
地方移住で叶えるセカンドライフのリアル ④/70歳以上の認知機能検査/試験合否は生活に影響
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2025.08.25
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2024年秋に兵庫県美方郡新温泉町の空き家を購入してから、大阪との2拠点生活が始まった。平日は勤務地大阪のマンション、週末は新温泉町で過ごすスタイルだ。同年10月にはパートナーが地域おこし協力隊として、ひと足先に新温泉町住民になった。一人で移動する機会が増え、2台目の中古車を購入し、新温泉町へ通うようになった。幸い、同町では渋滞もなく、信号機も少ない。ペーパードライバーの私でも安心して運転できる環境であり、気づけば往復6時間のドライブも苦にならなくなった。
車社会の地方では免許の有無は死活問題だ。近所のお爺さんから70歳以上の人は認知機能検査と高齢者講習が必須であることを聞いた。試験に落ちると医師の診断を受け、認知症と診断された場合には、免許返納などの処分を受ける可能性がある。地方では免許がないと交通難民になりかねない。新温泉町ではコミュニティバスや福祉タクシーの導入など対策はあるものの、移動については計画的に行動する必要があり、自由度は損なわれる。夜中でも公共交通での移動が可能な都会とは、全く事情が異なる。
車社会で人々を困らせるのが積雪時だ。今年、新温泉町は大雪に見舞われた。主要道路の除雪は行き届いているが、個人の敷地や私道の雪かきは各自で対応することになる。連日の雪かきで大汗をかいていたパートナーは少しだけスリムになった。積雪に慣れていないため、軒下に車を停めた際、溶けた雪が屋根に落ち、大きく凹むハプニングもあった。
このように地方の暮らしは、自然が身近だ。移住してからは季節の移ろいを感じる機会が増えた。雪が消えると山菜が芽を出し、春には川沿いや山々に桜が咲きほこる。桜が散ると、藤の花が咲き始め、新緑の眩しい山に色を添える。5月の田植え時期にはカエルの鳴き声が一斉に響き、夏へと季節が移ろっていく。お盆を過ぎる頃には無数のトンボが飛び回る。今年の酷暑の影響で、早くも稲穂は黄金色に染まり、刈り取り時期は間もなくだ。ワクワクする日々の一方で、厄介者も現れる。古い民家の隙間からはムカデやスズメバチ、アリの大群が侵入してくる。夜には鹿やテン、ハクビシンが姿を現す。時には猪や熊が出没することも。改めて大自然を前にして人間が非力であることを思い知らされる。近年、人口減少の進む地方では、耕作放棄地が増え、野生動物の生息域が人里の近くになっていることが影響しているそうだ。
(古矢直美)
* * *
この春まで、住宅メーカーの広報として第一線で活躍していた古矢直美氏は、兵庫県へ移住し地方創生に取り組むとともに、まちの活性化へ向けて本格的に取り組んでいる。電機メーカーでの商品宣伝・企画担当を経て、グループの住宅会社に出向し15年間、国内外の広報を担当。趣味は愛犬との自然散策やビールを飲みながらのサッカー観戦と話す。田舎暮らしを通じた活動を掲載していく。
車社会の地方では免許の有無は死活問題だ。近所のお爺さんから70歳以上の人は認知機能検査と高齢者講習が必須であることを聞いた。試験に落ちると医師の診断を受け、認知症と診断された場合には、免許返納などの処分を受ける可能性がある。地方では免許がないと交通難民になりかねない。新温泉町ではコミュニティバスや福祉タクシーの導入など対策はあるものの、移動については計画的に行動する必要があり、自由度は損なわれる。夜中でも公共交通での移動が可能な都会とは、全く事情が異なる。
車社会で人々を困らせるのが積雪時だ。今年、新温泉町は大雪に見舞われた。主要道路の除雪は行き届いているが、個人の敷地や私道の雪かきは各自で対応することになる。連日の雪かきで大汗をかいていたパートナーは少しだけスリムになった。積雪に慣れていないため、軒下に車を停めた際、溶けた雪が屋根に落ち、大きく凹むハプニングもあった。
このように地方の暮らしは、自然が身近だ。移住してからは季節の移ろいを感じる機会が増えた。雪が消えると山菜が芽を出し、春には川沿いや山々に桜が咲きほこる。桜が散ると、藤の花が咲き始め、新緑の眩しい山に色を添える。5月の田植え時期にはカエルの鳴き声が一斉に響き、夏へと季節が移ろっていく。お盆を過ぎる頃には無数のトンボが飛び回る。今年の酷暑の影響で、早くも稲穂は黄金色に染まり、刈り取り時期は間もなくだ。ワクワクする日々の一方で、厄介者も現れる。古い民家の隙間からはムカデやスズメバチ、アリの大群が侵入してくる。夜には鹿やテン、ハクビシンが姿を現す。時には猪や熊が出没することも。改めて大自然を前にして人間が非力であることを思い知らされる。近年、人口減少の進む地方では、耕作放棄地が増え、野生動物の生息域が人里の近くになっていることが影響しているそうだ。
(古矢直美)
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この春まで、住宅メーカーの広報として第一線で活躍していた古矢直美氏は、兵庫県へ移住し地方創生に取り組むとともに、まちの活性化へ向けて本格的に取り組んでいる。電機メーカーでの商品宣伝・企画担当を経て、グループの住宅会社に出向し15年間、国内外の広報を担当。趣味は愛犬との自然散策やビールを飲みながらのサッカー観戦と話す。田舎暮らしを通じた活動を掲載していく。