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国交省、賃貸管理業のあり方会議/「質」評価へ検討案

  • 2026.03.16
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サービス透明化に指針/業務管理者要件見直しも

 国土交通省は「第4回賃貸住宅管理業のあり方の検討に係る有識者会議」(座長・中城康彦明海大学不動産学部学部長)を開いた。同検討会では、2021年の全面施行から定着期に入った「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理業法)」の現状を分析し、市場の信頼性向上に向けた「とりまとめ案」を提示した。入居者ニーズの多様化や管理実務の複雑化を受け、「管理サービス内容の透明性」「業登録制度の実効性」「業務管理者の質の向上」「管理業の地域貢献」など、4つの重点施策を柱に今後の制度運用の方向性を明示した。

 今回のとりまとめ案は、制度の「形」を整える段階から「中身(質)」を伴わせる段階へと舵を切ったものといえる。国と業界団体はそれぞれの役割分担を明確化しつつも、密接な連携が不可欠であると強調。
 「選ばれる管理会社」になるためには、管理代行を超え透明性の高いサービスと高い専門性、そして地域社会への貢献が不可欠となる。賃貸管理業が「不動産経営のパートナー」として真の信頼を得られるか、官民の実行力が試されている。
■制度定着の次へ、複雑化する管理実務への対応
 管理業法の全面施行から約5年。登録業者は1万社を超え、サブリースを巡るトラブルも減少傾向にあるなど、制度は着実に浸透している半面、コロナ禍以降、テレワークの普及やライフスタイルの変化によって、入居者が住宅に求める機能は高度化。管理会社の業務範囲は従来の「建物の維持管理」に留まらず、多様な居住ニーズへの対応という、より複雑なものへと変貌を遂げている。
 今回のとりまとめ案では「誰もが安心して質の高いサービスを受けられる賃貸住宅管理市場の実現」を大きな目標に据えた。現状、家主や入居者にとって「管理料に対してどこまで対応してくれるのか」という範囲が不透明であり、また「良い管理会社」を客観的に選定する基準がないことが課題として指摘されている。

■管理サービスの透明性と「客観的評価」の創設
 まず「標準管理業務ガイドライン」の策定では、業界団体が主体となり管理委託契約による「基本業務」と「オプション業務」を明確に区分けし、標準的な業務内容を明文化する。家主がコストに見合ったサービスを納得して契約できる環境を整える。
 特徴的なのは、業界団体主導による「賃貸住宅管理の客観的評価制度」の検討開始。価格競争に陥りがちな市場を、サービスの品質で競う「健全な競争環境」へとシフトさせる。評価項目や頻度、PR方法などの詳細について今後関係団体で協議を進め、質の高い事業者が正当に評価される仕組みを構築する。

■業登録制度の実効性向上とインセンティブ
 現在、管理戸数200戸未満の事業者は登録が任意となっていて、小規模業者へのインセンティブ不足が課題。とりまとめ案では、登録業者が「ルールを遵守する安心な会社」であるとの認知を広めるため、専用のロゴマークを作成。物件選びの基準の一つとして浸透させる広報活動を官民で強化する。
 そのほか未登録業者への任意登録を促す実利的な対策として、登録の有無によって賃貸不動産経営管理士の賠償責任保険における料率に差異を設けるなどの「経済的インセンティブ」の導入も検討される。

■業務管理者の「質」をどう担保するか
 制度の要となる「業務管理者」の資格要件については、(1)賃貸不動産経営管理士ルートと、(2)宅地建物取引士が講習を受けて登録するルートの2つが存在する。専門性向上の観点から「管理士ルートへの一本化」を求める声がある一方、小規模事業者の人材確保の懸念から「現行維持」を求める声もあった。
 今回の案では「現状の2ルートを当面維持」としつつ、宅建士向けの指定講習をさらに高度化・充実させることで対応する。ただし、将来的な要件見直しも視野に入れ、国と業界団体が引き続き検討を進めていく。

■地域価値を共創する「管理業者」の役割
 今後の注目点は、管理業者による「地域貢献」だ。高齢者や外国人の居住支援、災害時の対応、二地域居住の促進など、管理業者が果たすべき役割は大きいが、現場は日々の業務に追われ、ノウハウや余力が乏しいのが実情だ。
 これに対し、国は「地域価値共創プラットフォーム」のマッチング機能を強化し、先進事例を共有するデータベースの整備や「地域価値を共創する不動産業アワード」による表彰制度を通じて、広報・奨励を支援する。
 管理業務のDX化を通じた業務負荷軽減策も検討し、事業者がより付加価値の高い地域貢献業務に注力できる環境を整える、とした。
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