暑中特集 構造転換と事業戦略/木造を主力事業へ、グループ連携で相乗効果を/長谷工ホームHD・野村孝一郎社長と細田工務店・川﨑修宏社長に聞く
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2026.08.05
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長谷工ホームホールディングス(東京都杉並区、野村孝一郎社長)は、2026年4月に新設され、長谷工グループ内の木造事業の中核会社として始動した。木造建築へ本格進出する狙いや、傘下の長谷工ホーム(同)と細田工務店(東京都杉並区、川﨑修宏社長)、ウッドフレンズ(名古屋市中区、伊藤嘉浩社長)とのシナジーや、今後の経営展望などについて、長谷工ホームホールディングスの野村孝一郎社長と細田工務店の川﨑修宏社長に聞いた。
■長谷工ホームHD・野村孝一郎社長の抱負
4月に新設された長谷工ホームホールディングスは、傘下各社の戸建て分譲事業を集約。木造デベロッパーとして全国主要都市を中心に展開する長谷工ホーム、設計・施工の受注を担う木造ゼネコンとしての細田工務店とウッドフレンズの3社を包括する、長谷工グループの中間持株会社である。
各社が個別に蓄積してきた知見、ノウハウ、ネットワークを共有し、グループシナジーを最大化することで、RC造マンションの圧倒的な実績を持つ長谷工グループが木造事業へ本格進出を目指す。
野村孝一郎氏は代表取締役社長としての決意について、「長谷工コーポレーションの高度な技術開発力をバックに、RC造と木造を融合させたハイブリッドマンション、大型集合住宅での居住者共用棟、高遮音木造賃貸住宅など、戸建ての枠に留まらない新たな木造建築市場を開拓する。環境問題の観点から、木造建築は『CO2の貯蔵庫』としての役割も担うため、脱炭素社会の実現に貢献しつつ、長谷工グループの新たな成長エンジンとして木造事業を主力領域へと拡大していく」と語る。
■細田工務店・川﨑修宏社長の抱負
細田工務店の代表取締役社長に就任してから4カ月が経過した川﨑社長は、「あっという間に過ぎ去ったという実感を強く抱いている」と振り返る。同社は来年1月に創業80周年という節目を迎える。この80年の歴史は、決して派手な営業パフォーマンスや華美な広告展開によって築かれたものではなく、一にも二にも、愚直なまでの「技術力」と「真面目さ」という気質によって支えられてきたものである。
川﨑社長は抱負として、「前社長の野村社長(現ホールディングス社長)が整備した『郊外から都心へのシフト』や『木造メニューの多様化』という明確な方向性を引き継ぎ、具現化すること」を掲げる。その上で、「高品質」と伝統的な気質である「真面目さ」を確実に伝承しながらも、利益がなければ会社は存続できないという意識改革を徹底し、それに見合う適正な価格で勝負できる強い組織づくりを確実に進めると述べた。
■細田工務店を黒字体質へ進化/2つの改革「意識」「収益構造」
長谷工コーポレーションが20年に細田工務店をM&Aし、22年に野村社長が社長に就任して取り組んだのが、これまでの赤字構造を一掃するための「意識改革」と「収益構造の抜本的改革」である。
まず、「身内の誇り」を取り戻す意識改革を行った。具体的には、野村社長が就任した当時、細田工務店は長年の業績低迷によって社内に閉塞感が漂い社員が自信を失いかけている状況にあった。
一方で、野村社長がモデルハウスや施工現場を実際に視察した際、現場には接着剤の臭いすらなく木の香りが広がり、隅々まで綺麗に仕上げられているという「圧倒的な品質の高さ」を肌で実感したという。
自社の職人気質なクオリティや引き渡し後のクレームの少なさが「業界最高レベルである」という事実をデータや現場検証を通して社員に伝えるとともに「自分たちの仕事に対する自信と誇り」を社内に取り戻させた。この意識改革が、その後の黒字化へ向かう強い原動力となった。
次に、「質の良い顧客・採算の合う取引」へ大きく舵切りを行った。かつての細田工務店は、取引先との関係性、また、下請け会社の仕事を切らさないために、採算の合わない受注であっても断らずに継続していた。新体制ではこの構造を見直し、「ビジネスとして適切な対価を支払ってくれる、質の良い顧客・デベロッパーと取引をする」方針へ転換した。
