主要不動産会社9月中間決算/コスト高でも増収増益/大手5社相次ぎ最高業績/オフィス賃貸、住宅分譲が好調
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2025.11.17
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主要不動産会社の26年3月期第2四半期(中間)決算が出そろった。総合大手を中心に最高業績を更新する企業が相次ぐなど、全体的に続伸し、増収増益基調が継続した。用地不足や資材・人件費上昇に伴う建築費の高騰で、事業環境は厳しさを増しているが、価格上昇でも根強い住宅需要や投資需要、人材確保に優位なオフィスを求める企業の動きが業績を押し上げた。商業・ホテルなどインバウンド関連も好調が続き、金利上昇も想定を下回ったことも後押しした。通期業績予想も上方修正する企業も出て増収増益が続く。今のところコスト高や金利上昇などの影響による業績の変調は表れていない。
事務所ビルなどの賃貸事業、マンションや収益物件の分譲事業から、仲介・管理運営事業、ホテル・リゾートなどまで幅広く事業を展開する総合大手5社。業績は好調そのもので、3社が増収増益、1社が減収増益、1社が増収減益だったが、通期ではいずれも過去最高を更新する見込みだ。
三井不動産と三菱地所は中間期としては売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれもが過去最高を更新し、通期でも過去最高の更新を見込む。住友不動産は売上高こそ微減だったが、経常利益、経常利益、当期純利益は最高を更新し、通期では利益だけでなく、売上高も過去最高(20年3月期の1兆135億円)を更新する見込み。
東急不動産ホールディングスは売上高、営業利益、経常利益、当期純利益とも、過去最高となった。通期業績予想は、仲介事業・投資家向け売却の好調を受けて上方修正し、過去最高だった前期を更新する。野村不動産ホールディングスは増収を確保したものの、住宅部門の計上戸数の減少や浜松町ビルの建て替えに伴う減損処理の影響で、各利益は減少した。通期では売上高、営業利益、経常利益、当期純利益とも過去最高を更新する見込みだ。
三井不動産の中間期売り上げ構成は賃貸4562億円、分譲3987億円、マネジメント2467億円、施設営業1202億円、その他1314億円だった。賃貸事業の内訳はオフィス2410億円、商業施設1587億円、その他564億円だった。
三菱地所の売上高の部門別構成は、コマーシャル不動産事業2712億円、丸の内事業1978億円、住宅事業1933億円、海外事業565億円、投資マネジメント事業155億円、設計監理・不動産サービス事業361億円など。
住友不動産のセグメント別売り上げは不動産賃貸2255億円、不動産販売1999億円、ハウジング663億円、ステップ365億円だった。不動産販売事業ではマンション・戸建て・宅地の合計で2066戸(前年同期比789戸減)と、計上戸数、売上高とも減少したが利益率の改善で営業増益を確保した。
東急不動産HDのセグメント別売上高は、都市開発2138億円、戦略投資389億円、管理運営1695億円、不動産流通1864億円だった。賃貸オフィス・賃貸商業施設の空室率は0・6%と低水準を維持し、分譲マンション計上戸数は403戸と前中間期比20戸減少した。
野村不動産HDのセグメント別売上高は、住宅部門1794億円、都市開発部門1305億円、海外部門20億円、資産運用部門76億円、仲介・CRE部門301億円、運営管理部門598億円だった。都市開発部門のオフィス空室率は首都圏4・5%、全エリアで4・7%だった。
実需、投資に底堅さ
マンション分譲を主力とする企業では、MIRARTHホールディングスが経費先行で当期損失とした。だが通期引き渡し予定2820戸に対し、契約済みが2147戸(進ちょく率76%)とし、通期では売上高2164億円、営業利益155億円の増収増益、当期純利益は微減を見込む。コスモスイニシアは、レジデンシャル事業で新築計上戸数が減少した一方で、リノベーション物件を伸ばしたが増収減益となった。カバーしたのは宿泊事業で、大幅増収増益で全体の業績をけん引した。エスコン、明和地所、ゴールドクレストも増収増益基調を継続した。
