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新社長に聞く/東急不動産田中辰明氏/より競争力ある案件を

新社長に聞く/東急不動産田中辰明氏/より競争力ある案件を

  • 2026.07.27
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 東急不動産ホールディングスグループの中核事業会社、東急不動産の社長に4月1日付で就任した田中辰明氏。専門紙記者と共同会見し、今後の経営方針や事業展開などの考え方を示した。数年来続く建築費の高騰や金利上昇局面に、中東情勢も加わって、不動産開発などの事業環境は大きく変化し、先行きには不透明感が漂ったままだ。田中社長は、変化を見極めた上で、事業判断を行い、再開発事業などでは「より商品力があり、より競争力の高い案件に取り組んでいく」と話した。住宅の商品力を高める鍵は、顧客満足度と直結する管理など「ソフト面」にあることも強調した。(柄澤 浩)
■「現状維持は衰退」
 社長就任時、社員に呼びかけたことは「東急不動産ホールディングスの長期ビジョン達成に向けて、事業会社としてしっかりやっていこう」ということ。中期経営計画を策定した2年前とは事業環境が変わったので、ここは引き締めてかかろうというもの。
 仕事上で心がけていることは「現状維持は衰退なり」。リゾート・ホテルの運営事業を長く担当して、苦労しながら得たもの。同じことを続けていると顧客の評価が下がる。驚きや期待を超えるサービスがないと来てもらえないことを実感した。それはデフレ社会からインフレ社会になるとより顕著になった。「常に進化しないと価値は下がる」ということだ。
■事業環境変化と対応
 建築費の高騰は数年前から継続し、「金利のある世界」も本格化してきた。そうした変化や、起こっていることをしっかり認識したうえで、事業の意思決定や判断を行っていく。住宅では価格の上昇に伴い商品による格差がはっきりしてきた。「より競争力の高い案件」に取り組んでいくことが何よりも大事だ。
 金利の影響では住宅顧客の動向を注視しているが、足元に大きな変動は出ていない。各物件とも好調に推移しているし、子育て世代を中心に需給が崩れる兆候は出ていない。需要が減退することもないだろう。競争力に優位性のある物件をしっかり供給していくこと、事業スケジュールのリスクを見極めながら着実に進めていくことだ。建築費高騰などで、現在ストップした案件はないが、建築費の動きなどコストをしっかり見込みながら、各物件の事業性を判断していきたい。
■環境先進プラス 
 「より競争力の高い案件」とは、住宅ではまず利便性。当社の場合、商品力としてこれまで「環境先進マンション」と言っていたが、それに「未来資産」を加えた。マンションはハードも大事だか、住む人たちの満足が得られる物件にするには、管理の部分が重要だ。いろんな形で管理しやすいマンションをつくることが将来的なコストの低減や、修繕のしやすさにもつながる。用地取得段階を含めて、東急コミュニティーとの連携を図り、ソフト面でも商品競争力を強めていきたい。
 マンション供給は「量」より、競争力の高い「質」を重視し、年間計上戸数は1200~1500戸を目安として展開する。競争力・商品力を高めるため、再開発事業に注力して物件供給に取り組む。住宅事業は分譲と賃貸が半々だが、賃貸ではペット共生マンションや防音マンションなど多様化したニーズに対応した住宅を供給していく。
■オフィスビルと再開発
 オフィスビルの需要は今、非常に高まっている。再開発という手法で、しっかり供給していきたい。再開発事業は現在、渋谷、新宿など多くのエリアで取り組んでいる。これとは別に、大型物件ではないが、広域渋谷圏で再生建築・既存ストックの活用も併用して進めている。まだ2物件だが、建築費高騰対策や環境対策にもつながる手法だ。
 再開発事業は通常、いろいろなコスト上昇を見込みながら、十分吸収できるとの判断で推進していくものだ。当社が参画・推進する再開発事業でのコスト上昇圧力は想定の範囲内にあり、各事業とも計画通り進めている。もともと再開発という事業形態は非常に長いスパンの中で行うもので、地域の人々、地権者、行政などの思いが集約されて具体化していく。「事業の目的」が最も大事で、こちらも競争力のある事業は進んでいくが、そうでないものは従来と同様に、見直しなどが行われていくだろう。

 たなか たつあき=1990年東急不動産入社。初任はリゾート・ホテル事業部門で、開発、運営、販売の現場を22年ほど経験。その後、経営企画と住宅事業を担当した。2017年執行役員、取締役常務執行役員、同専務執行役員を経て、この4月から代表取締役社長。東急不動産ホールディングス(株)の取締役執行役員も兼務。慶応大卒。東京都中野区出身、59歳。趣味は学生時代からのゴルフと「お城巡り」「古戦場巡り」。
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