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職権による住所変更登記 「意思確認」義務付け/法務省、登記規則改正

  • 2026.06.08
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 法務省は、今年4月1日に施行した「住所等変更登記の申請義務化」に伴い、自然人の負担軽減策として創設した「登記官の職権による住所等変更登記」の運用体制を公表している。引っ越しなどで住所が変わった際、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を通じて変更情報を取得し、登記を職権で書き換える仕組みだ。この職権登記が「全自動」ではなく、必ず名義人本人への「意思確認」と「了解」を挟むステップが義務付けられた点が特徴。ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者等の安全確保、個人情報(プライバシー)保護に対する配慮がある。不動産売買や分譲後のアフターフォロー、賃貸管理に携わる不動産実務者にとっても、顧客への正確な案内を行う上で重要となる。

全自動化は見送り/DV被害者保護、プライバシーに配慮
 不動産登記簿は、手数料を支払えば「誰でも、いつでも」閲覧できるという「公示」の原則によって成り立っている。取引の安全が担保される一方、個人情報の観点からは常にリスクをはらむ。特に、DVやストーカー、児童虐待などの被害にあい、加害者から逃れて新生活を送っている者にとっては、最新の住所が公にされることは命の危険に直結しかねない。
 現行の「住民基本台帳制度」では、これら最新の住所を公示することに支障がある者を保護するため、加害者や第三者による住民票の閲覧事由を厳しく制限する支援措置が講じられている。もし法務局が住基ネットの変更情報に連動して全自動で登記簿の住所を書き換えてしまうと、この住民基本台帳制度の保護措置が意味をなさなくなってしまう。誰でも見られる不動産登記簿を通じて、隠していた新居の住所が加害者に知られてしまうことにつながっていく。 
 こうしたプライバシー侵害や生命への脅威を防ぐため、新設された職権登記のプロセスでは、住民基本台帳制度の趣旨を踏まえた厳格なセーフティネットが敷かれた。具体的には、まず「事前手続(検索用情報の申出)」。25年4月21日以降に新たに所有権を得た者、または既存の所有者が氏名・住所・生年月日・メールアドレスなどの「検索用情報」を法務局に申し出る。次に「システムの照会」。法務局側が、メールアドレスを除く検索用情報を用いて定期的に住基ネットへ照会をかける。
 3つ目は「変更の検知」。名義人が役所に住所変更を届け出た場合、その情報が法務局に提供される。4つ目に「意思確認の実施」がある。変更情報を取得した登記官は、即座に登記を書き換えるのではなく、事前に登録されたメールアドレス宛てに「職権で変更登記をしてもよいか」の確認連絡を行う。そして、5つ目で「了解と実行」となる。所有権の登記名義人本人から「了解」を得たときに初めて、登記官が職権的に変更登記を実行する。 
 本人が「最新の住所を知られたくない」として変更を拒否した場合は、職権による書き換えは行われない。この本人確認と了解のプロセスを徹底することで、公示の必要性と個人の安全・プライバシー保護という相反する課題を高度に両立させている。 
 一般の多くの不動産オーナーにとって、この職権登記は非常に利便性の高い制度。26年4月以降は、住所変更から2年以内に登記を申請しなければ「10万円以下の過料」の対象となるが、法務局から届く意思確認メールに対して「了解」の旨を返信するだけで、自ら法務局へ申請書や住民票を提出することなく、住所等変更登記の義務は「履行済み」となる。 
 実務上、氏名・ローマ字氏名・住属性以外(生年月日や電子メールアドレスなど)は登記簿上に公示されないため、一般の顧客には「プライバシーを担保した上で、手続きを大幅に簡素化できるシステム」として説明するのが適切だろう。
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