戸建て分譲最大手の飯田グループホールディングス。売上高は横ばいだったが、着実に利益を確保し、回復軌道に乗せてきた。通期では増収、2ケタ台の増益を見込む。分譲戸建て市場はコロナ特需で追い風となった後、市場在庫増の調整局面が続いていたが、ようやく需給バランスが均衡し始めてきた。ただ資材や労務費など建築コストの上昇や、価格上昇に伴う実需層の購買能力とのかい離、住宅ローン金利の上昇傾向などの課題への対応も求められている。
関東エリアで展開するケイアイスター不動産は分譲住宅4354棟を計上して大幅な増収増益を確保した。グランディハウスは販売棟数が607棟と減少したことで減収となったが、利益面では改善。アグレ都市デザインは戸建て分譲、投資向け分譲が好調だったことで増収増益とした。
地方都市を中心に、全国で中堅所得層向けに中古住宅の買取再販事業を展開するカチタスは販売戸数を前期比10%増の4064戸に伸ばして増収増益を確保した。
不動産再生事業を展開するサンフロンティア不動産は売上高、各利益とも過去最高となった。不動産再生事業、不動産サービス事業、ホテル・観光事業とも増収増益を確保した。
アパート建設最大手で不動産事業のウエートも高い大東建託は増収を確保したものの、各利益は微減となった。住宅着工戸数の減少傾向もあって建設事業が減収減益だった一方、不動産賃貸事業、不動産開発事業は増収増益だった。前期はコスト高の影響で減益だった長谷工コーポレーションは増収増益に転換した。建設関連、不動産関連、管理運営の各事業とも増収増益を確保した。
分譲住宅、利益率が高水準
三井不動産の国内中高層分譲売上高は2738億円で、戸数は1526戸、平均価格は1億7947万円と前年同期のほぼ2倍となった。計上物件は「三田ガーデンヒルズ」「パークシティ高田馬場」などだったが、平均価格が4億円という「三田」が全体を押し上げた。営業利益率は30.1%と前年同期(22%)を大きく上回った。
三菱地所の分譲マンションの粗利率は35.3%で前年同期(26.3%)を大きく上回った。こちらも共同事業の「三田」が押し上げた。
野村不動産HDの住宅部門の分譲売上高は1276億円で、計上戸数はマンション1118戸、戸建て158戸の計1351戸。平均価格はマンションが9156万円、戸建てが1億2168万円で、粗利益率は25.8%と、前年同期比0.9ポイント下がった。
事務所ビルなどの賃貸事業、マンションや収益物件の分譲事業から、仲介・管理運営事業、ホテル・リゾートなどまで幅広く事業を展開する総合大手5社。業績は好調そのもので、3社が増収増益、1社が減収増益、1社が増収減益だったが、通期ではいずれも過去最高を更新する見込みだ。
三井不動産と三菱地所は中間期としては売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれもが過去最高を更新し、通期でも過去最高の更新を見込む。住友不動産は売上高こそ微減だったが、経常利益、経常利益、当期純利益は最高を更新し、通期では利益だけでなく、売上高も過去最高(20年3月期の1兆135億円)を更新する見込み。
東急不動産ホールディングスは売上高、営業利益、経常利益、当期純利益とも、過去最高となった。通期業績予想は、仲介事業・投資家向け売却の好調を受けて上方修正し、過去最高だった前期を更新する。野村不動産ホールディングスは増収を確保したものの、住宅部門の計上戸数の減少や浜松町ビルの建て替えに伴う減損処理の影響で、各利益は減少した。通期では売上高、営業利益、経常利益、当期純利益とも過去最高を更新する見込みだ。
三井不動産の中間期売り上げ構成は賃貸4562億円、分譲3987億円、マネジメント2467億円、施設営業1202億円、その他1314億円だった。賃貸事業の内訳はオフィス2410億円、商業施設1587億円、その他564億円だった。
