実装へ目標設定、深刻な担い手不足解消の期待、議論通じ産学官の連携強化
-
2025.07.23
- ツイート
国土交通省、警察庁、総務省は、自動運転の実現を支援するインフラの在り方を総合的に検討するため、「自動運転インフラ検討会」を新たに設置し、6月27日に第1回会合を開いた。座長は東京大大学院の羽藤英二教授、委員には名古屋大の井料美帆教授、東京大の大口敬教授など学識経験者やITSJapan、日本自動車工業会、道路交通情報通信システムセンターのほか関係機関の代表者も参加した。現在各地で進められている実証実験などの状況を把握するとともに今後の実用化へ向けた目標などについて検討した。
自動運転インフラ整備の背景には、人口減少や高齢化に伴う物流や地域公共交通の担い手不足という、解決が急がれる社会課題がある。特にトラック、バス、タクシーなどの自動車運転業務は、全産業平均と比較して賃金水準が低く有効求人倍率が高い水準で推移し、深刻な人手不足が構造的な問題となっている。
また、働き方改革関連法による労働時間規制が加わる「2024年問題」の影響は大きく、トラック輸送能力は24年度に約14%(4億トン相当)、30年度には約34%(9億トン相当)不足する可能性が懸念される。地方の路線バスや地域鉄道は長期的な利用者減で多くの事業者が赤字経営に陥り、安定的なサービス提供の維持が困難な現状だ。
課題の解決策として、自動運転の早期実装が期待され、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」などで具体的な目標を掲げた。目標では、一般道での遠隔監視のみによるレベル4無人自動運転移動サービスを、2025年度をめどに50カ所、27年度までに100カ所以上で実現し、高速道路でのレベル4自動運転トラックを25年度以降に実現することを目指す。
23年4月の改正道路交通法施行で特定自動運行の許可制度が創設された。
同年5月には福井県永平寺町で国内初のレベル4サービスが事業運行を開始。全国16カ所(24年5月時点)で通年運行事業が実施されるなど、取り組みは着実に進展している。
この実現を支えるのが、産学官連携プロジェクト「RoAD to the L4」で、高速道路でのトラック自動運転については豊田通商を幹事会社とし、事業化検討ワーキンググループには佐川急便、西濃運輸、福山通運、日本通運、日本郵便、ヤマト運輸の物流大手6社と、みずほリサーチ&テクノロジーズが参加。車両開発ワーキンググループには、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそう、UDトラックスの大型車メーカー4社に加え、三菱電機や日本工営なども参画し、技術開発を推進している。しかし、自動運転のさらなる拡大には、車両単体の性能だけでは限界があり、道路インフラからの支援が不可欠だ。
事業者へのヒアリングでは、一般道は「交差点」、高速道路が「分合流部」でインフラ支援を求める声が最も多く、信号情報や周辺車両・歩行者の位置・速度といった動的な情報提供の必要性が指摘されている。
道路工事や悪天候、緊急車両の通行の一時的な状況変化への対応も大きな課題。今回設置された検討会は、こうしたニーズに応えるため、路車協調システム、情報通信インフラ、道路交通情報、走行空間、道路・交通管理、インフラ展開方針の6項目を主要な検討事項とする。
合流支援や交差点センサーの技術基準、遠隔監視などユースケースに応じた通信インフラの在り方、路側カメラや車両データを活用した情報収集・提供体制のルール、自動運転車優先レーンの効果、自律走行を支援する路面標示などを総合的に議論する。
第1回会合では、「高速道路におけるインフラ支援」「一般道におけるインフラ支援」「今後の進め方」などが議題に上がった。3省は今後、検討会での議論を通じて産学官連携を強化し、自動運転の社会実装を加速させる方針だ。
具体的な「RoAD to the L4」の取り組み事例として、まず「福井県永平寺町」を掲げている。鉄道廃線跡地を自動運転車両の走路として活用し、電磁誘導線を用いた小型カートを導入。1人の遠隔監視・操作者が3台を運行可能なレベル3の自動運行装置を国内で初めて認可取得した。21年3月から無人自動運転移動サービス事業を運行している。
次に「茨城県ひたちBRT」では、鉄道跡地をバス専用道路として整備し、一般車両や自転車が混在しない空間を構築した。時間帯に応じたダイヤ構成で通勤・通学や地域住民の利用を促進。3つ目は「第二東名高速道路」。東京~名古屋間の接続する高速道路で、従来の東名高速道路に並行して、6車線化(片道3車線)の整備を進めているほか、路車間通信(V2I)実証実験を予定。