例えばウッドショックの際にも適正な価格転嫁・商品性向上を認めてくれるパートナー企業へと取引先を絞り込んだ結果、取引先は半減したものの利益率の引き上げにつながった。従来の慣行に起因する不採算取引を見直し、品質・サービスに対する適正な利益確保を重視することで、1棟・1案件あたりの利益率向上を徹底。低利益水準で推移していた法人受注の粗利益率を、人件費などをまかなえる充分な利益水準へと引き上げた。この価値重視の構造改革と、折からの在宅ワーク需要による戸建て・広い住まいへの追い風が噛み合い、社長就任からわずか1年目で黒字体質を定着させた。
新卒採用者数も増加傾向にあり、直近3年間の定着率は95・5%を維持。安定した事業運営と堅実な経営基盤をうかがわせる。
■木造建築の「BtoB」戦略
長谷工ホームホールディングスは、長谷工コーポレーションの土地仕入れ力、プラットフォーム、最先端の技術開発力を基に実績ある木造ハウスメーカー・ビルダー各社の強みを融合させる。
中核施工部隊である細田工務店は、プロが認める卓越した木造設計・施工技術と、プロパー社員や職人に受け継がれる施工品質を強みとしている。
新たに傘下入りしたウッドフレンズもデベロッパー機能を備えており、4月にはその戸建て分譲事業を長谷工ホームへ移管した。現在は、細田工務店が持つ施工精度や顧客満足度のノウハウをウッドフレンズへも波及させ、同社の施工レベルの底上げを図っている。
今後、これら各社の経営資源やネットワーク、設計や施工管理のノウハウを共有し、一般向け(BtoC)のほか、職人不足に悩む他社デベロッパーからの請負といった法人向け(BtoB)ビジネスを強化する予定だ。伝統の職人技に長谷工コーポレーションのデジタル技術や教育インフラを掛け合わせ「次世代の木造ゼネコン」の確立を目指している。
脱炭素社会の実現や環境配慮へのニーズを受け、中大規模木造建築や高齢者施設・商業施設をはじめとする非住宅分野の受注が急速に拡大している。市場展開のために強力な武器となるのが、RC造と木造の混構造を実現する「ハイブリッド構造」などの高度な構造解析・技術力である。長谷工グループの総合力を背景に、物件の規模や用途に応じて、最適な木造ソリューションを柔軟に提供し、これまでの戸建て住宅のほか新たなBtoB領域を開拓している。
さらに、投資向けの木造集合住宅開発にも力を入れる。都心の駅近の立地で、エレベータを設置し遮音性能が高い、RC造に代わる木造賃貸住宅を一つの柱とする。面積制限や耐火構造規制、多層化に伴う構造コストの大幅な増加などが課題となっているが、川﨑社長は「これらの制限の中で、コストパフォーマンスのよい建築実績を確実に増やし、将来的には面積制限と耐火構造規制の2つの大きな壁を技術革新によって突破することを目指したい」と語る。1棟当たり20~30億円規模の大型案件を目標とし、木造ゼネコンとして、市場でのシェア確立を視野に入れている。
■長谷工ホームHD・野村孝一郎社長の抱負
4月に新設された長谷工ホームホールディングスは、傘下各社の戸建て分譲事業を集約。木造デベロッパーとして全国主要都市を中心に展開する長谷工ホーム、設計・施工の受注を担う木造ゼネコンとしての細田工務店とウッドフレンズの3社を包括する、長谷工グループの中間持株会社である。
各社が個別に蓄積してきた知見、ノウハウ、ネットワークを共有し、グループシナジーを最大化することで、RC造マンションの圧倒的な実績を持つ長谷工グループが木造事業へ本格進出を目指す。
野村孝一郎氏は代表取締役社長としての決意について、「長谷工コーポレーションの高度な技術開発力をバックに、RC造と木造を融合させたハイブリッドマンション、大型集合住宅での居住者共用棟、高遮音木造賃貸住宅など、戸建ての枠に留まらない新たな木造建築市場を開拓する。環境問題の観点から、木造建築は『CO2の貯蔵庫』としての役割も担うため、脱炭素社会の実現に貢献しつつ、長谷工グループの新たな成長エンジンとして木造事業を主力領域へと拡大していく」と語る。
■細田工務店・川﨑修宏社長の抱負
細田工務店の代表取締役社長に就任してから4カ月が経過した川﨑社長は、「あっという間に過ぎ去ったという実感を強く抱いている」と振り返る。同社は来年1月に創業80周年という節目を迎える。この80年の歴史は、決して派手な営業パフォーマンスや華美な広告展開によって築かれたものではなく、一にも二にも、愚直なまでの「技術力」と「真面目さ」という気質によって支えられてきたものである。
川﨑社長は抱負として、「前社長の野村社長(現ホールディングス社長)が整備した『郊外から都心へのシフト』や『木造メニューの多様化』という明確な方向性を引き継ぎ、具現化すること」を掲げる。その上で、「高品質」と伝統的な気質である「真面目さ」を確実に伝承しながらも、利益がなければ会社は存続できないという意識改革を徹底し、それに見合う適正な価格で勝負できる強い組織づくりを確実に進めると述べた。
