不動産鑑定士吉野荘平が説く―141―重説の書き方・説明のポイント
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2026.04.13
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所有権に係る権利に関する事項/登記記録の確認には注意を
今回は、所有権に係かかわる権利に関する事項について解説していく。
所有権に係る権利に関する事項欄について、ポイントは次の通りとなる。
この欄に記載するのは、甲区欄にある差押登記や仮登記、買い戻し特約の登記などの情報である。これらの登記がついたまま売買をしても、所有権を取得できない場合があるので、登記記録の確認にあたっては注意が必要である。何も設定されていない場合でも、斜線で当該欄を消すか、設定がない旨を記載する。
(1)仮登記がある場合
不動産取引の紛争でよく見かけるのは、相続人の間で争いがある場合などに処分禁止の仮処分の登記がつけられているケースである。処分禁止の仮処分があっても売買自体は可能であるが(最高裁判例昭和45年9月8日)、後に所有権移転登記の効力が否定され、登記官の職権によって抹消されてしまう可能があるので、取引を進めるべきではない。
その他にも条件付き所有権移転仮登記を付けた者が本登記をせずに死亡し、その後相続人複数の協力が即座に得られず、所有権移転登記が遅くなったというケースもあった。今ではほとんど見かけない条件付き所有権移転仮登記だが、かなり昔に設定された登記がそのままの状態になっているケースもある。
いずれにしろ、甲区欄に仮登記があるときはできるだけ取引を避けるようにしよう。
(2)差押登記がある場合
差し押さえの原因には(1)任意競売に基づく差押え、(2)強制競売に基づく差押え、(3)公売手続きに基づく差押えの3つがあるが、ほかにも仮差押えの登記がされていることがある。
これらは、決済時までに確実に抹消できる可能性がないかぎり原則として取引の対象とすべきではないが、売買代金を使って滞納分を完済するようなケースもあると思われる。その場合、決済時には差押えをしている債権者も同席して差押えの抹消と所有権の移転登記を同時に行う手順となるので、これら一連の手順はあらかじめ重説書に記載し、買主に説明しておくべきである。
(3)買い戻し特約の登記がある場合
買い戻し特約の登記がある物件は地方公共団体や公団・公社が分譲した土地がほとんどだが、10年を上限とする買い戻し期間を設定して登記されているので、10年以上経過すれば「期間満了」により買戻権は実体法上消滅する。しかし、このような不動産を購入する場合でも、売主側で買い戻し特約の登記を抹消する必要がある。逆に、もし10年未満の物件を取引する場合は、図表2のような特約を重説書に記載しておくとよい。
次回は、所有権以外の権利に関する事項や書き方のポイントと注意点を解説していく。
今回は、所有権に係かかわる権利に関する事項について解説していく。
所有権に係る権利に関する事項欄について、ポイントは次の通りとなる。
この欄に記載するのは、甲区欄にある差押登記や仮登記、買い戻し特約の登記などの情報である。これらの登記がついたまま売買をしても、所有権を取得できない場合があるので、登記記録の確認にあたっては注意が必要である。何も設定されていない場合でも、斜線で当該欄を消すか、設定がない旨を記載する。
(1)仮登記がある場合
不動産取引の紛争でよく見かけるのは、相続人の間で争いがある場合などに処分禁止の仮処分の登記がつけられているケースである。処分禁止の仮処分があっても売買自体は可能であるが(最高裁判例昭和45年9月8日)、後に所有権移転登記の効力が否定され、登記官の職権によって抹消されてしまう可能があるので、取引を進めるべきではない。
その他にも条件付き所有権移転仮登記を付けた者が本登記をせずに死亡し、その後相続人複数の協力が即座に得られず、所有権移転登記が遅くなったというケースもあった。今ではほとんど見かけない条件付き所有権移転仮登記だが、かなり昔に設定された登記がそのままの状態になっているケースもある。
いずれにしろ、甲区欄に仮登記があるときはできるだけ取引を避けるようにしよう。
(2)差押登記がある場合
差し押さえの原因には(1)任意競売に基づく差押え、(2)強制競売に基づく差押え、(3)公売手続きに基づく差押えの3つがあるが、ほかにも仮差押えの登記がされていることがある。
これらは、決済時までに確実に抹消できる可能性がないかぎり原則として取引の対象とすべきではないが、売買代金を使って滞納分を完済するようなケースもあると思われる。その場合、決済時には差押えをしている債権者も同席して差押えの抹消と所有権の移転登記を同時に行う手順となるので、これら一連の手順はあらかじめ重説書に記載し、買主に説明しておくべきである。
(3)買い戻し特約の登記がある場合
買い戻し特約の登記がある物件は地方公共団体や公団・公社が分譲した土地がほとんどだが、10年を上限とする買い戻し期間を設定して登記されているので、10年以上経過すれば「期間満了」により買戻権は実体法上消滅する。しかし、このような不動産を購入する場合でも、売主側で買い戻し特約の登記を抹消する必要がある。逆に、もし10年未満の物件を取引する場合は、図表2のような特約を重説書に記載しておくとよい。
次回は、所有権以外の権利に関する事項や書き方のポイントと注意点を解説していく。

