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明海大学不動産学部 不動産の話題[104]/学生と教員の見方

  • 2026.02.24
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環境にやさしいまちづくり(4)/日本で考える「15分都市構想」/富山と福岡から学ぶ
【学生の見方&考え方】

(3年 佐藤佳介)
 不動産の授業で15分都市構想という単語を耳にした。
 15分都市構想とはフランスの都市計画学者・ソルボンヌ大学教授のカルロス・モレノ(Carlos Moreno)氏が考えた構想で、基本のコンセプトは、住む場所から徒歩で15分圏内に「働く・暮らす・学ぶ・遊ぶ」がそろう街を作ろうというものである。15分圏内で生活に必要な施設が整うことで、自動車の利用が軽減され、環境にも負荷がかからない。彼が提唱して数年後にコロナウイルスが世界的に大流行し生活圏のコンパクト化が世界で再評価される中で、より話題になった。日本でもこのような理念に基づいた都市がいくつかあると知り、15分都市構想が日本でどのような面で有効なのかについて事例を調べることにした。
 1つ目は富山県富山市である。富山市は全国に先駆けて「コンパクトシティ・富山」構想を掲げ、公共交通を軸とした都市づくりを進めてきた。その中核を担うのが、2006年に全国で初めて開業した「富山ライトレール」である。足の悪い高齢者は15分都市であっても歩くのが困難だが、ライトレールのおかげで安心して暮らせる。
 北陸地域づくり協会のデータによれば、高齢者のおよそ60%がライトレールを使っているという。このライトレールを中心に公共交通の沿線に都市機能を集約し、徒歩や自転車、公共交通で日常生活が完結する15分圏内の生活環境を実現させているのだ。
 さらに元々あった地区センターやまちなか広場を整備し近隣住民が気軽に集まれる場所を増やし地域のつながりを強化している。このような政策はOECDや世界の都市からも評価されているようである。
 2つ目は福岡県福岡市である。福岡市の交通ネットワークは、都心部を中心に放射状および環状に整備されている。市内バスや地下鉄などの公共交通が充実しており各拠点間の移動が円滑に行えることに加え、歩行者と自動車の距離が離れているので、徒歩移動の安全性も確保されている。これによって車に依存しない環境が整備されている。
 以上の事例から、日本でも15分都市構想に近いまちづくりが行われていることが分かり、環境負荷の軽減だけでなく、日本の都市で課題とされる高齢化への対応としても有効ではないかと考えた。

【教員による展開】
(西村愛准教授)

 パリ市での15分都市構想の実現は、複数のプロジェクトによって支えられている。その1つが、安全な歩行環境を整備しウォーカブルな空間形成を実現するというものである。従前は車の交通量が多かったパリ市で、現在は小学校や幼稚園前の道路が歩行者専用道路となり、併せて植樹や花壇の整備が進められた。これは歩行の安全性の確保、徒歩移動による健康増進の効果に加えて、車利用から他の交通手段への移行によるCO2排出削減、緑化によるCO2の吸収による大気質の改善、ヒートアイランドの軽減など社会面から環境面まで多様な効果を企図している。
 先の日本の事例においても、15分都市構想に見られる生活機能の集約化や公共交通網の整備は環境面での効果のみならず、高齢者の移動・生活利便性の向上といった社会面での効果をもたらすことに期待が寄せられており、コベネフィットを生み出すような都市整備の推進が求められていることを示唆しているといえよう。

【学生のアピールポイント】
 音楽を聴くことが趣味で、特にEDMやハウスミュージックなどを聴きます。アウトドアも好きで釣りやグランピングに友達といったりします。
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