三菱地所の売上高の部門別構成は、コマーシャル不動産事業2712億円、丸の内事業1978億円、住宅事業1933億円、海外事業565億円、投資マネジメント事業155億円、設計監理・不動産サービス事業361億円など。
住友不動産のセグメント別売り上げは不動産賃貸2255億円、不動産販売1999億円、ハウジング663億円、ステップ365億円だった。不動産販売事業ではマンション・戸建て・宅地の合計で2066戸(前年同期比789戸減)と、計上戸数、売上高とも減少したが利益率の改善で営業増益を確保した。
東急不動産HDのセグメント別売上高は、都市開発2138億円、戦略投資389億円、管理運営1695億円、不動産流通1864億円だった。賃貸オフィス・賃貸商業施設の空室率は0・6%と低水準を維持し、分譲マンション計上戸数は403戸と前中間期比20戸減少した。
野村不動産HDのセグメント別売上高は、住宅部門1794億円、都市開発部門1305億円、海外部門20億円、資産運用部門76億円、仲介・CRE部門301億円、運営管理部門598億円だった。都市開発部門のオフィス空室率は首都圏4・5%、全エリアで4・7%だった。
実需、投資に底堅さ
マンション分譲を主力とする企業では、MIRARTHホールディングスが経費先行で当期損失とした。だが通期引き渡し予定2820戸に対し、契約済みが2147戸(進ちょく率76%)とし、通期では売上高2164億円、営業利益155億円の増収増益、当期純利益は微減を見込む。コスモスイニシアは、レジデンシャル事業で新築計上戸数が減少した一方で、リノベーション物件を伸ばしたが増収減益となった。カバーしたのは宿泊事業で、大幅増収増益で全体の業績をけん引した。エスコン、明和地所、ゴールドクレストも増収増益基調を継続した。
戸建て分譲最大手の飯田グループホールディングス。売上高は横ばいだったが、着実に利益を確保し、回復軌道に乗せてきた。通期では増収、2ケタ台の増益を見込む。分譲戸建て市場はコロナ特需で追い風となった後、市場在庫増の調整局面が続いていたが、ようやく需給バランスが均衡し始めてきた。ただ資材や労務費など建築コストの上昇や、価格上昇に伴う実需層の購買能力とのかい離、住宅ローン金利の上昇傾向などの課題への対応も求められている。
関東エリアで展開するケイアイスター不動産は分譲住宅4354棟を計上して大幅な増収増益を確保した。グランディハウスは販売棟数が607棟と減少したことで減収となったが、利益面では改善。アグレ都市デザインは戸建て分譲、投資向け分譲が好調だったことで増収増益とした。
地方都市を中心に、全国で中堅所得層向けに中古住宅の買取再販事業を展開するカチタスは販売戸数を前期比10%増の4064戸に伸ばして増収増益を確保した。
不動産再生事業を展開するサンフロンティア不動産は売上高、各利益とも過去最高となった。不動産再生事業、不動産サービス事業、ホテル・観光事業とも増収増益を確保した。
アパート建設最大手で不動産事業のウエートも高い大東建託は増収を確保したものの、各利益は微減となった。住宅着工戸数の減少傾向もあって建設事業が減収減益だった一方、不動産賃貸事業、不動産開発事業は増収増益だった。前期はコスト高の影響で減益だった長谷工コーポレーションは増収増益に転換した。建設関連、不動産関連、管理運営の各事業とも増収増益を確保した。
分譲住宅、利益率が高水準
三井不動産の国内中高層分譲売上高は2738億円で、戸数は1526戸、平均価格は1億7947万円と前年同期のほぼ2倍となった。計上物件は「三田ガーデンヒルズ」「パークシティ高田馬場」などだったが、平均価格が4億円という「三田」が全体を押し上げた。営業利益率は30.1%と前年同期(22%)を大きく上回った。
三菱地所の分譲マンションの粗利率は35.3%で前年同期(26.3%)を大きく上回った。こちらも共同事業の「三田」が押し上げた。
野村不動産HDの住宅部門の分譲売上高は1276億円で、計上戸数はマンション1118戸、戸建て158戸の計1351戸。平均価格はマンションが9156万円、戸建てが1億2168万円で、粗利益率は25.8%と、前年同期比0.9ポイント下がった。

