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賃貸住宅投資のプレーヤー多様化/東京圏集中が継続/JLL分析

賃貸住宅投資のプレーヤー多様化/東京圏集中が継続/JLL分析

  • 2025.11.17
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 JLL(東京都千代田区、河西利信社長)は、「日本の賃貸住宅市場のマルチスケール分析」を公表。賃貸住宅への投資家が増加し、プレーヤーの属性が多様化している一方、投資対象地域の集中が依然として東京圏に偏っている現状を示した。賃貸住宅投資の裾野が広がる中でも、地域分布の多様化は進展していないとした。
 東京圏集中の構造的要因を踏まえ、非東京圏地域の賃貸住宅市場に関するデータを併行して提供し、日本全体の賃貸住宅投資の可能性を検討することを同レポートの目的としている。
 投資地域の東京圏への集中度が高いのは、従来の賃貸住宅投資市場の中心だったコア型投資家が東京圏を志向してきたためだという。7月時点でのJリートの賃貸住宅保有状況では、東京23区が住戸数ベースで全体の約53%(約8万4000戸)、物件数ベースで58・9%(約2200棟)を占めた。神奈川県、千葉県、埼玉県を加えた東京圏全体では、住戸数ベースで64・9%、棟数ベースで70・7%を占めるなど、地域集中が継続している。
 それだけでなく、キャピタルゲインを重視するバリューアッド型やオポチュニスティック型の投資運用スタイルでは短期的な市場流動性の確保が不可欠であり、取得後の物件価値向上に対する出口戦略として、中長期運用を行うJリートの存在が重要になると指摘。そのため短期投資家がコア型投資家の選好する東京圏での投資機会を中心に検討することを促しているという可能性を示した。
 Jリート15銘柄の投資クライテリア分析では、東京が14銘柄、神奈川、千葉、埼玉がいずれも13銘柄で投資対象地域として明記された。その他の地域では大阪が6銘柄にとどまり、多くの銘柄が「地方圏」や「地方中核都市」といった広域的な表現にとどまっていた。地域選定の根拠としては人口流入や転入超過への言及が約半数だったが、どのような地域スケールで、どの程度の増加があることを期待するかという定量的な基準を示す事例は少なかった。
 同社は、これらの投資基準が単なる立地選定を超え、市場参加者間で東京圏を共通の投資圏として認識する構造を形成していると分析。東京圏では、取引件数の多さと物件価格の高さが投資集積をもたらしており、結果として情報や資金の循環が同地域に集中する構造が形成されている。「投資が投資を呼ぶ」連鎖を生み、流動性の高さと情報集積が新たな投資家を誘引する仕組みだと分析した。
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