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不動産流通会社、25年度上半期売買仲介実績/最高業績更新相次ぐ/取扱高、収入は続伸/本紙調査

不動産流通会社、25年度上半期売買仲介実績/最高業績更新相次ぐ/取扱高、収入は続伸/本紙調査

  • 2025.11.26
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 本紙アンケート調査による主要不動産流通会社の25年度上半期(25年4月~9月)の売買仲介実績がまとまった。土地代・建築費のコスト圧力で高騰する新築分譲マンションや戸建て価格に引っ張られるように上昇する中古価格。住宅ローン金利の上昇傾向や、収まらない物価高で実質賃金の低下が家計を圧迫し続け、実需層には厳しい状況が続いた。一方で、円安や低金利、さらに国際比較での割安感などを背景に投資家層や富裕層、さらに買取再販を行う不動産事業者の動きは活発だった。それを反映するように、大手を中心に業績を続伸させた企業が相次いだほか、取引件数は減少したものの取引単価の上昇でカバーし、増収を確保した企業も目立った。減速気味だった一般実需層を主力とする企業との業績格差も広がった。

 アンケートに回答してもらった24社・グループの実績概況を見ると、取扱高で前年同期実績比増加としたのは15社で、減少8社、未回答1社。取扱件数では増加が10社、減少が14社。手数料収入では増加17社に対し、減少は7社だった。全体的には取扱高と手数料収入の項目で増加企業が減少企業を上回ったが、取扱件数の項目では減少企業の方が多く、平均取扱価格(取引単価)の上昇に伴う増収が、件数の減少分をカバーした格好となった。
 本紙は取扱高による順位ランキングを採用している。23年度上半期でトップとなった東急リバブルは、24年度上半期で三井不動産リアルティグループにトップを譲ったが、今上半期は1兆1908億円(前年同期比13・1%増)と三井を964億円上回ってトップに復活した。取扱件数は1万6603件(同2・9%増)、手数料収入は511億円(同8・6%増)と最高実績を更新した。取扱件数は三井に836件及ばなかったが、手数料収入でもトップの座を確保した。
 三井不動産リアルティグループは取扱高1兆944億円(同0・7%増)で2位となったが、手数料収入510億円(同6・4%増)とともに前年を上回って過去最高。取扱件数は1万7439件(同8・8%減)と減少したものの、業界トップの座を守った。
 3位には取扱高7213億円(同16・4%増)の野村不動産ソリューションズが、4位の住友不動産ステップの同7154億円(同1・4%増)を追い抜いて躍進した。取扱件数、手数料収入では住友不動産ステップがともに3位をキープしたが、法人・事業用物件に強みを持つ野村が平均取扱価格(取扱単価)の上昇もあって浮上した。
 5位から10位は、三井住友トラスト不動産(取扱高3585億円)、みずほ不動産販売(同2862億円)、三菱地所グループ(三菱地所リアルエステートサービス+三菱地所ハウスネットの合算値、同2760億円)、三菱UFJ不動産販売(同2296億円)、オープンハウスグループ(同2052億円)、積水ハウスグループ(同1326億円)の順。11位以下は東京建物不動産販売(同1260億円)、住友林業ホームサービス(同1182億円)、スターツグループ(同991億円)、中央日土地ソリューションズ(同919億円)、大京穴吹不動産(同914億円)が続いた。

取扱単価上昇が寄与
 25年度上半期の業績について、各社の見方は次の通り。東急リバブルは「リテール売買仲介部門は成約件数、収入とも前年から伸長。情報連携強化によって生産性が向上し、全体の実績につながった。ホール取引では、ファンド・不動産業者を問わず活況だった。売買価格10億円以上の条件での成約件数、手数料実績も前年より伸長したことが好業績に寄与した」と分析。
 三井不動産リアルティグループは「取扱高、総売上高が前年を上回り過去最高」となった。
 野村不動産ソリューションズはリテール、ミドル、ホールセールの状況を分析した後、「全体を通して、好調な都心エリアのマーケットや富裕層の不動産投資・節税・資産組み換えニーズの拡大を背景に、取扱単価の上昇が実績に寄与した」とふり返った。
 住友不動産ステップは「仲介件数が前年と比べて減少したが、ステップオークションの浸透などによって取引単価が上昇したことに加え、都心部店舗への集約・統合に伴う人的資本の再配置などによる業務効率化の取り組みで、増収増益を確保した。年度計画に対する進ちょく率は51%と、期初計画通り」とした。
 みずほ不動産販売は「成約件数は微減ながら、単価上昇によって上期としては過去最高実績。事業法人取引による売り上げが約2割増とけん引した。業績好調企業による拠点買い増し、福利厚生施設購入などが見られた。個人は相続関連での売却、購入が依然として高水準にあるが、マスリテールの動きは弱含みで注視が必要」と課題も指摘した。
 法人取引の三菱地所リアルエステートサービスは市況の特徴を次のようにとらえた。「ファンドより転売目的のプロ取引が多かった。全国的に見ると、東京に限らず、地方都市、特に関西、九州エリアの取引が好調。マーケットは前年度に引き続き、金利上昇懸念や建築費高騰の状況下でも継続して好調を維持。デベロッパー・不動産会社、プロ投資家の購入・投資姿勢は『ホテル・レジデンス』ともに強気」と分析した。
 個人住宅仲介が中心の三菱地所ハウスネットは「取扱高・件数は前年よりやや増加したが、手数料率が上昇して手数料単価が増加。都内の都心・城南・城西エリアや京都が特に好調、その他エリアもおおむね堅調だった。エンドユーザーの購入件数は前年と大きな変化はないが、宅建業者の購入意欲が区分・土地建物ともおう盛で、結果的に両手取引が増加して増収に寄与した」と説明した。
 中央日土地ソリューションズは「今期の実績は、取引件数の増加に加え、大型案件の取引が成約したことで手数料収入が前年同期比86%増となった」という。

郊外、低価格帯の動きも堅調
 住友林業ホームサービスは「首都圏の都心部は価格上昇が継続し、契約件数は減少傾向にある。首都圏以外のエリアは、価格は前年並みか若干下回る月があり、契約件数は前年比で増加した。地方では、割安感のある中古戸建て住宅の取引が好調」。近鉄不動産は「価格の上昇傾向、高額取引が増えたことで順調に手数料収入を積み上げできた」。福屋不動産販売は「営業活動の活発化や取引単価の維持・上昇が業績につながった」と説明した。
 小田急不動産は「エンドユーザーの買い成約は安定した需要が続き、前年と比較して成約件数は増加した。郊外エリアを中心に低価格帯物件の動きも多く、前年度より平均価格が低下している」と郊外エリアの動きを指摘した。

【表の見方】 取扱高順のランキング。取扱件数は両手仲介・片手仲介ともに1件としてカウント。下段は前年同期比の増減率%となり、手数料率の増減はポイント、▲は減少。手数料収入は原則売買仲介とするが、東急リバブル、三井不動産リアルティグループ、住友不動産ステップの手数料収入は賃貸仲介・賃貸管理とそれら関連収益を含むため平均手数料率を算出していない。三菱地所グループは三菱地所リアルエステートサービスと三菱地所ハウスネットの合計。東京建物不動産販売、住友林業ホームサービスは決算期に合わせ25年1~6月実績、積水ハウスグループは25年2月~7月実績で集計。
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