オフィスビル売買11年ぶり2兆円超え/取引額、前年比5割増/「所有から賃借」へシフト鮮明/都市未来総研調べ
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2026.04.27
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国内のオフィスビル売買市場が、かつてない活況を呈している。2025年に公表された売買取引額は2兆2758億円に達し、14年以来11年ぶりに2兆円の大台を突破した。コロナ禍を経てオフィス不要論もささやかれたが、ふたを開けてみれば全用途の取引に占めるオフィスの割合は金額、件数ともにコロナ前を上回る水準まで回復。不動産売買市場による「主役」の座を鮮明に印象づけている。
■価格帯問わず全面高
都市未来総合研究所の調査によると、25年の売買取引額は前年(1兆5274億円)から約7500円増加し、前年比で49・0%の大幅増となった。取引件数も131件と、3年連続で増加。24年に見られた「高価格帯は好調、低価格帯は停滞」という二極化が解消され、全価格帯で前年を上回った。特に500億円以上の超大型物件の取引額は9598億円(前年比86・2%増)と伸び、2000年以降で最高を記録。外資系法人による「汐留シティセンター」の推定1300億円に上る取引などが全体を押し上げた。
■供給源は一般事業法人
売買の構図を詳しく見ると、これまでの市場とは異なり主役は「一般事業法人」。非不動産セクターから不動産セクターへの売却が顕著で、なかでも賃貸不動産の売却件数は76件と、底だった23年から急増している。
背景にあるのは、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営」への要請だ。いわゆるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ改善に向けた圧力が高まる中、上場企業を中心に「本業に関係のない不動産は持たない」というアセットライト経営へのシフトが加速した。保有する賃貸ビルを売却して資産を圧縮し、得た資金をDXやM&A(合併・買収)などの成長投資、あるいは自社株買いなどの株主還元に充てる動きが定着してきた。
■本社ビル売却35件
自社で利用する「本社ビル」の売却も35件(同25%増)と高水準だ。これには大きく2つの流れがある。1つは、働き方の多様化や人員増に伴う「前向きな移転」。老朽化した自社ビルを売却し、コミュニケーション活性化を目的に最新の賃貸オフィスへ移るケースが目立つ。もう1つは「セール・アンド・リースバック」の活用。自社ビルを売却して資金を確保しつつ、そのまま賃借人として入居し続ける手法である。27年度から適用される新リース会計基準によって、賃借であっても資産・負債として計上されるようになるため、財務指標の改善効果は限定的になるとみられる。それでも、不動産保有に伴う管理の手間や経年劣化、災害リスクから解放されるメリットは大きく、資金調達の手段として依然として有力視されている。
■私募リートが存在感
一方、買い手側ではJリートが物件の「入れ替え」を活発化。築古物件をスポンサーなどに売却して利益を確保しつつ、ポートフォリオの質を高めている。対照的に、存在感を高めているのが私募リートや私募ファンドだ。特に鉄道会社や生命保険会社が、自社で開発・保有していた物件を系列の私募ファンドへ供給する「回転型ビジネス」が目立った。開発利益を早期に確定し、次の再開発へ資金を回す循環がオフィス市場の流動性を下支えしている。
国内企業が「不動産を所有することが正義」とされた昭和・平成の価値観から脱却し、経営戦略の一部として不動産を最適化し始めた裏付けといえる。「物件の媒介」を狙うだけでなく、企業の財務・経営戦略に踏み込んだ提案が不可欠だ。オフィス賃貸市場の需給がタイトな今、所有から賃借へのシフトを支援するには、移転先の確保や売却後の資金活用までをトータルで支えるコンサルティング能力が求められていく。
■価格帯問わず全面高
都市未来総合研究所の調査によると、25年の売買取引額は前年(1兆5274億円)から約7500円増加し、前年比で49・0%の大幅増となった。取引件数も131件と、3年連続で増加。24年に見られた「高価格帯は好調、低価格帯は停滞」という二極化が解消され、全価格帯で前年を上回った。特に500億円以上の超大型物件の取引額は9598億円(前年比86・2%増)と伸び、2000年以降で最高を記録。外資系法人による「汐留シティセンター」の推定1300億円に上る取引などが全体を押し上げた。
■供給源は一般事業法人
売買の構図を詳しく見ると、これまでの市場とは異なり主役は「一般事業法人」。非不動産セクターから不動産セクターへの売却が顕著で、なかでも賃貸不動産の売却件数は76件と、底だった23年から急増している。
背景にあるのは、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営」への要請だ。いわゆるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ改善に向けた圧力が高まる中、上場企業を中心に「本業に関係のない不動産は持たない」というアセットライト経営へのシフトが加速した。保有する賃貸ビルを売却して資産を圧縮し、得た資金をDXやM&A(合併・買収)などの成長投資、あるいは自社株買いなどの株主還元に充てる動きが定着してきた。
■本社ビル売却35件
自社で利用する「本社ビル」の売却も35件(同25%増)と高水準だ。これには大きく2つの流れがある。1つは、働き方の多様化や人員増に伴う「前向きな移転」。老朽化した自社ビルを売却し、コミュニケーション活性化を目的に最新の賃貸オフィスへ移るケースが目立つ。もう1つは「セール・アンド・リースバック」の活用。自社ビルを売却して資金を確保しつつ、そのまま賃借人として入居し続ける手法である。27年度から適用される新リース会計基準によって、賃借であっても資産・負債として計上されるようになるため、財務指標の改善効果は限定的になるとみられる。それでも、不動産保有に伴う管理の手間や経年劣化、災害リスクから解放されるメリットは大きく、資金調達の手段として依然として有力視されている。
■私募リートが存在感
一方、買い手側ではJリートが物件の「入れ替え」を活発化。築古物件をスポンサーなどに売却して利益を確保しつつ、ポートフォリオの質を高めている。対照的に、存在感を高めているのが私募リートや私募ファンドだ。特に鉄道会社や生命保険会社が、自社で開発・保有していた物件を系列の私募ファンドへ供給する「回転型ビジネス」が目立った。開発利益を早期に確定し、次の再開発へ資金を回す循環がオフィス市場の流動性を下支えしている。
国内企業が「不動産を所有することが正義」とされた昭和・平成の価値観から脱却し、経営戦略の一部として不動産を最適化し始めた裏付けといえる。「物件の媒介」を狙うだけでなく、企業の財務・経営戦略に踏み込んだ提案が不可欠だ。オフィス賃貸市場の需給がタイトな今、所有から賃借へのシフトを支援するには、移転先の確保や売却後の資金活用までをトータルで支えるコンサルティング能力が求められていく。