4つ目は「千葉県柏の葉」で、東京大学、がん研究センターなど拠点施設が存在する再開発リアに「柏の葉スマートシティコンソーシアム」として、地域の移動需要をさまざまなデータから把握・予測することで、MaaS展開を視野に情報基盤を構築している。
自動運転インフラ整備の背景には、人口減少や高齢化に伴う物流や地域公共交通の担い手不足という、解決が急がれる社会課題がある。特にトラック、バス、タクシーなどの自動車運転業務は、全産業平均と比較して賃金水準が低く有効求人倍率が高い水準で推移し、深刻な人手不足が構造的な問題となっている。
また、働き方改革関連法による労働時間規制が加わる「2024年問題」の影響は大きく、トラック輸送能力は24年度に約14%(4億トン相当)、30年度には約34%(9億トン相当)不足する可能性が懸念される。地方の路線バスや地域鉄道は長期的な利用者減で多くの事業者が赤字経営に陥り、安定的なサービス提供の維持が困難な現状だ。
課題の解決策として、自動運転の早期実装が期待され、「デジタル田園都市国家構想総合戦略」などで具体的な目標を掲げた。目標では、一般道での遠隔監視のみによるレベル4無人自動運転移動サービスを、2025年度をめどに50カ所、27年度までに100カ所以上で実現し、高速道路でのレベル4自動運転トラックを25年度以降に実現することを目指す。
23年4月の改正道路交通法施行で特定自動運行の許可制度が創設された。
同年5月には福井県永平寺町で国内初のレベル4サービスが事業運行を開始。全国16カ所(24年5月時点)で通年運行事業が実施されるなど、取り組みは着実に進展している。
この実現を支えるのが、産学官連携プロジェクト「RoAD to the L4」で、高速道路でのトラック自動運転については豊田通商を幹事会社とし、事業化検討ワーキンググループには佐川急便、西濃運輸、福山通運、日本通運、日本郵便、ヤマト運輸の物流大手6社と、みずほリサーチ&テクノロジーズが参加。車両開発ワーキンググループには、いすゞ自動車、日野自動車、三菱ふそう、UDトラックスの大型車メーカー4社に加え、三菱電機や日本工営なども参画し、技術開発を推進している。しかし、自動運転のさらなる拡大には、車両単体の性能だけでは限界があり、道路インフラからの支援が不可欠だ。
事業者へのヒアリングでは、一般道は「交差点」、高速道路が「分合流部」でインフラ支援を求める声が最も多く、信号情報や周辺車両・歩行者の位置・速度といった動的な情報提供の必要性が指摘されている。
道路工事や悪天候、緊急車両の通行の一時的な状況変化への対応も大きな課題。今回設置された検討会は、こうしたニーズに応えるため、路車協調システム、情報通信インフラ、道路交通情報、走行空間、道路・交通管理、インフラ展開方針の6項目を主要な検討事項とする。
合流支援や交差点センサーの技術基準、遠隔監視などユースケースに応じた通信インフラの在り方、路側カメラや車両データを活用した情報収集・提供体制のルール、自動運転車優先レーンの効果、自律走行を支援する路面標示などを総合的に議論する。
第1回会合では、「高速道路におけるインフラ支援」「一般道におけるインフラ支援」「今後の進め方」などが議題に上がった。3省は今後、検討会での議論を通じて産学官連携を強化し、自動運転の社会実装を加速させる方針だ。
具体的な「RoAD to the L4」の取り組み事例として、まず「福井県永平寺町」を掲げている。鉄道廃線跡地を自動運転車両の走路として活用し、電磁誘導線を用いた小型カートを導入。1人の遠隔監視・操作者が3台を運行可能なレベル3の自動運行装置を国内で初めて認可取得した。21年3月から無人自動運転移動サービス事業を運行している。
次に「茨城県ひたちBRT」では、鉄道跡地をバス専用道路として整備し、一般車両や自転車が混在しない空間を構築した。時間帯に応じたダイヤ構成で通勤・通学や地域住民の利用を促進。3つ目は「第二東名高速道路」。東京~名古屋間の接続する高速道路で、従来の東名高速道路に並行して、6車線化(片道3車線)の整備を進めているほか、路車間通信(V2I)実証実験を予定。
4つ目は「千葉県柏の葉」で、東京大学、がん研究センターなど拠点施設が存在する再開発リアに「柏の葉スマートシティコンソーシアム」として、地域の移動需要をさまざまなデータから把握・予測することで、MaaS展開を視野に情報基盤を構築している。