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第2四半期 サステナマーケットレポート/「CASBEE」集合住宅が急増/JLL

第2四半期 サステナマーケットレポート/「CASBEE」集合住宅が急増/JLL

  • 2025.09.01
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大規模オフィスビルの認証取得率(棟数ベース)
出所:USGBC, IWBI, Fitwel, IBECs, DBJ 公開データをもとにJLL作成

 カーボンクレジットや再エネ証書に対する規制が国内外で厳しくなる見通しもあり、各企業は省エネや再エネ導入を進めることがより強く求められている。カーボンクレジットについては、使用量増減を5~10%と設定する諸外国が多いことを踏まえ、日本でも各年度の実排出量10%に制限する方向で検討が進んでいる。再エネ証書に関しては、現在改定作業中のGHGプロトコルによって、証書の質や信頼性についての要件を厳格化する方向で議論されている。現在購入している再エネ証書の価値は将来的に棄損される可能性もあり、今後の改定に注視が必要という。またJLLでは再エネ証書やカーボンクレジットは、不動産脱炭素化の最終手段と認識すべきで、まずは設備故障放置などによる「漏エネ」と、無駄に消費される「浪エネ」に対応すべきとし、現場調査に基づく省エネ診断を実施することを推奨している。

 JLL(東京都千代田区、河西利信社長)は、不動産市場によるサステナビリティマーケットダイナミクスの2025年第2四半期のレポートを公開した。
 グリーンビル認証では、各認証増加率の平均が前期比4・3%の増加となった。LEEDの第2四半期の認証取得件数は17件で、09年からの累計は332件、同5・4%の増加だった。プラチナ取得は1件。CASBEE―建築の認証取得件数は26件で、前期比・前年同期比ともに減少、有効認証保有物件も524件で、同0・4%の減少に転じた。
 一方、CASBEE―不動産の認証取得件数は193件で、前期比では減少したものの、前年同期比で増加となった。とくに集合住宅の認証取得が急増し、今期件数の過半を占めた。期末時点での有効認証保有物件数は2568件で、同7・9%の増加となった。
 ウェルネス認証では、各認証増加率の平均が同1・5%の増加で、やや伸びが鈍化している。WELLの第2四半期認証取得件数は1件にとどまり、プラチナ取得事例はなかった。有効認証保有物件は61件になっている。Fitwelの認証取得件数は0件で、有効認証保有物件数は5件だった。CASBEE―ウェルネスオフィスの認証取得件数は10件で、前期比横ばい、前年同期比で増加となった。有効認証保有物件数は179件となり、同2・9%のアップとやや増加率が上がった。
 主要都市のオフィスに注目すると、東京でCASBEE―不動産の取得が進み、期末時点でグリーンビルディング認証保有の大規模オフィスビルが全体の68%となった。一方ウェルネス認証は前期から取得が増えず、6%にとどまっている。大阪は、新たに竣工したビル1棟がDBJ―GBを取得、期末時点でグリーンビルディング認証を有する大規模オフィスビルは全体の45%になった。ウェルネス認証は有効期限切れの事例が1棟あり、9%に低下している。福岡では新規竣工ビル2棟がグリーンビルディング認証未取得のため、期末時点でのグリーンビルディング認証保有大規模オフィスビル物件は、全体の29%と前期比で低下した。ウェルネス認証は前期から取得が増えず、9%を維持している。
 パリ協定の1・5度目標達成に向け、省エネの強化や再エネの導入は不可欠であり、直近のCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)では、30年までにエネルギー効率の改善率を2倍にする目標が設定された。日本でもカーボンクレジットや再エネ証書が広く利用されるようになり、今後はGX―ETS(カーボン排出量取引制度)とも連携しながら経済的手法として機能していくと予測した。
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