■細田工務店を黒字体質へ進化/2つの改革「意識」「収益構造」
長谷工コーポレーションが20年に細田工務店をM&Aし、22年に野村社長が社長に就任して取り組んだのが、これまでの赤字構造を一掃するための「意識改革」と「収益構造の抜本的改革」である。
まず、「身内の誇り」を取り戻す意識改革を行った。具体的には、野村社長が就任した当時、細田工務店は長年の業績低迷によって社内に閉塞感が漂い社員が自信を失いかけている状況にあった。
一方で、野村社長がモデルハウスや施工現場を実際に視察した際、現場には接着剤の臭いすらなく木の香りが広がり、隅々まで綺麗に仕上げられているという「圧倒的な品質の高さ」を肌で実感したという。
自社の職人気質なクオリティや引き渡し後のクレームの少なさが「業界最高レベルである」という事実をデータや現場検証を通して社員に伝えるとともに「自分たちの仕事に対する自信と誇り」を社内に取り戻させた。この意識改革が、その後の黒字化へ向かう強い原動力となった。
次に、「質の良い顧客・採算の合う取引」へ大きく舵切りを行った。かつての細田工務店は、取引先との関係性、また、下請け会社の仕事を切らさないために、採算の合わない受注であっても断らずに継続していた。新体制ではこの構造を見直し、「ビジネスとして適切な対価を支払ってくれる、質の良い顧客・デベロッパーと取引をする」方針へ転換した。
例えばウッドショックの際にも適正な価格転嫁・商品性向上を認めてくれるパートナー企業へと取引先を絞り込んだ結果、取引先は半減したものの利益率の引き上げにつながった。従来の慣行に起因する不採算取引を見直し、品質・サービスに対する適正な利益確保を重視することで、1棟・1案件あたりの利益率向上を徹底。低利益水準で推移していた法人受注の粗利益率を、人件費などをまかなえる充分な利益水準へと引き上げた。この価値重視の構造改革と、折からの在宅ワーク需要による戸建て・広い住まいへの追い風が噛み合い、社長就任からわずか1年目で黒字体質を定着させた。
新卒採用者数も増加傾向にあり、直近3年間の定着率は95・5%を維持。安定した事業運営と堅実な経営基盤をうかがわせる。
■木造建築の「BtoB」戦略
長谷工ホームホールディングスは、長谷工コーポレーションの土地仕入れ力、プラットフォーム、最先端の技術開発力を基に実績ある木造ハウスメーカー・ビルダー各社の強みを融合させる。
中核施工部隊である細田工務店は、プロが認める卓越した木造設計・施工技術と、プロパー社員や職人に受け継がれる施工品質を強みとしている。
新たに傘下入りしたウッドフレンズもデベロッパー機能を備えており、4月にはその戸建て分譲事業を長谷工ホームへ移管した。現在は、細田工務店が持つ施工精度や顧客満足度のノウハウをウッドフレンズへも波及させ、同社の施工レベルの底上げを図っている。
今後、これら各社の経営資源やネットワーク、設計や施工管理のノウハウを共有し、一般向け(BtoC)のほか、職人不足に悩む他社デベロッパーからの請負といった法人向け(BtoB)ビジネスを強化する予定だ。伝統の職人技に長谷工コーポレーションのデジタル技術や教育インフラを掛け合わせ「次世代の木造ゼネコン」の確立を目指している。
脱炭素社会の実現や環境配慮へのニーズを受け、中大規模木造建築や高齢者施設・商業施設をはじめとする非住宅分野の受注が急速に拡大している。市場展開のために強力な武器となるのが、RC造と木造の混構造を実現する「ハイブリッド構造」などの高度な構造解析・技術力である。長谷工グループの総合力を背景に、物件の規模や用途に応じて、最適な木造ソリューションを柔軟に提供し、これまでの戸建て住宅のほか新たなBtoB領域を開拓している。
さらに、投資向けの木造集合住宅開発にも力を入れる。都心の駅近の立地で、エレベータを設置し遮音性能が高い、RC造に代わる木造賃貸住宅を一つの柱とする。面積制限や耐火構造規制、多層化に伴う構造コストの大幅な増加などが課題となっているが、川﨑社長は「これらの制限の中で、コストパフォーマンスのよい建築実績を確実に増やし、将来的には面積制限と耐火構造規制の2つの大きな壁を技術革新によって突破することを目指したい」と語る。1棟当たり20~30億円規模の大型案件を目標とし、木造ゼネコンとして、市場でのシェア確立を視野に入れている。

