お電話でもお問い合わせを受け付けています 受付時間 平日 10:00~17:30

TEL03-6721-1338

コンサルに“持続可能性”を/不動産「かかりつけ医」へ/推進センター・検討委が中間報告

コンサルに“持続可能性”を/不動産「かかりつけ医」へ/推進センター・検討委が中間報告

  • 2026.04.27
  • お気に入り
 不動産流通業が、大きな曲がり角を迎えている。人口減少に伴う空き家問題の噴出、相続に絡む複雑な権利調整など従来の「媒介(仲介)」という枠組みだけでは解決できない課題が山積していることが背景にある。こうした中、不動産流通推進センターの「良質な不動産コンサルティングの普及・定着に向けた検討委員会」(委員長、中城康彦明海大大学院不動産学研究科教授・研究科長)は、実務者が直面する課題解決を目的にコンサルティングを「持続可能なビジネス」へつなげるための中間取りまとめを公表した。

業務体系整備など始動
 同報告は、現場の「負担感」と顧客の「不信感」を解消するための具体的な報酬モデルと、リスキリング(学び直し)を提示した点が特徴だ。不動産事業者が情報の仲介役から、地域の資産価値を守る「不動産のかかりつけ医」へと脱皮できるか。同報告はそのための一歩となる。
「稼げない」現状と課題
 委員会が実施したアンケート調査によると、高度な専門知識を持つ「公認不動産コンサルティングマスター」のうち、コンサル業務を主軸としている層は13%にとどまった。一方で、86%が「空き家コンサルに積極的に取り組みたい」と回答している。
 意欲はあるが実績が伴わない。その最大の要因は「収益性の低さ」だ。実際の報酬額は50万円未満というケースが約8割を占め、業務負担に見合わないとする事業者は6割を超える。委員会は、この停滞の背景に4つの課題を指摘した。
 まず「コンサルタントに対する不信感」を掲げ、業務内容や成果物が不明瞭なため顧客が対価を支払う価値を見い出しにくいという。次に「媒介業務との不明瞭な連続性」を挙げた。「どこまでが無料の仲介相談で、どこからが有料のコンサルか」の境界が曖昧でなし崩し的に無償奉仕となっている。3つ目は「業務を手掛ける負担感」で、収益性が低い上に経験の浅い業者がノウハウを補う手段が乏しいこと。4つ目が「支援組織・団体活動の不足」。個々の事業者を育成・バックアップする体制が不十分であると説明。これらの課題に対し、報告書は「顧客第一主義の徹底」を大前提とした解決策を提示している。
業務境界の整理と報酬
 媒介業務との境界整理は、適正な報酬を得るための第一歩となる。報告書では、宅地建物取引業法による媒介業務と、専門知識に基づくコンサル業務を明確に切り分ける方針を示した。依頼者が最善の意思決定を行えるよう「企画、調整、提案」する行為そのものを価値として再定義し、実際の業務事例に基づいた類型化を進める。
 報酬算定については、従来の「コスト・アプローチ法(直接人件費+諸経費+技術料)」に加え、状況に応じて使い分けられる5つのモデルを推奨した。
 (1)「定額型」=作業量に応じて、あらかじめ一定額を設定する方法。(2)「成果連動型」=実現した収益やコスト削減額の一定割合を受領する。(3)「業務規模連動型」=労働時間に応じた単価を設定。(4)「顧問料型」=定期的な定額契約を行うサブスクリプション型。(5)「ハイブリッド型」=定額と成果連動を組み合わせ、リスクとリターンのバランスを図る。
 受領時期も、一括後払いだけでなく業務のフェーズごとに区切って受領する「フェーズ区分型」などの活用を提案。長期間にわたる案件でも事業者のキャッシュフロー改善を図ることを可能とした。
書面主義で築く信頼
 顧客の不信感を払しょくするには「書面主義」の徹底が欠かせない。事前説明の徹底、利益相反行為の禁止、成果物のひな形の提示など、プロとしての「適格性」を制度的に担保する必要がある。委員会は、マスター資格の取得と倫理規定の順守を強く推奨する。
 またコンサルティングをボランティアで終わらせないためには「案件獲得のきっかけづくり」の類型化も不可欠で、具体的な経路では「既存顧客からの相談や紹介」「一般消費者を対象としたセミナー・相談会の開催」「地域ワーキンググループ(WG)や各地の不動産コンサル協会への参画」「法定資格士や保険会社との連携」「ウェブ媒体を活用した広報活動」などを挙げた。
学習体系を再構築
 コンサルタントに求められる資質は「実務知識・経験」「コミュニケーション力」「提案力」の3つ。これらを養うため、学習体系を再構築する。
 基礎を学ぶ「入門講座」に加え、喫緊の社会課題である「空き家対応に関する講座」を新設。モデル契約書や空き家マニュアルを活用し、実務に即投入できるスキルを提供する。知識を得るだけでなく、顧客の悩みに共感し解決策を分かりやすく提示する能力の育成に主眼を置く。
まちを守る専門家
 中間取りまとめの締めくくりとして提示したのは、不動産コンサルタントを「まちを守る仕事」と位置づける視点だ。
 国土交通省が進める「不動産業による空き家対策推進プログラム」とも連動し、不動産流通推進センター(中央)と各地のコンサル協会・地域WG(地方)が役割を分担することで連携を強化する。
TOP